表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/55

最終話 「幸せの正体」

 ハクビの場所までテレポートすると目の前に人集りが出来ている。


 森の中の開けた平地。


 ベルやダリス、他の創生のクランの面々が揃っている。


 僕とコロンに気づいた何人かが僕らの為に道を空けてくれる。


 人集りの真ん中にトトとカカが寝かされていた。


 そして、ハクビが2人に覆い被さりながら、僕らにも気づかないほどに我を忘れて大泣きしている。


「うわぁ~ん。父さぁ~ん。母さぁん」


 僕に抱きかかえられていたコロンは僕の腕から飛び降りて2人のところに走って行く。



 そこから僕の見える世界がスローモーションになった。



 トト、カカ……?!



 僕に全てをくれた人。



 僕の世界を変えてくれた人



 僕に愛をくれた人。



 僕の……僕の全て。



 思考が上手に動かない。



 2人のもとに辿り着いたコロンがハクビと一緒に泣き叫んでいる。



 なんだ?



 何が起きている?



 落ち着いた様子だけど目から涙がこぼれているジジが近寄ってくる。



 そして言った。



「本当につい先ほどです。

 静かに息をひきとられました」



 イキヲヒキトラレマシタ? 



 だと?



 なんだ?



 なんだよ?



 あきらめる?



 マダ



 マダダ



「まだだーーーー!!」


 心の底から大声をあげた。


 みんな僕の方を見ている。


 気にせず2人の元へ駆け寄る。


「コロン、家族全員を故郷の森まで運べる?」


 涙でグシャグシャのコロンが頷く。


「じゃあ、今すぐやるんだ」



【テレポート】



 次の瞬間、僕ら五人はカカが整地した魔法教室にいた。


 僕らの小さい頃からの修行場。


 2人はやっぱり人間の姿のままだ。


 ダメだ。このままじゃ。


「ハクビ!

 僕の右手を根元から切断するんだ。

 ジジは僕の体を支えていて」


 ジジもハクビも僕の剣幕に圧倒されているようだ。


「はやく。早くするんだ。

 僕が父さんと母さんの魂をなんとかするから早く!」


 ジジは直ぐに動いて僕の脇の下を持つ

 ハクビは泣きながら困った顔をしてる。


「で、でも……」


「ハクビ!!

 僕が信じれない? ハクビ?」


 涙を拭いてこちらに闘気を向ける。


「キョウ兄ィーーー!」


 ハクビが大声で叫んで、僕の右腕が地面に落ちる。


 《ボトン》


「うおぉ!」


 血がドバドバ出る。


 これでいい。


 トト、カカ


 父さん、母さん


「うぉーーーーーーーー!」


 ありったけの想いを込めて闘気を爆発させる。


 右腕が半分程生えた。

 全部は生えないようだ。


 ヘルハザートの戦いの時に感情で闘気が爆発させて腕が生えてきた。


 そしてあの時僕の力は跳ね上がった。


 知覚がすごく研ぎ澄まされた感覚があった。


 どうだ?


「ハァハァハァ」


 息がきれる。


 トトとカカを改めて見つめる。


 見えろ。


 見えろ! 見えろ!


 トトのカカの体内に何かうっすら光るものが見えてきた。


 よし!


 あれだ!


 あれがたぶん魂なんだ!


 あのぼんやりした光を消さなきゃいいんだ?


 思った通り、未だ魂は消滅してないんだ。


「ハァハァハァ」


 呼吸を整えられない。


「ハ、ハクビ、もう一回だ。

 こ、今度は四肢全部を根元からだ」


「ぜ、全部?! 全部って?

 まだ右腕すら戻ってないじゃない?

 こんな欠損もとにもど――」


「ハクビ!! じ、時間がない!

 か、家族を、家族を失いたくないんだ!」


 怒鳴ったつもりだけど、声帯が大きく揺れない。


 けど僕がどれだけ真剣かは伝わったはずだ。


 歯を食いしばりながらハクビが泣いている。

 その後ろでコロンが大泣きしている。


 ハクビは決意を固めて僕をまっすぐ見る。


「キ、キョウ兄ーーーー!!!」


 全力の闘気が体にぶつかる。


 四肢全てが根元から切断されて地面に転がる。


 《ボト、ボトン》


「うわぁぁあぁぁぁ!!」


 血が噴き出る。


 ジジが胴体を持っていてくれるから転がらずに済んでいる。


 危ない。


 さすがに血が流れすぎるのか意識が刈りとられそうになる。


 けど、大丈夫だ。


 ねぇ、そうだよね?


 僕できるよね?


 トト、カカ


 父さん、母さん


 2人の笑顔が浮かぶ。


 また闘気を爆発させる。


「うぉらぁぁぁーーー!!!」


 四肢はほとんど生えないが傷口は塞がったようだ。


 血はとまった。


 どうだ?


 血がたぎる。


 知覚が研ぎ澄まされる。


 トトとカカの光がよりはっきり目に写るようになっている。


 よし!


「ジジ、僕を2人の間に寝かせて」


 ささやくくらいの声で言う。


 もう発声がうまくいかない


 けど良いんだ。


 やる。


 絶対、やる。


 両手両足のない僕をジジは優しくトトとカカの間に置いてくれた。


 最後にハクビとコロンの泣き顔を瞳に写して目を閉じた。







 トトとカカの魂の炎ははっきり見える。


 意識して種火に力を注いでみる。


 大きくならない。


 何も見えない。


 何も聞こえない。


 何千回繰り返したろう?


 何時間たったろう?


 わからない。


 種火に力を注ぐ


 何回めだろう?


 わからない。



 ん? 今、意識を失っていた?


 寝てしまった?


 眠い? 寒い?


 すごく寒い。


 このまま意識を暗闇に沈めてしまいたい。




 けど、まだ種火が見える。


 眠気とは比較にならない程の強い気持ちが溢れだし僕の意識を保ってくれている。


 諦められるわけがない。


 とても大切な2つの優しい光。


 この光が照らしてくれて初めて僕の白黒の世界に色彩が生まれたのだから。


 とっても暖かい気持ちになった。



 《ボッ》


 ん? 光が大きくなった。


 この感覚だ?!


 もう一回だ!


 暖かい気持ちの感覚だ!!



 《ボッ》


 種火が炎になった。


 よし、いいぞ!


 もう一回だ。


 暖かい気持ちは究極最強の魔法なんだ。

 絶対に届く。



 《ボボッ》


 何回めだろう?



 炎は小さくならない。




 炎は明るさを失わない




 炎は――




 意識が遠のいていく――




 ♢




 次に目を開けると……



 サルが僕を覗き込んでいた。



 敵意はないようにみえる。



 泣いている。



 サルの後ろには、他の動物達の姿も確認できる。



 ゴリラとオオカミと小太りなネコと大きめのハムスター。


 森でみんなで一緒に暮らしていた時の姿になっている。


 みんな笑顔だ。



 体を動かして起き上がろうとする。


 手足の感覚がなくて動けない。


 両手両足がないようだ。



 けど、そんなことはどうでもいい。



 みんないる。


 あたたかい。


 ………………あぁ、僕はなんて幸せなんだろう。




 ♢




 サトリーク大陸の歴史で語られる勇者は2人だけ。


 戦国の世を統一し世界に平和をもたらした

 創国の勇者 ソルム・ティグハート


 異世界の悪魔の侵略から国を救った

 救国の勇者 キョウ・ティグハート


 数万年前の人物とされているが、彼ら以降に勇者と呼ばれる人物は現れていない。


『森でサルに拾われた魔人の赤子は神獣の妹達と育って伝説の勇者になる』


 ~~~ 完 ~~~

最後まで読んで頂きありがとうごさいました!

楽しんでもらえましたか?

感想に一言もらえると飛び上がってガッツポーズします!


処女作の執筆楽しかったです。

ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうごさいました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ