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第052話 「魔王討伐作戦」

 魔王グルカゴン討伐へ向け具体的な話に移る。


「場所はわかってるの?」


「えぇ。東の街サグパークの街から早鷹が来たの。

 大監獄を占領しているそうよ。

 キヌガ大森林とも近い街だから大森林側の村や街でも被害が出ている。

 100体程度の紫色の肌をした赤目のデモンが来ているらしいわ」


 ベルが説明を交代した。


 サグパークにはティグハートで一番大きな監獄があって、そこを占領しているそうだ。

 女達を奪って牢屋で捕らえているらしい。


 ダークエルフの言うことが本当なら、ありったけの女達を捕まえてグラディウムに持ち帰る気なのだろう。


 そんなことにコロンは協力させられてるのか……



「僕らの戦力は?」


「ダリス。

 みんなをキョウ君へ紹介して」


 ベルが指示をする。


「はい。ベルさん。

 はじめまして。国王をしております【ダリス・キプロス】です。

 キプロスは先祖代々、いつか帰ってくるティグハートの為に国を維持するのを使命としてきました。

 私の代でこうして、ソルム様にお会いできたことを光栄に思っています。

 全ての戦力をご子息であるキョウ様に委ねる様にと、事前にソルム様から承っております。

 私は王を名乗っていますが飾りではないつもりです、戦力や戦況を細かく把握しておりますので戦略立案の補佐を務めさせてください」


 すごく低姿勢で国王が申しでる。

 いいのかな、王様にこんなことさせて……

 けど、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。


「わかりました。よろしくお願いします」



「カルバン、アリア、ウルビ、ローラ」


 ダリスが後ろでひかえていた4人に声をかける。



「ティグハート騎士団長【カルバン・シュメール】です」


 大柄で体格の良い髭を蓄えた頼りになりそうな騎士。

 ルービアの父親。



「ティグハート国の隠密部隊を指揮しております【アリア・キプロス】です」


 小柄でオレンジ色の髪をした男性。

 キプロスではあるが王族とは一線を置き、先祖代々キプロスの隠密の部分が伝承されている一族らしい。ジャックと縁がありそうだ。



「狼人族の【ウルビ・ガジェフスキー】です」


 ジジの子孫にあたる現狼人族長。

 狼人族はスピードが早く戦闘にも非常に長けているらしい。



「魔法使いと神官達を指揮します【ローラ・バーキスト】です」


 紫色の髪をした妖艶な雰囲気の大人の女性。

 カカの子孫にあたるしい。



「もちろん、キザンクランも協力します」


 改めてギランも名乗りをあげる。



「みんな、よろしくお願いします。

 ルービア、ウロボロスは動かせる?」


 ルービアに尋ねる。

 ウロボロスは貴重な戦力になり得る。


「はい。もちろんです。

 すぐに呼びに走ります」


 ルービアは完全は騎士の顔になっている。

 折り目正しく返事をして外にかけだして行った。



「馬車は何台あって何人を一度に運べる?

 回復魔法の部隊はあるの?

 ギランやルービアと同じくらい戦える者は何人いる?

 騎士団は何人で連携を組める?」


 僕が聞くことを要領よくダリスが説明してくれる。


 詳しくないところはそれぞれの部隊長に任せれば良い。


 けど大枠の作戦は遠慮なく僕がすべて決める。


 指揮系統ははっきりしなきゃならない。

 どんな時でも即決即断できるように。



「まずはサグパークの手前の森まで進もう。そこに本陣を置く。

 アリアの隠密部隊は直ぐに出発してサグパークと監獄の状況を偵察して。

 その情報を持って最終的な作戦を決める」



 黙って話しを聞いていたジャックは先行するアリアの偵察部隊への参加を主張した。ジャックにも色んな思いがあるのだろう。


 少なくともお荷物にはならないと判断し、僕からもアリアにお願いし参加を許可してもらった。



「今から1時間後、中央の広場に全員で集合。

 そこでみんなに伝えたいことがある。それまでに準備を整えて。

 ジジは僕とハクビの神獣の契約について詳しく教えてくれる?」



 ◇



 ジジは、グラディウムの森を出る前に神獣クマから事細かに契約について確認してくれていたらしい。


 神獣との契約は魔族だけが行えるそうだ。


 魔族は神獣と魂を通わせて桁違いの力を得ることができるらしい。


 そしてその神獣のなかでも、ハクビは伝説の神獣『破壊神の化身 白虎』だというのだ。


『白虎』そういえばヘルハザードも言っていた。


「白虎はあくまで伝説上の神獣で破壊を象徴し、そもそも自我をもたないと言い伝えられています。

 しかし、コロン様は言っていたらしいです。

『姉ちゃんは白虎で間違いないと思う。けど、この家で育ったから優しい破壊神なんだ』と」


 姉を自慢しているコロンの顔が思い浮かぶ。


 だからヘルハザードは、ハクビが白虎だと思わなかったのか。

 ハクビはしっかり自我があるから。


「私が何であろうと力が手に入るならそれでいいわ。

 時間がないんでしょ? 急ごう、キョウ兄」


 ハクビは自分が何者かなんてなにも気にしていない様子だ。

 はやる気持ち抑えられない。早くカカとコロンを助けたい。


 もちろん僕だったそうだ。



 神獣契約は二段階ある。


【1】名付け

【2】血の契約


 これで契約自体は完了しお互いの魂をつなげることができる。


 しかし、そのつながりに力が通うかどうかは神獣側の気持ちがないと成立しないらしい。


 だからグルカゴンはコロンを騙して契約をさせることはできたが、力の恩恵を受けることはできないらしい。


 ハクビの名前を決めたのは僕だから『名付け』は既に済んでいることになる。


 必要なのは『血の契約』だ。


 契約は2人の血を混じらせて誓いの呪文を唱えるだけ。

 特別な儀式が必要なわけじゃないそうだ。


 今すぐに僕達だけでも出来る。

 助かった。


 僕とハクビはさっそく手のひらを浅く切り血を流す。

 そして、その血が混ざりあうように手をつなぎ唱える。


【ペル センプレ インスィエーメ】


 太古の言葉で共にある事を誓う呪文らしい。


 光が僕らを包む。


 眩しくて目を開けてられない。


 力が流れ込んでくる。


 僕の体はまた成長した。

 もう長身の部類じゃないだろかとくらいに背が伸びた。

 そして、黒く太い角が生えた。


 ハクビはとても大きい白虎の姿になっていた。

 森に住んでいた頃のジジくらいの大きさはある。


 そしてすぐに人型に戻った。

 もう完全に成人の女性だ。


「あれ?

 ハクビ自分で人型にも戻れるの?」


「うん。そうみたい。

 力がしっかりコントロールできる。

 獣型にも人型にも自由に変化できるみたい」


 僕は遅れて気づいて赤くなる。

 ハクビが服を着ていないことに。


「ハ、ハクビ、服が」


「えっ? キャーー!」


 ハクビはすぐに後ろを向いて、光魔法と水魔法それに土魔法を合わせた服を着た。


 まだ顔が真っ赤だ。


 僕も恥ずかしい……

 契約で得た力の方に意識を向けることにする。


 とんでもない力だ。


 今までの僕らの力に説明が付いた気がする。


 僕らは契約の第1段階の名付けを終えてずっと一緒に暮らしてきた。


 コロンの名付けも僕がしているけど、既にグルカゴンが名付けをしているのから無効なのだろうか。

 そこはよくわからない。


 僕とハクビはお互いを思いやる事で力が通い始めていたけど、第2段階の血の契約をしていない。


 だから、力は流れ込んで来てもうまく扱うことが出来なかった。


 それが血の契約をして魂の道がしっかりつながって、すべてがうまく動き始めたということなのだろう。



 油断するつもりはないけど十分に勝てると思おう。


 今ならヘルハザードにも勝てる。


 あの時戦ったヘルハザードは相当に手を抜いていただろう。


 けどそれを差し引いても今の僕なら勝てると思う。


 そのぐらい桁違いの力があふれ出てくるのを感じる。

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