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第046話 「ウロボロス捜索」

 ルービアの屋敷を出たあとに僕とハクビは早速行動を起こすことにした。


 ウロボロスのアジトを見つける。


 ジャックは自分もついてくると粘ったが、作戦をしっかり説明すると納得してくれた。


 まずは最短でアジトの確認と状況把握する。


 その後に必要に応じてキザンクランにも頼んでジャックを含む皆で乗り込む。


 ハクビと僕は気配を消しながら街中を飛び回り、直ぐに顔まで隠れた鎧の連中を見つけた。


 ちょうどアジトに戻る途中なのだろう。


 繁華街を尾行を気にしながら移動しているのがわかる。


 尾行しているのは、一般人を装った騎士団の人間なのだろう。


 僕らは繁華街でも一番高い建物の屋根に上りウロボロスの動きを監視する。


 入り組んだ狭い路地に入り、店に入っては裏口からその店を抜け他の店に入っている。


 騎士の尾行者は直ぐにウロボロスを見失ってしまう。


 店側の協力がなきゃ出来ないことだ。


 繁華街にここまでグルの店があるんじゃ見失っても仕方ないだろう。


 やがて一つの店に入るとそこからは出てこない。


「よし! まず窓から監視しよう」


 ハクビは頷くと建物の奥の窓へ。

 僕は手前の窓に張り付く。


 武器屋のようだ。

 ところせましと鎧や剣が並べられている。


 しばらくすると、店主の座るカウンターの下から鎧の男が現れる。


 あのカウンターの下に地下空間への入り口があるのだろう。


 店の規模から考えて、店の地下だけでは精々数人分の空間しかつくれないだろう。


 ある程度の人数がすごせる空間となると、ここいらの店のいくつかにまたがって地下空間がある可能性が高い。


 つまり出入口はここだけじゃなく、ここいらの店にいくつかあるのであろう。


 僕らは高い建物の屋根に戻り、しばらく周辺をみていると、違う店から鎧の男が出てくるのを確認できた。


 少なくとも3件の店から鎧の男達が出入りしている。


「これは思ったよりも大規模な組織みたいだね」


「どうするキョウ兄?」


 うーん。

 どうしようか。


 大騒ぎになるのは避けたいな。

 けど押し入らないと話がはじまらないか。


 いくつもの店がグルになってアジトを隠そうとする組織だ。

 碌なことをやっていないのはわかっている。


「やっぱり一度戻って準備をして皆で乗り込もう」


 即断即決は戦略の基本だと僕は教えられてきたつもりだ。


 時間をかけての良策より、即断での平凡な策の方が効果的だ。


 なんといっても速さというのは戦いにおいて重要だ。


 直ぐに家に帰り、ジャックに事情を話す。


 キザンクランにも協力を頼むとギランは喜んで聞いてくれた。


 僕は念のため騎士団は変な動きをしない様にルービアに伝えに行く。


 これは騎士団とは関係ない。

 僕らの個人行動だ。


 傭兵団と冒険者が揉めて喧嘩になったなんて良くある話だし何とでも言えるだろう。


 しかし、国の公式の機関である騎士団が関わっているのは後処理がこじれる可能性がある。


 僕がルービアにそれを伝えると、ルービアは決して首を縦にふらなかった。


「これは私たちが頼んで巻き込んだ話だ。

 それを人任せにして、家で寝ているなんて絶対にできない。

 キョウ殿の言っている事もわかるが、こればかりは譲れない。

 騎士団のルービア・シュメールとしてではなく、1人のルービアとして絶対にこの作戦には参加させてもらう」


「キョウ様、すみません。

 こうなったお嬢様は絶対に考えをまげません。

 私とお嬢様二人の参加を許可頂けないでしょうか?」


「わかったよ。

 騎士の鎧をつけてなきゃ案外ばれないかもしれないね」


 そこまで言うならしょうがないだろう。



 深いフードのついたローブを全員分調達した。


 皆で作戦の認識あわせるため、ルービアとドーサルを連れてキザン道場へ向かう。


 キザンの道場へ行くことをルービアとドーサルに告げると、二人は驚いたと同時にうれしそうな顔をした。


 彼らは旧知の仲のようだった。


「おー、ルービアじゃないか。

 久しいな。ドーサルも元気そうで」


 ギランも2人を見るとうれしそうな顔をする。


 考えてみれば同じ街に居る創生の8クランである。

 親交があって不思議はない。


 特にルービア達とキザンクランは仲が良く、ルービアはたまにキザン道場に顔をだすこともあるらしい


「ギランおじさん。お久しぶりです。

 驚きました。おじさん達がキョウ殿達とつながりがあるとは」


「ははは。

 つながりも何もワシはハクビさんに稽古をつけてもらってな。

 それ以来、キザンクランはキョウさん達の軍門に下ったんだ」


「だから、軍門とかそんなつもりはないって言ってるでしょ! ギラン」


「いえいえ。ハクビさん。

 クランが特別最高顧問と共にあるのはあたりまえですぞ」


 ギランは満足そうな顔をしている。


「なんだ? 

 シュメールもキョウさん達に剣を預けたんじゃないのか」


「いえ、私は今日たまたま命を助けて頂いたのです。

 これから相手にする奴らが私の相手でした。

 なので、この作戦はそもそも私の私情もあり、みなさんには協力していただいてます」


「ルービアさん、まぁいいじゃねぇか。

 キョウは別に自分のしたいことをしてるだけだから。

 気にしないでくれよ。

 それより、キョウ。急ぐんだろ?

 作戦を教えてくれ」


 ジャックはいつだって、締めるところをしっかり締めてくれる。


 頼りになる兄貴分。

 まぁたまに頼りないのはご愛敬だ。

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