第035話 「エステルの街」
エステルの街について2日目に魔獣換金所に行った。
ここエステルの魔獣の森は、規模が大きいのでティグハート国営のギルドが管理している。
ギルドは基本的に魔獣換金所と変わらないけど、ギルドに登録した冒険者だけが森に入る事を許可されて、魔獣を換金できるシステムだそうた。
森を出入りする冒険者を把握して、実力不足の冒険者が魔獣の森へ入るのを防ぐ目的があるらしい。
また一定以上の魔獣を実力がある冒険者は上級冒険者と見なされ国から仕事の依頼を受けられる。
何段階か冒険者にもレベルがあるらしいけど、あまり興味がなかったので詳しくは覚えていない。
冒険者は基本的には戦闘力がものを言う傭兵みたいなものだから、レベル分けをしておくと便利なのだろう。
ギルドへの登録は勝手を知るベルが仕切って進めてくれた。
「3名の新規登録と4名でのパーティの登録したいんだけど。
お願いできるかしら?」
「それではこの用紙に新規のメンバーの名前と必要事項を記載ください」
僕らは名前と大体の年齢を書いて用紙を出すと受付嬢がハクビを見て、
「規則では一応年齢制限はないのですが、
あまりに小さいお子さんには保護者の正式な同意書がないと受理できません」
まぁ、ちゃんと管理しているところだったら当たり前かもしれない。
ハクビは小学校高学年くらいにしかみえない。
「私が保証人になってもダメかしら」
ベルは自分の黒いギルドカード? を見せる。
それを見た受付嬢は真っ青になっていた。
「もちろん問題ございません。
すぐに手続きをいたします。
ギルドマスターをお呼びしましょうか?」
明らかに焦っている受付嬢が言う。
ベルは気配探知もすごいし矢に闘気をこめられる。
昔冒険者をやってたなら上級クラスなのだろう。
「じゃあ、私が来ていることは内密にする様に言っておいてもらえるかしら?
あと、私から連絡するまでそちらから私に接触しない様にとね」
「かしこまりました」
あれ?
ベルってもしかしてすごい偉い人なんだろうか。
この街には色々伝手があると言っていたし。
僕らのパーティ名は【フォーレスト】にした。
突然僕に決定権が与えられて良いものが思いつかなかったからだ。
森暮らしが長い僕達をイメージして命名してみた。
我ながらひどいネーミングセンスだ。
まぁ、名前なんていい。
これで魔獣を狩れるなら当面のお金には困らないだろう。
僕らはその足でさっそく魔獣の森に入った。
確かに森も広く魔獣の数もおおいのだけど、お決まりのバトルボアやヘビの魔獣、鳥の魔獣、どれも故郷の森で数倍大きくて強いのを見たことがあるものだった。
ハクビもどんな魔獣がいるのかワクワクしていたのにがっかりしていた。
全くもって僕らの相手にならないし、パーティである必要もない。
奥に進むと強い魔獣も居るらしいがあまり期待もできない。
新人の冒険者がいきなり強い魔獣を倒すのも目立つ過ぎるだろうと考えて早めに切り上げた。
3匹の魔獣を持ち帰ると、三か月分の宿泊費と食費でも余るくらいのお金になった。
今までもたまに魔獣を狩って生活費を稼いできたからわかっていたけど、僕らはすぐに大富豪になれそうだ。
♢
ギルドには図書館のような施設がありすごい量の本が置いてある。
一定のレベルの冒険者じゃないと閲覧を許可されないらしいけど、冒険者パーティ フォーレストにはベルが所属しているので無条件ですべての本の閲覧許可がでた。
特に魔獣関係の本が充実しており、魔獣関係だけなら首都 ティグハートより情報があるだろうということだ。
本の量も相当あるので、僕らはしばらくここに滞在し、魔獣関係、グラディウム大陸関係を調べることにした。
僕はこの世界の言語が喋れるけど文字の読み書きはできない。
だから本も読めないのだけど、ベルにそのことを相談すると喋ることが出来るなら読み書きは簡単に覚えられるという話だった。
なので、この機会にベルに読み書きを教わることにした。
僕らは長期滞在を見越して冒険者向けの宿に泊まるのではなく、小さい一軒家を借りることにした。
一軒家はベルの伝手ですぐに見つかった。




