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第033話 「ドジな斥候」

 森での生活が2週間を過ぎたある日、ジャックが街から帰ってこないことがあった。


 心配しながら一晩過ごして、朝になっても帰ってこない。


 これは何かあったに違いない。


 街の土地勘があるベルがソファーナの街へ聞き込みに出た。


 ハクビもそわそわしている。

「キョウ兄、ジャック大丈夫かな? 足遅いからすぐに捕まりそうよね」


 ジャックはサラが居るせいか、妹の扱いがうまく、いつもの調子でおちゃらけながらも話もおもしろく、何より優しいのでハクビもなついていた。


 僕だって大好きな兄貴分だと思っている。


 貴族に何かされたら嫌だな。

 僕も心がざわつく。


 もしジャックに何かあったら、僕は冷静で居られる自信がない……



 数時間して戻ってくるベルの気配も感じ取ると、ベルの方へ急いで向かった。


「ソフィーナの有力貴族の一人の警備兵がジャックがこの森に入っていくの何度かみたらしくて、それが何か怪しいってことで地下牢で捕らえられてるそうよ。

 キョウ君達とつながりを疑われているというよりは、森で密猟でもして不正に儲けているって疑われてるらしいわ。

 だから、最悪でも軽いレベルの罰か、ましてや殺されたりするような心配はないそうよ」


 とても安心した。


 僕の兄貴分は斥候失格だな。

 警備兵に捕まるなんて。

 なんか可笑しくなる。


「ジャックは本当にドジね」


 ハクビも安心した様に笑う。


「じゃぁ、ベル。

 街にある馬車をとって北門からでて、ティグハート方向へ進んでいてくれない?

 ちょうどいい頃合いだしティグハートへ出発しよう」


「えっ、いいけど、キョウ君たちは?」


「僕らはジャックを連れてすぐに追いつくよ」


 ベルは僕を見て何か言いたそうな顔をしていたが、諦めたように微笑みジャックが捕らえられているという場所を説明してくれた。


「じゃ、あとでね」


 僕とハクビは急いで街へ走る。


 僕らは闘気を纏って風のように早く走れるし、何十メートルもジャンプできる。


 もちろん気配のコントロールだってできるし連携は生まれてからずっと一緒に鍛えている。


 この世界では余りある力。

 2人で動けば更に怖いものなしだ。


 こうなることをある程度予測していたので、念のためフードのついたマントを着ている。


 街が見えたところで一度止まって簡単に打合せする。


「基本的に殺しはなし。

 隠蔽魔法で目とトラ耳を隠すけど、念のためフードで顔を隠す。

 そして、なるべく顔を見られる前に気絶させる」


「もし顔をみられたら?」


「それでも殺しはやめておこう。

 ジャックを取り戻したらそのまま北門から町を出る」


「わかったわ」


 5メートル程の柵を軽々飛び越え街に入り、気配を消しながら屋根を飛び移り移動する。


 目的の建物を見つけると正面玄関へそのまま走る。


 ドアにぶつかる前に風魔法で扉をこじ開け、中にいたのはメイド2人と執事だろうか?


 彼らが自体を把握する前に後ろに回り、首の後ろを手刀で叩き気絶させる。


 このぐらいであれば、闘気をまとう必要もない。


 地下への階段がある部屋を見つける前に貴族っぽい服装の二人が奥の扉から出てきたが、声帯が揺れる前にハクビが氷魔法で気絶させた。


 地下階段の部屋では護衛兵のような男たちが武装していたが、僕の闘気で気絶させた。


 完全に気配を消しながら、ゆっくり地下牢へ降りるとジャックがあぐらをかいて下を向いていた。


 落ち込んでいる様にみえる。


 ハクビが気配を消してジャックの前まで近づく。


「ジャック、ドジね」


「う、うわぁ。なんだよ!

 ハクビ? ってかキョウも」


 後ろでみていた僕も驚いたジャックを見て笑う。


 よかった。

 少しケガをしてるみたいだけどそんなに痛めつけられていない。


「まったくジャックは。

 手間かけさせないでよね」


 《ガゴン》


 ハクビが牢屋の扉部分を闘気を使って簡単に取り外す。


「おぉ、ありがとうよ」


 ジャックは簡単に取り外された扉に驚いている。


「ケガは大丈夫? 一応治しとくわよ」


 ハクビはジャックに回復魔法をかける。


 バツが悪そうに僕をみながら真剣な口調になる


「お、おまえら、まさか町中皆殺しになんかしてないよな?」


 僕はいたずらっぽく笑う。


「誰も殺してないよ。

 何人か気絶させただけだよ。

 けど、そういうのを一緒に考えてくれるって約束した親友はなぜか隣にいなかったけどね」


「バカヤロー、これはおまえらへの試験だったんだよ。

 俺がいなくてもちゃんとやれるかってな」


 ジャックは僕の返答を聞いて安心したように見える


「ベルが待ってる。

 街を出よう。

 ジャックは僕におぶさってよ。

 遭遇した人たちはハクビの魔法で気絶させよう」


 何も反論をせずに僕の言うまま素直におぶさったジャックが可笑しくて、僕はまた笑う。


「何、笑ってんだよ? キョウ!」


「いや、なんでもない」


 僕らはそのまま北門近くの柵を飛び越えて数キロしたところでベルを待つ。


 あまりにすんなり事が運んだせいで、僕らの方が断然早く北門の先へ着いてしまった。


 しばらく待って合流したベルにジャックが何度もからかわれたのは言うまでもない。


 いざティグハートへ。

次話から新章突入です!

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