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第020話 「ジャックの副業」

 酒場から戻ると僕らはすぐに寝床についた。


 二段べットの上の段。

 2人で同時に横になってしばらく経つのにジャックの寝息は聞こえてこない。


 いつもだったらジャックは5分と経たずに寝てしまうのに。


 情報屋と呼ばれるあの男と会った後、ジャックは明らかに雰囲気がかわった。


 表面上はいつもと同じように喋ってるようにみえても、明らかにかわった。

 何かあったんだ。


 この世界に来て15年間、言葉の伝わらない世界で、相手の表情や雰囲気でコミュニーケーションしてきた。

 僕にははっきりわかる。




 ジャックの心は今、暖かくない。




 次の日、ジャックは昨日の荷台の交渉があるという事で朝早くからでていった。

 帰るのは夜になるからという事た。


 僕は街をフラついた。

 全部周り切れないくらいの店があるので暇にはならなかった。

 ジャックのことが気になる。


 夜に宿屋でジャックを待っていると、そう遅くはならずに帰ってきた。


『明日もう一度話をすれば交渉がまとまりそうだ』と手短に言うと、今日は疲れたからという事ですぐに横になってしまった。


 寝息は聞こえないから起きているのだろう。


 しばらくするとしきりに僕の方を気にしだした。


 僕はオーバーに寝息や寝返りをうって、寝たふりをしてみる。


 するとジャックは静かに起き上がり手早く準備をして宿を出ていった。



 なにかある。


 ジャックはこの一件でとても元気がなくなった。


 それに関連する何かをするのだろう。


 少し出しゃばり過ぎな気もしたが、僕ばジャックを付けることにした。


 ジャックは街を抜けて少し林道を歩いて倉庫みたいな大きな建物に向かっているようだ。

 森に囲まれた大きな倉庫。

 人気も少なく、ここに用のある者以外は訪れない場所だろう。



 見張りなのだろうか?

 倉庫の前には簡単な作りのテーブルでエールを飲んでいる二人組がみえる。


 明らかにガラの悪そうな男達だ。


 よっぽど簡単な見張りなのか周りへ神経をとがらせていない。


 ジャックはうまく気配を消しながら男達の後ろへまわりこむ。


 ナイフで1人の男のノドを一瞬で切り裂く。

 隣の男が声を上げる前にミゾオチに拳を叩き込み。

 くの字になった男の喉元も切り裂いた。




『えっ?!』

 僕は声を抑えながらも驚きを隠せない。

 ジャックは一瞬の迷いもなく人を殺している。

 とても冷たい悲しい目をしている。


 見たことのないジャックだ。


 明らかに人殺しが初めてじゃない。


 僕は複雑な気持ちになりながら、建物の中に入っていったジャックを追う。


 倉庫は背の高い建物で、通常の二階部分も吹き抜けのようになっている。

 建物の高い位置にある窓によじ登って中の様子を伺う。


 ジャックは静かに正面の大きな扉から中に入る。

 中にいた男達が全部で5人、ジャックを見てギョッとする。



「おっ、おまえ、ジャック、なんでここに」


 男が喋っている間にジャックは走り出し1人目の眉間にナイフを投擲。


 2人目は正面から飛び込んで心臓をヒトツキ。


 ナイフで切り掛かってくる3人目の一撃を屈んで避けて懐から心臓を打つ。


 ジャックに背を向け走り出そうとする4人目の後頭部にナイフが投げられる。


 あっという間に最後の5人目の後ろに回りノド元にナイフをあてる。


「おぃ、ジャック俺はお前の親父の件には関わってねー!

 本当だ」


 冷や汗を流しながら男が言う。


「余計な事は、喋るな。喋ったら殺す。

 嘘をついても殺す」


 ジャックは静かだが強い声だ


「親父を殺すように依頼をかけたのはどこだ?

 ビッケゾンは関わっているのか?」


「ビニルガルだ。

 お前ら親子がウルム周辺の奴隷の密漁者を狩ってるのが気に食わないんだ。

 ビニルガルの貴族の依頼だ」


 男の言葉を聞いて、ジャックは目をつむって事情を噛み締めている様だ。


「おまえらビニルガルとつながったのか?

 いつからだ?」


「俺は会ったこともねーよ。

 繋がってるのはお頭だけだ」


 《ガチャ》


 奥の扉が開き男達が入ってくる。



 《スパッ》


 ジャックはあてていたナイフを滑らして男の喉元を割いて、ドアの方に駆け寄る。



 すると反対側で隠れていたであろう6人目が正面の入り口から逃走をはかろうとする。


 ジャックは逃げてく6人目に一瞬気がとられたが、既に奥のドアから出てきた3人の男が斬り掛かって来ている。

 6人目を追う事は出来ない。


「なんだー? 何があった?」


 奥の部屋からは更に新しい声がいくつかジャックへ近寄ってきているが分かる。



 撲は逃げた6人目を追う事にした。


 全力で森の中を数百メートル走った男は安堵の表情が見て取れる。


 僕は森の木々を飛び移りながら男を追っていた。

 そして、木から飛び降りて休んでいた6人目の後ろを取る。

 ジャックがしていたように喉元にナイフをあてる。


 男はすぐに状況を把握したのか暴れたりはしない。


「なぜジャックは君達を襲っているの?

 事情を話して」

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