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第015話 「ウルムの村」

新章開始!!冒険が始まります!

ウルムの村はキヌガ大森林の一部です

 目を覚ますと……サルは見当たらない。


 辺りを見回すと、そこは知らない森の中だった。


 僕は死んだのか? 転生したのか?


 カカやトトはみんなはどうなった?

 ドラゴンは倒せたのか?


 状況を整理しよう。


 僕の体はドラゴンに突っ込んだキョウのままこの知らない森に存在してる。


 なぜ僕の知らない森だと断言できるかと言うと、この森はとても寒い。


 腰布一枚の僕にはだいぶキツイ。 

 僕の故郷のあの森周辺の気候では絶対にない。


 今度は前世のまま違う世界に転移したのだろうか――いや、死んでないから前世とは言わないか。


 もしくは、あの世界のままどこか遠くに転移させられたのか。


 どこでもいいけど、どうにかしてあの家に帰れないかな……

 コロンが待ってるんだ……


 みんなのところへ帰らなきゃ。


 早く。

 早く、早く。


 おかしくなりそうな気持ちを抑える。


 やる事は決まっている。


『情報を集めてみんなを探す』


 それだけだ。


 焦ったって何にもならない。

 分かっている。


 けど直ぐにネガティブな思考が出てくる。


 みんな死んでいるかもしれない?

 二度と会えなかったらど――


 ダメだ。

 考えちゃダメだ。


 みんな生きてる。

 また会える。

 信じる。


 できる事に集中する。

 気持ちを切り替えなきゃいけない。


 僕はこの世界で『今、その瞬間だけを生きる』事をずっと練習してきた。


 大丈夫だ。

 できる。


 ゆっくり呼吸をしながら目をつぶる。

 数時間はそうして座っていた。


 だいぶ気持ちは落ち着いた。


 ネガティブにフタをして前だけを見る。




 ♢




 どうやって情報を集めるか改めて考えていたところ、


「助けて-」


 遠くから女の子の悲鳴が聞こえる。


『助けて』って言葉が聞きとれた?!


 てことは、ここは人間が居る世界なのかな?


 とりあえず闘気を使いながらそこまで走っていこうとする。


 が、豪快につんのめってゴロンゴロン転がってしまう。


 やはり何かがおかしい。


 闘気がうまくコントロールできない。

 寒いだけじゃなく体の周りを覆っている空気? 大気が故郷の森とは違う。


 転んで擦りむいた膝に回復魔法をかけてみる。


 一応治癒できたもののやっぱり出力がうまく調整できない。


 とりあえず闘気も魔法も使用は控えた方がよさそうだ。


 僕は闘気を使わずに悲鳴があった場所へ急いだ。


 悲鳴の元へたどり着くと、赤い目のイノシシに10歳くらいの女の子が襲われていた。


 どうやらギリギリ間に合ったようだ。


 女の子は林の木々をうまく利用しながら逃げて居るが、もう限界といったところだった。


 赤目のイノシシは、僕の故郷の森のイノシシにとてもよく似ている。

 しかし 1/3程の大きさしかない。


 今にも襲いかかろうしているイノシシに体当たりする。


 ちょうどいいところに太めの木の根がこちら向きに地面から突き出ていたので、それをうまくイノシシの心臓が刺さるようにした。


 狙い通り飛んで行ったイノシシは心臓が潰れて一瞬のうちに絶命する。


 それを見た女の子はヘナっと地面に座り込んで静かに泣き出した。

 よっぽと安心したのか今になって涙が出てきたようだった。


「あ、ありがとうございます」


「い、いえ」


 僕は15年ぶりに言語を使って会話した。


 どんな仕組みかはわからないが日本語に聞こえる――日本人じゃないだろうが……


 割と違和感はない。


「サラー、サラー」


 遠くから男の声が近寄って来る。


「お兄ちゃーん」


 少女がうれしそうに叫ぶ。


 長く待たずに、大慌ての少年が現れて僕と目があった。


 オレンジ色の髪をしたスラっとした好青年。

 チビの僕よりはだいぶ身長が高く年齢も上だろう。


 並々ならぬ殺気を放っている。

 しかし、状況を察したのか殺気は直ぐに消えた。


「サラ、大丈夫か?」


 男はサラと呼ばれる少女のもとへ駆け寄る。


「うん、この人が助けてくれたの」


 男は真剣な表情で僕の方へ体を向ける。


「そうだったのか。妹を助けてもらってどうもありがとう。

 あんた、バトルボアを武器なしで倒せるなんて相当の腕なんだな」


 男はぶっきらぼうに話すが嫌な感じはしない。


「いや、たまたま声が聞こえて来てみたら、

 ちょうど目の前にイノシシが居たんで体当たりしたんだ。

 そうしたら運良く木の根にささってくれたんだよ」


 なんとなく嘘をついてしまった。


 割と長文も話せる。

 特に違和感はない。


「イノシシってあんた? バトルボアを知らないのか?」


「え、うん」


 ちょっと焦りながら答える。

 イノシシはバトルボアと呼ぶらしい。


「そっか。それはそうとなんでそんな格好なんだ? 寒くないのか?」


 質問は続くが、男は追求してこなかった。


「森で野営してたら盗賊に襲われて、身ぐるみ剥がされてしまったんだ」


 どんどん嘘が出てくる。

 そもそも盗賊なんているのかわからないけど……

 案外嘘をつくのは得意なのかもしれない。


「そうか、それは災難だったな」


「じゃぁ、お兄ちゃん。

 お礼も兼ねて家で休んでってもらおうよ」


「おー、そうだな。是非、そうしていってくれよ。

 俺はジャック。こっちは妹のサラだ」


 サラが軽く会釈する。


「僕はキョウ。それじゃあ、お言葉に甘えようかな」


 一瞬迷ったけど断る理由はないだろう。



 魔獣を引きづりながら2人の家へ向かう。


 バトルボアの皮やキバはお金になるらしい。


 道中、兄弟で軽い喧嘩をしていた。


 サラはこの森で取れるという薬草を取りに来てバトルボアに遭遇したらしい。


 ジャックは魔獣に襲われる可能性を考えて1人で森に入らないよう言ってあったらしい。


 しかし、サラは言いつけを守らなかった。


 何度か言い訳をしていたが、心配をかけたことについてサラは素直に謝っていた。


 ジャックがとてもサラを心配していたのが伝わる。

 兄弟の思いやりを見て少し胸があつくなる。

 ウチの妹達どうしてるかな……獣だけど。

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