放課後
学校を終え、俺は一人寂しく帰ってた。
「よっ、櫻井一人?」と不意に後ろから声をかけられた。
「そうだよ、生憎な」
話しかけてきた彼女の名前は斎藤十華クラスは違うが高校一年のときある事があって、知り合った。明るい性格をしていてときたま人を小馬鹿にしてくる奴だ。八重歯がよく似合っていて可愛いと思う。まあ、うちの妹には敵わんがな
「仕方ないな、うちが一緒に帰ってやろうじゃないか」
「ありがとさん」
「まあ、あの件お礼も兼ねてね、」
「あの事はもう気にしなくていいって」
先程も言ったあの事について語ろうと思う。
高校一年時の俺は今と変わらず、教室で一人でいた。その日、俺はいつも通り一人で帰ろうと下駄箱で靴を履き変え昇降口をでてみると校舎裏の方から微かに声が聞こえてくる事に気付いた俺は興味本意でその声のする方まで足を運んでみると、そこでは3人の女子が1人の女子を恫喝していた。どうやら金をせびっているようだった。いつもだったら見て見ぬふりをするところだったが、その時頭によぎったのは先日妹がテレビを見ていて、不意に発した。「イジメって最低、それを見て見ぬふりをする人も最低だと思う」という言葉だった。その言葉が頭をよぎった俺はあまりよくない頭をフル稼働させ、打開策を練った末に思い付いた策は単純明快だった。携帯で現場をこっそり撮影し、恫喝してる3人に逆に脅しをかけてやることだ。正直実行するのは怖かったが妹の一言には自分にとってなによりも大切だったため、恐怖心を封じ込め強行した。結果、この策は功を奏し相手はイジメをしないことを誓わせた。おそらくやめはしないだろうが少なからずこの女子こと斎藤十華はターゲットから外れるだろうと思った通り、その件以来イジメを受けている様子はみる事がなくなった。と、まあ結果的に斎藤を助けた事にはなっているが、助けた動機が妹の一言であることを斎藤は知らないー。
「あれはうちにとって心から助かったことだからさお礼だけはさせてよ、本当にありがとね」
これだけ感謝されている以上妹の一言がなければ助けなかったとはさすがに言えない。
「そうかい。んじゃどういたしまして。」
そんなことを話している間に斎藤との分かれ道に辿り着いた。
「それじゃあな、斎藤。」
「うん、バイバイ櫻井!」
斎藤と別れすぐに家につき玄関を開けるとそのには天国があった。妹2人がお出迎えしてくれた。
「おかえり、お兄ちゃん」「おかえりなさい、お兄様」
「ああ、ただいま。お出迎えありがとう、あと今日は用事があるから着替えたらすぐに家を出てしまうんだ。」
「そうですか、何時くらいになるでしょう?」
「8時に帰ると思うよ」
「では、それに合わせて夕食を作っておきます。何か要望はありますか?」
「うーん、特にはなぁ。そうだ、千愛は何かないのか?」
「別に、特にはない。しいて言えば久しぶりにカレーが食べたいかな。」
「じゃあ、カレーを頼んだよ。あ、あと俺のはちー」
「中辛ですよね?わかってますよ。」
「要望が多くてごめんな」
「いえいえ、お気になさらず」
「ありがとう。」
会話を終えた俺は部屋で着替えを済ませると、いつも出かける時に持っていくポーチをもった。すこしむすっとしていた千愛のことが気になったが。よくわからないから後で謝っておこうと思う。妹に嫌われるのだけは嫌だからな。
「それじゃあ、いってくる」
返事がないが単に聞こえていないだけであろう。今日の用事というのは実はいつも頑張ってくれてる妹達にプレゼントを買いにいくことだったため妹達には内緒にしてきた。
〜妹side〜
「百恵、お兄ちゃんが出かけるそうだけど?」
「千愛さんはどうかなさるんですか?」
「私はもちろん追いかけるわね」
「そうですか、やはりお兄様のことに関しては意見が合うみたいですね」
「それじゃ、支度して五分後リビングで」
「了解しました」
〜一誠side〜
俺は家をでて15分くらいのところにあるデパートに来ていた。妹達にプレゼントとなるとかなりの散財は覚悟の上だ。すこし探索すると女性の喜びそうな物の売ってる店を見つけたのでそこに入ることにした。と、その時どこかから視線を感じたが気のせいだろう。
〜妹side〜
「お兄ちゃん、あんな店入ってどうするつもり?」
「きっと女性へのプレゼントですわ。」
「まさか、私達以外の女性へのプレゼント!?」
「そんなわけなー、あ、でてきた。」
「なにももってないみたいですね」
「めぼしいものがなかったんでしょ。さ、尾行を続けるわよ」
続く