さぁ、この広い大空に
先に言っておきます
色々とゴメンなさい
感想、マジでください
満天の星空への幻想感が大好きな人は読まないでください
これはマジ
――1――
「……だぁ――――!!」
「!?いきなりなんだよ!!」
僕の隣にいた少女、赤西由樹は、いきなり大声を出す
あまりの大きさに周りの人が由樹を見た
………まぁ、周りの人っていっても僕と先生だけだけど
「なんで!なんで!なんで!!なんで七夕に!補習が!あるのよ――!!」
「てめえの責任だろうが……」
先生が呆れた様に呟いた
僕も呆れて言う
「…君の点数があまりに低すぎるから補習を受けなくちゃいけなくなったんだろう…?
付き合う僕らの身にもなってくれよ…」
「七夕は!恋人たちの!憩いのときでしょうがー!!」
『ごめん、訳がわかんねぇ』
由樹の意味不明の叫びを僕らはアッサリと切り捨るように突っ込んだ
そう、彼女由樹は成績の悪さは天下一、と例えられるほど成績が低かった
去年は進級ギリギリで、今年は留年か、と噂されているほどだ
でも、今年の担任の先生が熱心なほど生徒に情熱を注いでおり、今日の補習も先生が企画したもの
僕も成績がいい、という理由だけで今回の補習に参加された
………最初のセリフは僕が言いたいよ
「悪いが氷雨、俺は1度職員室に戻らなくちゃいけないから」
「あ、はい…」
先生はそういうと教室の扉を出る
………で
「…なにやっているんだよ…」
「……家捜し?」
「聞くなよ、そしてなんだよ家捜しって」
由樹は部屋の中を荒らし回っていた
その内、ポトリと古びた巻物が落ちる
「……なんだこりゃ?」
「巻物だろ。さ、戻って補習補習
早くやれば早く終わるからさ」
「開けてみようか」
「ダメ!」
「えい!」
「あ……」
由樹は巻物を紐解き一気に広げる
―――ソコに書かれていたのは“夏の大三角形”と呼ばれる星々…琴座のベガ、鷲座のアルタイル、白鳥座のデネブの3つだった
………たぶん
え?なんで“たぶん”なんだって?
それは巻物に書かれていたのは3つの黒い点だったから
その隣にそれぞれ“織姫”“彦星”と書かれていた
本当にそれだけだった
「…空を舞う姫君よ…
汝が想いはもはや届かず…」
「……は?」
突然、由樹が変なことを言い出したのだ
僕は思わず目が点になった
そして、次の瞬間―――
「巻物光ってないか!?」
「え?あ!本当だ!」
巻物がひかりだし、僕らの意識は無に落ちた
………ここで、僕の自己紹介をしよう
僕の名前は氷雨蓮
本当にただ、平凡な高校生だ
――2――
意識が戻ると、そこは満天の星空の上だった
「……どこだここ?」
知らず知らずの内に声が出る
ふと、隣を見れば由樹が幸せそうな顔で眠っていた
「おい、起きろ、おい」
「ん〜?…ってここどこ!?!?」
「星空の上、そうとしか言えないね」
「あんびりぃばぶる!!」
「…………」
ハイテンション、としか言い様のない慌てぶりに少々の苛立ちを覚えたが、僕は冷静になって周りを見渡す
本当に星空の上、としか例え様のない世界だった
奇妙な浮遊感に囚われたが、それよりも僕はある人物に目を奪われてしまった
「……あれって…織姫様!?」
僕の考えを由樹が代弁する
そう、僕らの目の前の人物は美しく、知性を秘めた女性で、着ているものは昔の中国風の服装、
どうみても織姫だった
だが、今は嘆き悲しみ、涙を流している
なにかあったのだろうか
そう思案していると、とあるK(空気)Y(読めない)馬鹿が話しかけた
「お〜い、なんで泣いてるの〜?」
「うおぉぉい!?」
とあるKY馬鹿=由樹
「………あ、あのあなたたちは…?」
「……氷雨蓮です」
「赤西由樹だよん♪」
涙で真っ赤になった織姫の質問にあくまで冷静に答える僕に対し、KY、としか例え様のない明るさで答える由樹
あまりに空気が読めてないので僕は突っ込みがわりに由樹の頭をしばく
何気にいい音がした
「なっ…なにするの!!」
「失礼ですけど……貴女は織姫ですか?」
「は…はぁ…」
由樹の怒りを無視しながら答える僕に対し驚いたように答える織姫
まぁ、昔の人の反応としてはいい方だろう
……本題にいこうかな…
「先程はどうして泣いていたんですか?」
「…今日は7月7日…」
「七夕だよね」
「……それと同時に織姫と彦星が……そっか、彦星に会えなくなったのか」
「はい……」
「なんでさ、天の川くらいなら渡れるでしょう?」
「…カササギ…」
『は?』
織姫の呟きに思わず聞き返す僕ら
カササギ?なんのことやら
「7月7日…天の川の上をカササギが橋の様に架けてくれるから…私たちは出会えた…
でも、今年は…」
「そのカササギが1匹もいないってか」
だから会えなくなったのか
カササギを見つけださなくては……でも、どうしたらいいか分からない
だが、KYな由樹はアッサリと言い切った
「…よし!任せて!!私たちがなんとかしてあげる!!」
「……はぁ!?」
「…よろしくお願いします!!」
僕が反対意見を言う前に、織姫が承諾してしまったので僕は反対できなくなってしまった
僕も助けたいとは思ったけど………
……どうしろっていうんだよ……
――3――
織姫と別れて歩くこと5分、僕は由樹に尋ねてみた
「…どうするんだよ…」
「う〜ん……」
僕の質問に由樹は、考え出した
なにも考えてなかったんかい……
そう、突っ込みたかったが、止めておいた
向こうから人がやってきたからだ
その女性は水の乙女、としか例え様のない美女
そうとしか言えなかった
「あなたたちは…?」
「氷雨蓮です」
「赤西由樹だよん♪」
またもハイテンションで答える由樹を一撃する
やはり、美女は呆れ果てていた
美女は水瓶座のアクアと名乗った
ちなみに水瓶座は英訳するとAquariusらしい
「…で?何故あなた方はここにいるの?」
「え?あ…実は…」
織姫のことを言うとアクアは知らない、と言った
「そういえば確かにカササギがいないなぁ、とは思ってはいたんだけど
そんな事態になっていたとはねぇ…」
「誰か他に知っていそうな人はいませんか?」
「ん〜……レオに聞いてみるしかないかなぁ…」
アクアはそう言うと、懐から携帯電話を取りだし、慣れた手つきでボタンを押すとレオ、という人物にかけだす
電話使えたのかよ!と突っ込む前に、アクアが携帯を切り僕に向き直る
「レオも知らないってさ」
「あ…そうですか……」
こう答えるしかなかった
ちなみにレオ(Leo)は獅子座の英訳、次は乙女座(Virgo)か、射手座(Sagittarius)か、山羊座(Capricorn)か
「ねぇねぇ!この人がカササギ見たって!!」
由樹が連れてきたのはどこかの男性
…コイツどこ行ってたんだ?
「あ、どうも、マーズです」
マーズ(Mars)かよ、火星かよ、惑星かよ
「カササギを連れ出す怪しい人影が……」
「すまん、始めから話してくれ」
「ん…あぁ、わり…
実は、今日俺はジュピターへの告白の練習をしようとだな……」
「……すまん、手っ取り早く教えてくれ」
ジュピター(Jupiter)……木星に告白ねぇ…やっぱり惑星は惑星に恋をするんだなぁ…
というか、惑星どうしの子供ってなんだろう…やっぱり惑星なのか……
「……まぁ、俺がいつもどうり告白の練習をしようと、北緯75度あたりに行ったらなぁ……」
「………1つ、突っ込んでいいか…?」
「別にいいが?」
「いつもどうり告白の練習してんじゃねぇ!とっとと告白しろ!
というか北緯75度ってどこだ!?」
「あっはっはっ、手厳しいなぁ〜」
ちなみに由樹は話に全くまざれていない
少し離れてどこかの女性と話し込んでいる
「で?次々」
「あぁ、いつもどうり北緯75度に行ったんだ
そしたら、真っ黒な影がカササギを大量に連れ去っていたんだ
カササギは暴れていたから、水音が凄く立っていたんだ」
「……悪いけど連れていってくれないか?その北緯75度に」
「あぁ…いいぜ」
「あのさぁ…」
話し込んでいた俺たちに割り込んできたのは由樹だ
隣にはさっき話し込んでいた女性だ
はっはぁ……そういうことか
「ジュ、ジュピター!?」
「あの…さっきの話を聞いて…」
「あ、あの…答えは!?」
「ごめんなさい!!!」
「ガ――――――ン!!」
憐れ、また1つの恋心が散った
――4――
「………ここだ……」
マーズが案内したのは北緯75度と呼ばれる地点
涙目なのは、きっとさっきの失恋が尾を引いているのだろう
「気にすんなよ!失恋なんていくらでもあるだろ!」
失恋者には恐らく最も残酷なセリフを由樹が言い放つ
思惑どうり、マーズは人生の終わりの様な顔をしている
「…で?そのカササギ泥棒はどっちに行ったんだ?」
「………こっち…」
マーズが指差した方向は“東”だった
ここからは一本道なので、迷う必要はなさそうだ
「…よし…行くか!」
「OH!逝くぞ!!」
「お決まりのボケをかますな!」
僕は再び由樹の頭をしばく
さっきしばいたときよりもいい音がした
「ここは……?」
ついたのは変わった屋敷だった
うん、なにが変わっているかって…………
屋敷の周りに星々がキラキラと飾られている時点でもう変だろ
しかも、看板っていうのかな……扉の上に金ぴかの文字で“Venus”と書かれていた
「悪趣味すぎるだろ…」
「悪趣味ってレベルじゃないよ……」
ちなみに“Venus”は惑星の1つ、金星だ
作者よ………金星になにか恨みでもあるのか……?
とりあえずチャイムを………
「お…押したくねぇ…」
「…み…右に同じ…」
いや、だってチャイムウ〇チだぞ?ウ〇チ
誰も触りたくねぇっつうの――というか、どんなセンスしてんだよ…この屋敷の持ち主は……
「ハ〜イ♪」
『っ!ぎゃぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!!!』
いきなり人が出てきたことと、出てきた人を見て僕らは悲鳴を上げる
いや…だって……
出てきたのは、ものすごい脇臭そうな濃い髭面の、女物の服を着た、オッサン………
「あ〜ら♪可愛いじゃない♪なんの用?」
「ひぃっ!す、すみませんでしたぁ!」
バチンと音がしそうなほど激しいウィンクに涙目で謝る由樹
別に謝らなくてもいいのに……
「…いや、あの…カササギが盗まれた件についてなんですが……」
「……何故私だとわかったの?」
………
「なに自白しちゃってんの!?ある意味自爆!?これ自爆だよね!?」
「あら〜♪失言?うっかりぃ♪
てへっ♪」
バチンと再びまつ毛が閉じる音がする
そんなヴィーナスの姿に涙目になる由樹
「……帰りたいよぉ(ToT)」
「顔文字使っても帰れねぇよ」
正直言うと俺も帰りてぇよ…(ノ△T)
けど、アホみたいな雰囲気とは裏腹に、金星のオッサン(ヴィーナスというらしい)は異様なまでに集中力を増していく
それに続くように、ヴィーナスの身体中の筋肉は赤く染まり、湯気を立てはじめている
ヴィーナスの服装がおかしくなければ、十分、バトル系では絵になる光景だ
「悪いけど……口は封じさせてもらうわ♪」
「封じます!封じます!だから帰らしてください!!」
由樹の願いも虚しく……
ヴィーナスが襲いかかってきた
――5――
ヴィーナスが襲いかかり、戦闘は不回避となったはず………
……だったよな……
「ま…負けたわ…カハッ…」
「弱ぇ……」
いや、だって、ワンパンチ一発だよ?
まさか、入るとは思わずにヤケクソで放った一撃が、まさかの顔面ヒットで撃沈だよ?
さっきまでの戦闘ムードはなんだったんだよ……
さっきのシリアスムード返せよ…
「ごめんなさい…カササギを売って金にしようと……」
「待て、なんだその現実味に満ちた理由は
金なのか、この世界も金がものをいうのか」
ヴィーナスの突然の自白に思わず突っ込む僕
この星空の世界は清らかな世界であってほしかった……
でも、携帯とか使っていたしやっぱりこの世界も産業革命とかがあったのだろうか……
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「いや、もう大丈夫だから
いつまでも謝ってんじゃねぇよ
ひ〇らしの羽〇か」
「アハハ…アハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「〇ナ!?」
由樹の行動に突っ込みまくる僕、
元ネタ、分からなかったら無視の方向で
分かっても無視の方向で
「……まぁ、いいか…
で?今、カササギはどこにいるんだ?」
「…この、家の裏に…」
ヴィーナスが指差した先にある悪趣味すぎる家
それの裏にいるというカササギ
「…まぁ行ってみるか……おい、行くぞ」
「………ハイ」
やけにテンションの低くなった由樹を連れて、僕は家の裏に急ぐ
「まぁこれで終わりかな……やっと帰れるよ…」
僕は今までの疲れからボソッと呟いた
だが、この考えは間違っていた
なぜなら………
「…遠すぎる!!」
「ウガ―――――!!」
復活して暴れだす由樹を抑えつつ、僕は地平線の彼方を見つめた
そこには、まだヴィーナスの屋敷が続いていた
最初はなんとかなるだろう、と思っていたのだが………
かかった時間……今までで約1時間半……
「広すぎるわ―――!!」
「分かったからもちつけ、いや落ち着け」
「疲れたぁ――!!」
「ハイハイ分かったから分かったから」
暴れだす由樹を再び抑えつつ、歩きだす僕ら
………あと、どのくらいかかるんだ…?
「……だりぃ…」
「…は、早く、か、帰りたい、よぉ……」
「……み、右に同じ…」
………結局、あと3時間かけてカササギのところについた…
「…帰りは憂鬱だ……」
「…だね……」
もう、歩いて戻りたくねぇ………
そう思って、なにかいいものはないかと周りを見渡せば……
あったよ………
トラックが………
「…免許無くても大丈夫だよな…?」
もう、星空の世界にトラックあるのか?という突っ込みはなしで
「…いいんじゃない………たぶん」
カササギは眠っているし、たぶん大丈夫だろ
由樹の言葉でそう判断すると、僕らは苦労して眠っているカササギをトラックの荷台に乗せる
「さてと…長居は無用、さっさと行くか」
「活きましょう!」
「字が違う!」
また、同じネタを繰り返す由樹の頭をしばく僕
さっきよりもさらにいい音がした
「天の川にこいつらを放しておしまいか……」
感慨無量の気持ちで僕は呟いた
今までのことがことだけに、最後くらいは華麗に終えたい……
そう思っていた
「最期に七夕饅頭勝っていこうよ」
「字がまた違うぞ……っていうかあんのか!?七夕饅頭!?あったのか!?」
「天の川で売ってたよ
遅れているなぁ」
「遅れているのか…?遅れているのか…?」
由樹との会話もまだまだ弾む
いやぁ、青春っていいなぁ………
誰だオヤジ臭いって言った奴
でも、もうすぐ終わる………
それだけは絶対だと思っていた
「甘いわぁん!!」
誰かがトラックを止める
僕の予想では、多分人1人だ
「ヴィ、ヴィーナス!?」
由樹の呟きを止めた本人――ヴィーナスはどこ吹く風と聞き流し……投げキッスを投げた
吐いた
えぇ、吐きましたとも、
僕と由樹が
「美の象徴は何度でも蘇るのよ!!」
「うるせえよボケ
てめぇのどこが美の象徴だ
1回内臓ぶちまけて死にさらせ」
自分でも、自分の声が冷酷に聞こえた
「ぶっ殺せ!!YA―HA――!!!!」
由樹のテンションも今までで1番高くなっている
アクセルを踏む足に力が入る
トラックが音を立てる
ヴィーナスが踏ん張る
………不意に銃声がした
「……少し…頭冷やそうか………」
現れたのは織姫だった
こめかみがピクピクいっているのは気のせいではないはず
セリフが某冥王のセリフなのも気のせいではないはず
「ちょっとあの世にお使いを頼みます」
こめかみをピクピクさせたまま織姫は銃を乱射する
ヴィーナスが避ける
そこをすかさず
「good bye」
僕がトラックでヴィーナスを撥ね飛ばした
どこかの悪役になった気がした
「バーイバーイ〇ーン☆」
某アニメの悪役のヤラレゼリフを言いながらヴィーナスは空の彼方へと吹き飛ばされていった
不思議と罪悪感はわかなかった
――6――
「お陰でカササギが帰ってくれました
これから、彦星と会おうと思います
本当にありがとうございます」
「本当によかった……」
「……水を差すようで悪いのだが……」
あれから30分、無事に天の川に辿り着きカササギが美しい橋を作っている
ヴィーナスは西経89度辺りで発見されたのだが、ピンピンしていてあの悪趣味な家に帰ったそうだ
また元気なことで……としか言い様がない
もう会いたくはないが、もし次に出会ったら確実に息の根を止めてやろうと誓った
そのとき、由樹も殺害方法を必死に考えていたので、おそらく同じ気持ちだろう
それくらい必死になって勉強してくれたらなぁ……と、思ったのは秘密
「なんでしょうか?」
「俺たちどう帰ればいいんですか?」
「…あぁ!現世に帰るなら、そこのモーターボートで……」
星空への夢を帰してください……
そう思ったが、帰れなくなっては元も子もないので、ありがたく恩恵を受けることにした
「おっし、帰るか……ってなんだそれ?」
ふと見れば、由樹は長方形の箱を抱えている
例えば、ほら、温泉饅頭の様な……
「ほらさっき言ってたじゃん…七夕饅頭」
「………マジで有ったのか!?」
ドコで売ってたんだ!?
ってもう織姫行ってるし!別れを少しは惜しんで!
………もしかして…
そう思うと、僕は知らず知らずの内に呟いていた
「……織姫と彦星って世界で1番最初のバカップル?」
「…かもねぇ…」
僕の疑問に曖昧に答える由樹
その目は『正直どうでもいい』と語っていた
モーターボートに乗り込みエンジンをかけて、いざ出発♪
河の流れにのって、モーターボートを走らせていく内に、謎の声が聞こえてきた
《おい、起きろ、おいってば――》
その声は、どこかで聞いたことがある声だった
どこかで――――
「氷雨、起きろ
なに居眠りしているんだ
コラ」
「………ハイ?」
気がつけばそこは、いつもの教室
先生が僕らを揺さぶっていた
隣では由樹が爆睡していた
「ぐごぉぉおぉぉぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉ!!ぐげぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇえ!!」
『…………』
うるせぇ……
あまりに腹が立ったので、頭を10発近くしばきまわす
とてもいい音がした
「もう、今日は遅いから帰ってもいいぞ」
「ありがとうございます♪」
「現金だなぁ……」
頭にタンコブを作りながら、お気楽に答える由樹と、その態度に呆れ返る僕
もう、時刻は8時を回っていた
外に出ると、出迎えてくれたのは満天の星空
あまりの星の多さ、美しさに“夏の大三角形”を探し出すのは不可能に思えた
「キレ――イ♪」
「凄いな……」
駅までの間、満天の星空を見つめながら歩く僕ら
だが、僕は1つ気になることがあった
あれは“夢”だったのだろうか………
星空に答えを尋ねても、帰ってくることはなかった
だが、それはそれでいいのかもしれない…
空は常になにも問わず、言わず、その姿を変えていく―――
それが、空の真の美しさだと、僕は思っている
「夏の大三角形ビィイィィイィィィム!!」
「雰囲気壊すな!!」
KYすぎる由樹のセリフと行動に、僕は由樹の頭を全力でしばく
今までで1番いい音がした
さて、明日も頑張るか
☆Fin☆
あ――
感想など、いただけたら嬉しいです
オリジナル小説『神様と私』の方も見て、感想をください