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ぼくと彼女の変わった日常。  作者: ねむ。
変わった日常。
8/65

勘違い野郎、再来。

怖い兄さんから逃げ、無事に電車に乗り込んだ。案外空いていたので遠慮なく席に座る。

すると、アリスがこんな話を始めた。


「そういえば、この世界には『奴ら』がいないよね」

「奴ら? って誰?」

「モンスターよ! 人を喰う木とか、ゴギャーって鳴く魔鳥とか」

「そんなのがいてたまるかよ……」


脳内で想像してしてみるが、そんなのはマンガの中だけで十分だ。日本の空を仕切るのはピーヒョロロロ……と鳴くトンビと決まっているのだ(ぼくの中では)。


「じゃあ魔法は?」

「そんなのあってたまるかよ。魔法なんか夢のまた夢。使えたら世界征服できるわ」

「使えるのに退化してるんだよ……」


とんでもない言葉が聞こえた。


「え? 使えんの?」

「使えるよ! だからこの世界にも『魔法』って概念が存在するんでしょ。見てて」


人のいない車両。アリスの手元に金色の光が集結して何かに形を変えて行く。

出来上がったのは、小さいが確かな炎だった。


「ふひっ、どーよ」

「おぉ……! なんでもありだなこの話」

「異世界から来た私の存在がある時点でなんでもありだよ」

「そうかな……。そうだな!」


できれば中二でアリスに出会いたかった。


「奏唄も試してみれば?」

「試せって言われてもな……」


これは完全な黒歴史だが……

胸元に『亀』って書いてある服着た、金髪のお兄さんを真似たこともある。なんなら、100均で刀三本買って、くわえたりしたこともある。でもあれ、喋れないんだよ。緑髪の剣豪さん、よく喋れるよね。


「具体的にはどうしたらいいの?」

「えーっと……」


「ならば私がレクチャーしてやろうか?」


「「ウォシュレット(殿)!」」


どうして奴がここにいる……!

内心テンパりまくりのぼくだった。


「姫。さっきはよくもやってくれましたね」

「う……」

「おかげで『緑茶』と『おせんべい』という固有名称の食品と巡り会えましたよ。感謝します」


……この人、警察で何してたんだ?


「で、そこの少年!」

「はっ、はい!」

「名前は?」

「織宮 奏唄です」

「そうか……。奏唄様か……!

殿とかつけられちゃうと、照れるではないか!」

「は? 奏唄様?」

「姫の夫になるのだろう? そのようなお方に『殿』などと呼ばれると恐縮するのだ。私のことはウォシュレット兄さんと呼んでくれ」


やっぱりこの人(?)ものすごい勘違い野郎だ。

アリスもアリスで、『やった! ウォシュレットの野郎、私を諦めた!』みたいな感じのほっとした表情をやめてくれ。


「では、奏唄様。私が魔法のレクチャーをしようではないか。姫を護るため、魔法を身につけておくのも大切だろう?」


何からアリスを護るんだよ。この世界にはモンスターなんていないぜ、兄さん。

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