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ぼくと彼女の変わった日常。  作者: ねむ。
変わってしまった日常。
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黒と銀の出逢い

夜枷とロムは、とある荒野でその人と対峙していた。

銀色の髪の男を先頭に歩く数人。


「ちょっとすいません。お話よろしいかな?」

「すまない。俺たちは先を急ぐんだ、邪魔しないでくれ」

「少しだけですよ〜? ダメですかぁ〜?」


奏唄と別れた後、夜枷とロムは様々な知人を巡り歩きとある一つの情報にたどり着いた。その内容は「地球からやってきた人間がいる」というもの。



「詳しく聞かせてくれ」


「いいともよ。そいつはな、財軍複合国に拾われて研究のために飼われたらしい。様々な薬を投与され、ショックと副作用で髪は白くなったって聞いたぜ。信ぴょう性の欠片もない噂話だがなぁ」


「……うん、ありがとう」


「なんでもそいつは人間にして魔法を手に入れたらしい。不完全なものらしいけどね。そして捨てられて、またどこかに拾われたってのも聞いたことがあるな」



白髪なんて、そうそういるものじゃない。

その後は簡単だった。様々な街で聞き込みを行い、今に至る。


二人を無視して歩いて行く男たちに、背から声をかける。


「ゼスト……ってご存知ですかぁ〜?」


銀髪の男は立ち止まり、振り返る。


「ああ、よぉく知ってるさ」


男は多数の触手を出してこちらを向いた。



「お茶持ってきました〜」

「うむ、ありがとう」


ミナハちゃんは、ソノが生み出した精霊のようなものらしい。普段は一角馬の姿で野を駆けているのだが、主人であるソノが望めばこのように少女の姿もとれる、ということだった。


「で、ソノさんもゼストに恨みがあると」

「恨むなというほうが無理な話だろう? 何せ国を潰されているのだからな。戦争に発展しても問題ないレベルの話だが生憎こちらは兵が0だからな……」


この人はカカハ・フラネオの事件の頃からぼくたちを見ていたらしい(ただのストーカー)。人間でありながら魔力を持つぼくに興味を持ち、観察していたときにアリスが倒れ、近づくつもりはなかったが体が勝手に動き、この家に招いて救ってくれた(いい人だった)。


「ぼくたちもゼストとは少しいろいろありまして」

「ゼスト、か……。まったくタチの悪い国だな。地球で起こるかもしれない戦争も〝地球侵略を企むゼストを止めるための防衛戦〟という裏の理由があったのだし」


初耳だ。彼女が言うことが事実ならば夜枷たちは……


「地球に向かった偵察兵二名と富豪一名が何者かに敗れたという噂も耳にした。ここから先は私の想像だが、ゼストは地球侵略を一時的に中止して異世界中の国を破壊するという策を実行するだろう」


この国が破壊された理由も、それなら納得できる。

いや、ソノはつらつらと口を動かしてゆくが、それは無理やりこの国が破壊された理由をつけて自分の気持ちを落ち着かせようとしているようにも感じた。


「ゼストは神出鬼没の国だ。少し大きな名のある国ならば襲撃を受ける確率は高い」


少し大きな名のある国と聞いて浮かんだのは猫人が住まう美しい王国。

夏、秋、冬の都をまとめる国、春都。


「う…そ……春都がそんな……」


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