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ぼくと彼女の変わった日常。  作者: ねむ。
変わってしまった日常。
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記憶

「なんのこと?」

「は? お前ら今までどこにいたの?」

「どこって……工場で戦って、帰ってきて寝てた」


アリスは何言ってんのこいつ(´・ω・`)みたいな顔でこちらを見てくるが、その顔をしたいのはこちらである。


確実にアリスたちはいなかった。夜枷と二人でこの家はもちろんのこと、付近も探し回った。だから「この家に帰ってきて寝た」というのは絶対にない。


かなり気になるところではあるが、これ以上深く干渉しても情報(こいつらの記憶)は得られそうにない。


「まあ、無事でよかった」

「ずっと無事だってばー!」


アリスたちは助かった。

これで少しずつ日常が戻ってくるのだろう。



「と、言いたいところだけど」

「日常は戻っていない。ちーが助かっていない」


夜ご飯後、夜枷と二人でぼくの部屋にいる。


そんなことより、日に日に人数が増えているにも関わらず文句の一つも言わない家族に感謝である。アリス……は使えないが、ロムが意外と家庭的で料理の腕も凄かった。掃除、洗濯などを軽々とこなしていくところを見るといいお母さんになるんじゃないだろうか。


「ロムのやつ、頑張ってやがったな」

「頑張ってたの?」

「あれ、オリジナルじゃないぞ。普段は『缶詰でいいじゃないですか〜、惣菜買ってきましょーよ〜』って言うし」


イメージぶち壊しだよコノヤロー。


「話がそれた! 知砂はどうするの?」

「少し……情報を収集してみようと思う」


夜枷は殺し屋だった。情報屋の知人もいるのかもしれない。


「俺とロムで行く。ここで一旦別れよう」

「え!? ぼくたちも行くよ!」


「奏唄。お前は平和な日常を楽しめ。俺たちの日常は異世界中を巡り、殺す。そんな残酷なものだったのに、お前と出会ってから殺すなんて考えは消えたよ。新しい日常はお前と共に戦うこと。また会えるさ」


何も、言い返せなかった。



翌朝。


隣にアリスのぬくもりを感じつつ目覚めたぼくは、まだ「えへへ…」などと寝言を言っているアリスを起こさないようにするりと布団から抜け出す。


「おはよ」


リビングには家族とウォシュレットの姿があった。

やはり、夜枷とロムは姿を消している。


「ウォシュレット君、これ、どう思う?」

「最近問題のあれですか。もっと国民の立場を考えて行動、意見するべきです」

「うん、俺も同意見だ」


なんなのこいつ!?

なんで日本の経済について親父と意見を交わしてるんだよ!


キッチンでホットココアを入れて席につく。


「ほっ……」


久々に平和な世界だと感じた。


午後からアリスと散歩にでも出掛けよう。

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