血縁
自室で待機していると、夜枷が戻ってきた。知砂を連れて。
「おかえり」
「ただいま」
「おじゃま…します……」
二人は激しく息切れしている。どれだけ全力疾走したのかわからないが、かなりの距離を走ったものと思われる。
「なんつー狭い世界だよ」
「ほんとに思う」
「なんだよ。いろいろ膨らみやがって」
「何見てんの!」
「胸」
「死ね」
笑えない。
思い当たる答えが笑えない。
「……知り合い?」
「知り合いどころじゃないよ。血縁があるの」
「小さい頃は一緒に風呂にも入った」
「そんな話しなくていいから!」
「すいません。殴らないでくれ! まあうん、こいつとはいとこなんだよ」
なんだいとこか。いとこぐらいぼくにもいるし。
「いとこぉぉ!?」
「いとこだ。消えた記憶が俺の顔を見たことで復活したらしい。面倒なことをしてくれたなぁ、奏唄」
「昔はあんなに会ってたのに、いつの間にか会わなくなって、存在すら忘れてた。その程度の男なのね」
※記憶が消されてたんです。
「ちー、俺の存在は誰にも言うなよ」
「暁夜が言うなら……うん、わかった」
おじゃましましたと言い残して知砂は部屋を出た。
「いとこ云々には触れないよ」
「うん」
「でもね、暁夜ってなにさ!!」
「本名」
「暁に夜でサヨ? 当て字の上に女子みたいな……」
「死にたいのか?」
「すいませんでした。じゃあなに、暁夜って呼ぼうか?」
「夜枷でいい。いろいろややこしくなんだろ」




