出会い2
ああいうのには関わらないのが一番だよね!
そう考えたぼくは何事もなかったかのようにスルーした。心持ち早歩きでね。
「…………」
「じーっ」
めっちゃ視線感じるんですけど。てか言ってる。言っちゃってる。脳天貫かれそうなぐらいの視線を感じるのでちらりとあの子のほうをみる。すると、
「みゃあ」
なんか鳴かれた。
「う、うぅん……。君、何してるの?」
「見ないでくださいー! 通報しますよ!」
「お前も効果音付きで見てただろうが!」
なんだよコイツ。声かけなければよかったわ。
「ごめんなさい……困惑してて……」
「う、うん。君、家は?」
めげずに会話を続けるぼくかっけー。
「わかりません……困惑してて……」
「はぁ。勘違いしないで欲しいんだけどね、こんな寒空の下にいると風邪引いちゃうよ? ぼくの家に来る?」
「はっ! 私を誘ってるんですか!?」
「ちがうわ! 気を使ってるんだよ!」
一拍間をあけて、少女は首を縦に振った。
「じゃあ……不服ですが、お願いします」
***
裸の少女と外を歩くのはちょっと無理がありすぎるので、寒いのを我慢してロングコートを貸してあげた。
そして、今は我が家に辿り着くことに成功した。
「うーん、これも大きいかな……。姉ちゃんの服じゃサイズが合わないな。と、なると」
ぼくの服か。
「裸にワイシャツですか。特殊な性癖をお持ちなようで」
顔を真っ赤にしてプルプルと拳と耳(っぽい毛)を震わせる少女。なんか可愛いな。いじめたくなっちゃう。
「勘違いしないでね? 性癖とかの問題じゃなくって、サイズ感の問題だから」
「他の服探してこいや」
「はい」
今はこたつに向かい合って座っている。お互いの前には、先ほどコンビニで購入したカップ麺が置かれている。3分待っているのだ。
少女は結局、ぼくがパジャマとして愛用しているダボダボのTシャツと姉貴のタンスの奥から発掘してきたジーンズを着ている。
「さて、肝心なことを忘れてるよね」
「……? はっ! もしやこの世界には食事の前に◼︎◼︎◼︎◼︎をする風習が!?」
「そんなのないわ! お前の思考、とことんぶっ飛んでるな! ……はぁ、自己紹介だよ。お互いまだ名前も知らないだろ?」
「そうでしたね」
「ぼくは織宮 奏唄。以後よろしくね」
「私の名前はアリス……だった気がします」
「は? 自分の名前だろ?」
ピピピ、ピピピとキッチンタイマーが3分の経過を伝えた。
「詳しくはこれを食べてから話そう」