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ぼくと彼女の変わった日常。  作者: ねむ。
変わった日常。
23/65

竜人と竜の境

倒れたコトトをクウヤが眠界へと送り届け(追ってきた山のような人数の眠界人を倒した)、無事に帰ってきた。すごすぎる。


「ふぅ。うしっ、次行くか」

「次?」

「奏唄……。相変わらず鼻が鈍いわね」

「まあまあ。まだ適合してねーんだろ。じゃあ、あまりの魔力で瞬間移動するぜ」


浮遊感。着地。

眼前に広がるのは、瓦礫が転がる荒野だった。


「いや……違う……。ここは……」


ぼく達の街だ。


「アリス。気を確かに保てよ」

「嘘……! こんなの嫌!」


アリスの叫びに応えるかのように、そう遠くはない場所から、信じられない声がした。


「グルァァァ!!」


瓦礫になりかけたビルの陰から現れたのは、頭から胴は青い鱗に覆われ、尾に向かうにつれて黒い鱗。グラデーションになっている。


嫌なほど絡んだ、あの人の色だ。

竜族の、あの勘違い野郎の色だった。


「ウォシュレット……?」

「ああ。彼はなんらかのアクシデントで魔力を酷使しすぎた。魔力を無くしかけた身体が勝手に魔力を過剰生産しているようだ」


と、ウォシュレットの周りを飛び回る、虫のような影が見える。眠界人だと、すぐに理解した。


攻撃を受けているのに、動じない。それどころか、ウォシュレットは眠界人を次々と捕食している。


「やめなさいウォシュレット!」


ひたすらに魔法を使い、破壊と捕食を繰り返す。

ゲームや、創作物の中で見たドラゴンそのままの姿になったウォシュレットは、とてつもなく恐ろしかった。でも……


……なぜ、ぼくたちには手を出さない?


ウォシュレットが喰っているのは、異世界からやって来た者だけだ。この辺りにいた人たちは、揃ってウォシュレットの魔法を受けて消えてしまったと思われる。だけど、そこに違和感を感じるんだよね。


「ウォシュレット……返事、してよ……」

「アリス」

「なに……?」


「ウォシュレットを助けよう」


アリスは目を丸くした。でも、すぐに涙を拭いてこっちに向き直る。


「あったりまえよ!」


両手を前に突き出し、何やら唱える。すると、突き出した両手の前に光が集まり、燃え上がり、凄まじいエネルギーの塊となる。


「えと、アリスさん? 何をするつもりですか?」

「ひひっ、いっけぇぇっ!!」


ウォシュレットに向かって放った。

数秒後、ウォシュレットの胴部が爆発した。


「ギャーッ!」


あれ? いま、普通に悲鳴あげなかった?

ウォシュレットの心の声が聞こえるぼくでした。


「てかヒドイ! アリスさんヒドイ!」

「大丈夫よ。あいつは死なないわ」


いや、彼は不死者じゃないよ?


ウォシュレットはこちらを向き、


「グルァァァ!!」

(訳:姫! 痛いんですけど! 奏唄様、姫を止めて! お願いします!)


と、雄叫びを上げた。

しかも妙にリアルな訳までつけてしまった。


「アリス! やめたげて!」

「なんでよ。日頃の恨みぐらい晴らさせてよ」


それは、ウォシュレットのセリフだと思う。


「とりあえずやめてあげて、ね?」

「えー……」


なんだよその不満そうな目は。


「はぁ……、あれ? クウヤは?」


さっきまで隣にいたはずのクウヤが、忽然と姿を消していた。

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