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ぼくと彼女の変わった日常。  作者: ねむ。
変わった日常。
22/65

暴走×2

死体の山。その上に座る者が一人。


「グジュ……グヂ……キチャキチャ……」


輝く頬の紋様と両の瞳。死体になってはいるが、生きていたこいつらを斬り伏せた剣は、忘れられたかのように離れた地面に転がっていた。

その〝竜の瞳〟が次に捉えたのは……



「ここ……?」

「ああ間違いない。アリスはここにいる」


辿り着いた先は、古びた倉庫だった。

もう長い間使われていないのであろう、放棄された車や電化製品が辺りに転がっていた。


少し開いた扉から中を覗き見る。

中央にある柱に拘束されている少女が一人。間違いなくアリスだが、立っている紫の少女の上空に、悪い気配がする何かがあった。


あれは、確実に人を殺せるものだ。


「カナタ、早まるな」

「でも……アリスが……!」

「俺の能力があるだろ?」


クウヤは立ち上がると、例のごとく腕から触手(吸収針というらしい)を出して倉庫の中に伸ばし入れる。紫の少女に気づかれないように壁伝いに伸びた触手は、天井付近に浮かぶ何かに近づき、一瞬でそれを消し去った。


「行くぞ!」


クウヤに投げ渡された短剣を握り、ギィ……と扉を開けて中に入る。


「アリス!」

「奏唄……!」


アリスを拘束していたロープを切る。それと同時に叫び声が聞こえた。


「あぁ……あぁぁぁぁあっ!!」


紫の少女が頭を抑えて何かに耐えている。


「あの子の名前はコトト。ずっとおかしいの」


助けに来たのには触れない……か。

こいつ、かなり動揺してやがるな。


「詳しい話は後で聞く……うわっ!」


紫色の鎌のようなものがぼくの頭部を薙ぐ。慌てて伏せたからよかったものの、気づかなかったら死んでた。やば……。


……いや、ぼくの頭部を薙いだわけじゃない。


コトトの背中から数十にも及ぶ触手が伸び、倉庫の中を暴れ回っていた。窓ガラスを割り、コンクリートの地面を(えぐ)る。


突然、数本の触手がボタボタッと地面に落ちた。


クウヤが斬ったのだ。


「あー、やっば、死にそう」

「えっ? あ、あ、あんた……!」

「ふっ、久しぶりだなアリス」

「んなっ! 何でここにいんのよバカ兄!」

「はっはっは! 助けに来たんだよマヌケ!」


クウヤが剣を地面に突き刺すと、剣を中心にゲームで見たことのあるような魔法陣が展開した。


「八式魔法陣〝空咲(ハル)〟」


地から舞い上がる桜の花びら。それは、コトトの触手を斬る。だが、身体に傷はついていない。恐らく、魔法だけに干渉する、そういう魔法なのだろう。



「見てください。今、私の目の前では信じられない光景が広がっています」


マイクを持ったお姉さんと、それを映すカメラを抱えたお兄さん。


知砂は、目を閉じたくなるような光景を目にしていた。

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