出会い
物語というものは、人々の中に個々に存在するものだ。
物語というものは、希望と絶望が入り混じっているものだ。
物語というものは、いつの間にか始まっていていつの間にか終わりを迎えているものだ。
物語というものは、通常ありえないこともありえてしまうものだ。
実際、ぼくの前にもありえないことが起きていた。
「Oh……ありえないぜ」
雪の舞い散る冬の日。今日も両親は共働きで姉貴(普段は姉ちゃんと呼んでいるよ)は彼氏かなんか、男の人とお出かけ。ぼくは一人、近所のコンビニで昼ごはんを買った帰りの道を歩いていた。
「いたぁい! 寒ぅい!」
裸の少女が路地の先に座っていた。
いや違う!言い方がまずかった。誤解しないでよねっ(人差し指を立ててツンデレ風に)!
頭のてっぺんあたりから左右対に、三角に前を向く耳。っぽい髪型。綺麗な腰までの銀髪は座り込んでいるせいで積もる雪に溶け込んでいる。背中と腰の境からは髪と同色の尾が伸びてピクピクと震えている。着ていたと思われる洋服……ってか装束?は破れて傍に落ちていた。
どこか人間離れした雰囲気を放つ少女である。
てか、絶対人間ちゃうやん。