ウォシュレット、対面
地元の駅に到着し、行きと同じように二人乗りで家までの帰路についた。ちなみにウォシュレットには全力疾走していただきました。
「ただいまー」
「ただいまでーす」
「おかえり奏唄、それにアリスちゃん──」
「──と……どちらさま?」
ゼエゼエ言いながら、あたりまえのようにそこにいるウォシュレットに対して姉貴が言った。うんうん。姉貴もウォシュレットの扱いに慣れて──
──あ……しまった。
姉ちゃんとウォシュレット、初対面やん!
「えと、こちらはウォシュレットさん。アリスと同じ国の出身で、昔からの知り合いらしい」
「へぇ、イケメンじゃない!」
「イケメン……? それはイケてるメンズの略のイケメンですか!?」
うわー。やっぱりめんどくさいわコイツ。
「そ、そうよ?」
「生まれてこの方、イケメンなどと言われたのは初めてで……感激して泣きそ……」
「さ、入ろ入ろ」
「あー疲れた。風呂入るわ」
「先に私が入るの〜!」
感激してる青年なんて、無視無視。
三人、息ぴったりである。
「本当に泣きそうです!」
二番風呂(アリスにじゃんけんで負けた)から上がると、リビングにウォシュレットの姿があった。リビングにウォシュレット……字面的にはおかしいな。
「なんだ。結局来たのか」
「はい、来ました。とは言っても夜ご飯をご一緒させていただくだけですが」
「あ、そうなの。家は?」
「今日は王国に戻ります」
「今日は」って……。明日はどうするつもりなんだよ。ホームステー……ステイするわけではあるまいな?
「お前たちが帰れるなら、俺も行けたり……?」
「ああ可能ですよ?」
「マジか! 行けんのかよ!」
「はい! 国王様に話をしておきます」
「ご飯できたわよー」
「はーい。行くぞウォシュレット」
「よだれが止まりませぬ……!」




