「イタズラの結果」
三人称
「『ツグァイズ・オンライン・ワールド』へようこそ
オープニングはとばしますか?
〔yes〕 〔no〕」
必要無いので、yesを選択。
「では、アバターを作成してください
〔新規作成〕 〔既存のデータ〕」
既存のデータを選んで、既に自分で作ったアバターを反映させる。
「アバターが決定しました
次はスキルを選んでください
〔スキル一覧〕」
一覧をつつくとやたらと長いウインドウが出てきた。
そこには数百数千ものスキルがずらりと並んでいた。
………βテスター達ですら全てを把握できず、盛大に攻略サイトが憶測と議論で荒れていたのを思い出して、コレでは仕方ないかと思ってしまう。
しっかし、よく見ると単純な剣系統のスキルは〔長剣〕〔大剣〕〔短剣〕とある上で、〔長剣術〕〔大剣術〕〔短剣術〕とあるのだ。
やたら細かい上に剣系統スキルだけでなく、剣術系統スキルも取らなければいけない気がするが、そんなことはなく。
βテスターの数少ない使える情報に〔~術〕とつく技術系統のスキルは大元となるスキルをある程度扱っていれば自然と待機スキル欄に発生するので、無視していいのだ。
魔力・魔術系統スキルも大体似たようなもので、〔杖〕〔杖術〕〔魔力〕〔火魔力適性〕〔水魔力適性〕〔水魔術〕〔火魔術〕と言ったところだ。
中には〔火種魔術〕〔飲料水魔術〕なんてものがあるんだから、『TOW』は本当細かい。
その上で、キャラクター作成時に選べるスキルはたったの8つだけなのだ。
それでもまあ、自分は予めスキルは決めていたのでサクサクッと自分のスキル欄を埋めていく。
「最後に、あなたの名前は何ですか?
〔-未設定-〕」
今さら!?
まあいいや、風見 夕だから、〔ユウ〕で。
「その名前は、既に使用されています
別の名前を入力してください」
えっ!?、そんな仕様だったのかよ!!。
ん~、しょうがないな。じゃあここは………………
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初期アバター作成用の空間が白く輝き、頑張ってつむらなかった目を開くと、そこは沢山の人でごった返す、中世風の街並みが広がっていた。
「お~、スゲー」
と思わずテンプレ的に呟くと、普段より数段高い声音に気付き、さらに普段より低い目線になっているとわかると、たまらずガッツポーズ。
「ふふっ、ここまでは順調順調♪
さーて、肝心のアイツは大丈夫かな?」
内心の喜びとワクワクを堪えきれず、スキップで歩き出す。
それを周りのたった今はログインしたばかりの新規プレイヤーたちが、ある種の熱のある視線を向けるが、等の本人は、そんな些末なことなどガン無視して、幼馴染みと友人がいるであろう待ち合わせ場所に向かった。
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夕が待ち合わせ場所に到着したのは、からこれ30分以上経ってからだ。
先に装備をどうにかしようと思い、NPCの運営する服屋と武器屋と薬屋の順ではしごしてきたのだ。
お陰で初期ボーナスの3000Gは綺麗さっぱり無くなり、色々と軽くなった。
そうして、待ち合わせ場所の南門の前にお目当ての二人組を見つけた。
その二人の女性に、
「おーい、待たせてごめんね~」
「おいっ!ユウてめえぇこりゃどうゆうコt…」(ピタッ)
ユウが声をかけると、二人のうちモデル体型の長身金髪美女が、その美しい顔を憤怒に歪めて振り返り叫んだーーーと思ったところで、
その怒気を向けるべき幼馴染みの姿が異常なことに気が付いた。
そして、その幼馴染み(ユウ)は、幼馴染み(とどろき)の内心を理解した上で、ニコニコしながら―――それはもう大変嬉しそうに―――会話を続ける。
「うん、綴ちゃんもいるね。
それで轟くんーーって、あ~そっか、ここでリアルの名前を呼んだらマナー違反だね
二人はどんな名前にしたの?
私はね」
「ちょ~~~ぉと、まったぁ!!!!!」
ここで金髪美女―――三崎咲 轟―――は全力で叫んだ。
かなりの音量で叫んだ訳だが、ある事情で南門と北門付近は人通りが少なく、それほど注目は集めなかったが、例え人目を引いたとしても、轟としては自分と幼馴染みの姿のほうがよっぽど問題な訳で。
「ん?」
「ん、じゃねーよ!!
何で俺とお前のアバターが女なんだよーーーーー!!!」
次回は、パラメーター的な詳しい説明回