勝利の味
「わーーー」
女の子、メリアが叫んだ。
目の前には大海原が広がっている。
「すごいね」
メリアが言う。
「ああ、そうだね」
ユーゴは頷く。
二人はこうしてここにきていた。
二人にとって初めての海だった。
そして事件が起きた。
海からマモノたちが現れてくる。全身をフジツボに覆われたような白い人型のマモノ、砂浜を飛び跳ねる青と赤の斑点の巨大クラゲ。他にも沢山のマモノが這い出てくる。
「うわー。すごい! 私あんなマモノ初めて見たわ! 海でどうやって暮らしてるのよあれ! 凄いわね!」
「ちょっとメリア! 感心してる場合じゃないって! 逃げないと死んじゃうよ!」
「いいじゃない、ちょっとぐらい。まだ距離遠いし」
「いやいやあいつらこっち来てるって! 絶対気づいてる!」
「もう、ユーゴは臆病なんだから」
「早く村に戻るよ! ここにいちゃだめだ!」
「分かった分かった、うるさいわね」
メリアはぶつぶつ言いながらもユーゴの後について走った。
村に帰ると、海からマモノが出てきていることを教える。
「マモノなんてどうすればいいんだ! 逃げた方がいい!」
「逃げるったってどうするというのだ? ここを出た所で全員野垂れ死ぬだけだ。違うのか?」
「……」
村長の言葉に村人たちが黙り込む。
「分かったな。防衛準備をするのだ。この村を守り抜く」
そしてマモノたちがやってきた。
「おい、なんだアイツら!」
「恐ろしい! あんなのに襲われたら死んでも呪われるぞ!」
その姿を見て村人たちが恐慌状態になる。
「みんな臆病すぎ。ほら、見てて。私の魔法を見せてあげる!」
メリアがマモノたちに向けて片手を構える。
「はあ!」
先制攻撃。
炎の魔法がマモノを数匹燃やす。
マモノたちが聞くに堪えない叫び声を上げる。
「メリアが魔法を撃ったぞ! ほらビビっとらんで矢を撃て!」
「はい!」
村長の声と同時に矢がマモノたちに降り注ぐ。
そしてマモノたちの一部が倒れていく。
だがそれで終わらなかった。
マモノたちの数は多く、どんどん迫ってくる。
「ああもう怖いけど戦わないと!」
ユーゴは覚悟を決め、剣を構える。
村人たちは怯えながらもそれでも迫ってくるマモノに備える。
そして村人たちは戦った。
「おらああ!!」
ユーゴはフジツボに覆われたマモノに切りかかる。
その剣はマモノを両断する。
「流石ユーゴ! やる時はやるじゃない! ほら皆も戦う!」
メリアが村人たちを鼓舞する。
そして村はマモノとの戦闘に勝利した。
「見なさいユーゴ。フジツボくんの死骸よ。ほらほら、こいつ解体しましょ? どうなってるのやら」
「やめてメリア! それはグロいから!」
「いいじゃない、海の恵みよ! ほらほらまずは腕を切りましょう。あら、中はいい感じの肉じゃない? ほらあーん」
「やめて! 口に持ってこないで! 勝ったんだからもういいでしょ!」
「あ、こら待ちなさい! 貴方の勝利の味を自分で味わいなさい!」
「勝利の味はもう味わったって!」
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