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第六章:もう一人の仮面

藤崎ハルト(16歳)は、気弱な高校生でありながら、女装アイドル「ミア・ステラ」としてキラキラ輝く二重生活を送る。モジュレーターなしで高音を歌えるようになり、ミナミの無茶ぶりやカズヤの誤解、リコの追及をドタバタで切り抜けてきた。そこに、転校生・佐伯ユイが現れる。中性的な容姿とぶりっ子口調で人気者だが、実は女装アイドル「早希」として活動する強気な男の娘。ユイはハルトの秘密を一瞬で見抜き、ミアと早希の出会いが新たな緊張感とライバル意識を生む。

シーン1:転校生ユイの登場

星ヶ丘高校、2年B組、朝のホームルーム

教室のざわめきの中、僕はいつものように窓際の席で縮こまってる。藤崎ハルト、気弱で目立たないのが僕の生き方。でも、カズヤのミアへの恋や遊園地の偽装デートで、最近心が休まらない。

「うう…僕、ミアの秘密、いつまで守れるんだろ…」 そこへ、担任の先生が教室に入ってくる。「お前ら、静かに! 今日、転校生が来るぞ!」

扉が開き、一人の少女が現れる。中性的な顔立ち、肩までのふわっとした髪、キラキラした瞳。ミニスカートに制服の胸元を少し緩め、笑顔で手を振る。

佐伯(さえき)ユイでーす! みんなよろしく〜♡」

声は高めで、ぶりっ子っぽい。女子たちが「キャー、可愛い!」「アイドルみたい!」と騒ぐ。男子も「ユイ、めっちゃいい奴そう!」と盛り上がる。カズヤ、隣で「なんか、ミアに似てる…?」って呟いて、僕、冷や汗。

「う、うそ、似てないよ! ミアは…もっとキラキラだし!」 ユイ、教壇から降りて席に向かう。その瞬間、僕と目が合う。ニコニコ笑顔なのに、一瞬、鋭い視線が刺さる。

「ひっ!?」

僕、心臓ドキン。ユイ、すぐに笑顔に戻って「ハルト君、よろしくね〜♡」ってウィンク。クラスの女子が「ユイ、ハルトに気がある!?」ってキャーキャー。

「ぼ、僕、別に…ただのクラスメイトだし…!」

でも、ユイの視線、なんか引っかかる。あの目…僕のこと、知ってるみたい…?

休み時間、僕がトイレに向かっていると、ユイが近寄ってきて「ねぇねぇ、ハルト君ってさぁ、アイドルのミアに似てるって言われない?」と話しかけてくる。

「うわっ!佐伯さん、急に何!?ぼ、僕、ミアとか興味ないからっ!」と叫びながら、男子トイレのドアを開け駆け込む。

「ふぅ…さすがにここまでは入ってこないでしょ…」と安堵していると、後ろから声がする。

「ふーん、やっぱり後ろ姿もミアにそっくりだ〜」

僕が驚いて振り返ると、ユイがこっちをじっと見つめている。

「さ、佐伯さん!?ここ男子トイレなんだけど!?」と赤面しつつ慌てる僕。

ユイが「大丈夫だよ〜。ユイもハルト君と同じ男の子同士だし〜♡」と答え、ニコッと笑う。

僕、一瞬固まった後「えええぇぇぇ!!」と絶叫。ユイが僕と同じ、女装する男の娘だったなんて…。

ユイが「それより、やっぱりハルト君の瞳ってミアの雰囲気に似てない?」と、僕の顔を覗き込む。

僕、なぜか赤面しつつトイレのドアを開けて外に出る。「そ、それじゃ!また今度ー!」と叫びながらユイから逃げる僕。ユイは何かに気づいたように不敵な笑みを浮かべる。



シーン2:ライブでの出会い、ミアと早希

ライブハウス「スターダスト」、週末の夜

スポットライトが輝くステージ。僕はミア・ステラに変身済み。ピンクのフリフリドレス、キラキラのコンタクト、ウィッグ完璧。ミナミ姉貴の特訓のおかげで高音バッチリ。

「うう…緊張する…でも、ミアとして輝かなきゃ…!」

今夜は新人アイドルとの合同ライブ。最近話題の「早希(サキ)」が初登場。SNSで「ミステリアスな美人」「歌声がヤバい」とバズってるらしい。 楽屋で、ミアとして準備中。そこに、早希が入ってくる。黒いドレスに赤いリップ、大人の色気漂う美女。長い黒髪が揺れ、自信たっぷりの笑み。

「はじめまして、ミアです☆ よろしくね!」

僕、ミアのキラキラ笑顔で手を差し出す。早希、ゆっくり握手しながら、ニヤリ。

「はじめまして…ミアさん…いや、ハルト君かしら?」

「ひ、ひぃ!?」

僕、顔真っ青。心臓止まりそう! 早希、僕の耳元で囁く。

「フフ…理由は、ライブの後で教えてあげる…」

早希、ステージへ向かう。僕、ミナミ姉貴に泣きつく。

「姉貴! 早希、僕の正体知ってる!? どうしよう、終わるよぉ…!」

ミナミ姉貴、目を見開く。「え、うそ!? でも、落ち着け! ミアとして自信満々で歌えば、ワンチャン誤魔化せるかも!」

「誤魔化せないよ! 僕、死ぬ…!」

早希のライブ、舞台袖から見つめる。早希「闇を切り裂く、私の声…届くでしょ?」。彼女の歌、力強くて、どこか…見覚えある雰囲気。あの動き、ビブラートの癖…どこかで…?

「あの子…前に会ったこと…ある?」

僕、無意識に呟くけど、頭は混乱中。



シーン3:早希の正体、ユイの秘密

ミアのライブも、なんとか成功。観客の「ミア! ミア!」の歓声に、胸が熱くなるけど、早希の言葉が頭から離れない。楽屋に戻ると、早希が待ってる。

「早希さん…あの、どこかで会いました…?」

僕、ミアの声で恐る恐る聞く。早希、黒いドレスの裾を揺らして微笑む。

「学校では、ハルト君として生活してるみたいね…」

「な、なんで!? 僕の正体、なんで知ってるの!?」

早希、髪をかき上げ、不敵な笑み。

「ユイ…と言えば分かるかしら? あなたのことは、ひと目見てミアだと分かったわ…」

「ゆ、ユイ!? 転校生の!?」

僕、拳をギュッと握りながら後ずさる。 あのぶりっ子なユイが、この大人っぽい早希!?

早希、ゆっくり近づく。「驚いた? ユイの私は、学校での仮の姿。早希の方が、本当の私…もっと輝けるからね」

「君だって、ミアの方が自分らしくいられると思ってるんじゃない?」

鋭い目でグサリ。僕、ミアとして言葉に詰まる。

「そ、そんな…! 僕、ただ…ミナミ姉貴の借金返済で…!」

早希、笑う。「フフ、言い訳はいいわ。ハルト君、ミアのキラキラ、嫌いじゃないでしょ?」

「う…そ、それは…」

確かに、ミアとしてステージに立つ時、気弱な僕が消える。早希の言葉、心に刺さる。

「でも…! ユイ…早希さん、僕の正体、秘密にして! お願い!」

早希、指を唇に当て、ニヤリ。「秘密はお互い様よ。バラしたりしないわ…これからもよろしくね、ミアちゃん?」

不敵な笑みに、僕、ゾクッ。一抹の不安が胸をよぎる。早希、いや、ユイ…何考えてるんだ…?



シーン4:学校での緊張感

翌週、教室

ユイ、いつものぶりっ子モードで「ハルト君、宿題見せて〜♡」って近づいてくる。クラスの女子が「ユイ、可愛い!」と騒ぐけど、僕は冷や汗。

「ゆ、ユイ…あの、ライブのことは…」

ユイ、ニコニコ笑顔で耳元で囁く。「ミアちゃん、秘密は守るよ? でも…面白いこと、期待してるから♡」

「ひぃ!? 面白いって何!?」

カズヤ、遠くから僕とユイをガン見。「ハルト、ユイともイチャイチャ!? ミアの彼氏のくせに!」

「ち、違う! 僕、誰ともイチャイチャしてないって!」

ユイ、クスッと笑って席に戻る。リコ、双眼鏡で覗きながら「ユイ、ミアと何か関係!?」ってメモってる。

「うう…僕、秘密増えすぎ…胃がキリキリ…」



シーン5:新たなライバルと不安

ミナミのアパート、夜

僕、ミナミ姉貴に泣きつく。「姉貴! ユイが早希で、早希が僕の正体知ってる! どうしよう!?」

ミナミ姉貴、腕組んでニヤリ。「ハルト、ライバル出現! 早希、めっちゃ強敵っぽいね! でも、ミアのキラキラ、負けないよ!」

「ライバル!? 僕、ただ秘密守りたいだけなのに…!」

姉貴、僕の肩をポンと叩く。「ハルト、ユイも早希で輝いてるなら、ミアももっと輝かなきゃ! スターフェス、ミアで出ちゃう!?」

「うそ!? 学校でミア!? 死ぬよ、僕!」

ハルトが自宅に戻り、スマホで検索。早希のライブ動画、ミアを抜く勢いでバズってる。コメント:「早希、ミアより大人っぽい!」「ミアと早希、夢の対決!」

「うう…早希、めっちゃ輝いてる…僕、ミアで負けたくない…でも、バレたら終わり…」

夜の星空の下、ミアと早希、2つの仮面がぶつかり合う新たな物語が始まる。(つづく)

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