第九章:秘密の告白と新たな一歩
シーン1:レイカとの面会
スターライト・プロのモダンなオフィス、開放的な雰囲気の会議室。高梨レイカがスーツ姿で待機している。
ハルトはウィッグを被りカジュアルなコーデのミアとしての姿で、ミナミに連れられて部屋に入るが、緊張で震えている。
レイカが立ち上がり、ミアと握手しながら「来てくれてありがとう、ミアさん!」とクールな笑顔で見つめる。
ミアとしてハルトは「よ…よろしくお願いします!」とぎこちなく微笑む。
レイカたちが椅子に座り、ミナミがハルトのことをヒジでグイグイ押しながら「ハルト、今が打ち明けるチャンスだって!」と小声で囁く。
ハルトが「…うん」と頷き、慎重に話を切り出す。
「高梨さん…あの…私…いや、僕…実は、男なんですけど…!」
レイカ、微笑んで頷く。
「分かってたわ、ミア…いや、ハルトさん。最初から、仕草とかちょっとしたヒントで気づいてた。そこで、ハルトさんには悪いけど、ミアとして今後も女性アイドルとして活躍してほしいの。ジェンダーの壁を打ち破る魅力、それがミアの輝きよ」
目を丸くするハルト。
「え…分かってた!? でも、僕…男なのに、女性アイドルって…。もしバレたら…」
レイカが優しく続ける。
「ミアの歌声、笑顔、観客を惹きつける力…それはジェンダーと関係ないわ。スターライト・プロに任せてくれたら、絶対に秘密は守る。あなたを、世界に輝かせるわ!」
ハルトがなおも「いや、でも…もしバレたら僕の人生が…」と躊躇していると、ミナミが突然立ち上がる。
「ミアの専属マネージャー兼楽曲製作者、ミナミでーす☆ ミアのキラキラ、私が責任持ってプロデュースしまーす!」
レイカが立ち上がり、ミナミと笑顔で握手。
「ミナミさん!あなたが作ったミアの楽曲、最高! めっちゃセンスいいわ。一緒に、ミアをスターにしましょう!」
ハルト、置いてけぼりでオロオロ。
「うう…なんか勝手に話が進んでる…! 僕、こんな大事なこと、決められないよぉ…!」
メジャーデビューの誘惑と、秘密バレの恐怖が、ハルトの心を揺さぶる。
シーン2:秘密の告白
放課後の星ヶ丘高校、夕陽が屋上をオレンジに染める。カズヤがハルトを呼び出し、真剣な顔で立っている。
「ハルト、ミアがメジャーデビューするって噂、本当か? 俺、ミアに近づけなくなるかもしれないけど…。お前、ミアの彼氏として、ちゃんと支えてやってくれよな」
ハルトの胸がズキッと痛み、内心で呟く。
「カズヤ…そんな真剣な目で…。僕、これ以上、嘘つけない…!」
カズヤが「じゃ、話はそれだけだから。頼んだぞ」と言いながら去って行こうとする。
ハルトが深呼吸し、カズヤの背中に叫ぶ。
「カズヤ、黙っててごめん! 僕…本当は…ミアなんだ!」
カズヤが振り向き、笑い出す。
「ハハ、冗談キツいぞハルト! 俺のミアへの気持ち、知ってるのに、バカにするなよ!」
ハルトが追い詰められ、ミアの声で叫ぶ。
「カズヤ! 信じて! 」
カズヤ、声の響きにハッとする。
「…本当に…お前が…?」
ハルト、涙目で経緯を語る。
「最初はミナミ姉貴に頼まれて、成り行きでミアとしてライブに出て…。カズヤの告白…気持ちは嬉しかったけど、僕、男で…。今まで騙してて、ごめん…!」
カズヤがしばらく黙り、微笑む。
「話してくれて、ありがとな。ミアだろうと、ハルトだろうと、俺の大事な友達なのは変わらないよ」
続けて、少し俯きがちに呟く。
「それに俺…前から、ハルトのこと…」
ハルト、「え?」と呟く。
カズヤが慌てて誤魔化す。
「いや、なんでもねぇ!ミアとして、これからも頑張れよ! 応援するぜ!」と肩をバン!と叩き、「じゃあな!」と急いで屋上を去っていく。
ハルト、ホッとしつつ動揺。
「カズヤ…ありがとう。…でも今の、なんだったの…?」
シーン3:ユイのライバル宣言と共感
翌日の星ヶ丘高校、廊下。ユイがハルトを捕まえ、ぶりっ子笑顔で近づく。
「ハルト君〜、メジャーデビューの話、聞いたよ〜☆ ミアちゃんがメジャー行くなら、ユイも早希で輝くよ!」
ハルト「え、ユイ…早希にもオファーが!?」
ユイ、ニヤリとして囁く。
「高梨さんから、早希にもオファーきたの。ハルト君…ミアちゃん、私、負けないから! でも、一緒にキラキラしようね♡」
ハルト、心配そうに頷く。
「うう…ライバルは怖いけど…。早希とミア、一緒に輝ける…かな?」
ユイ、優しく微笑む。
「ハルト君、ミアの輝き、本物だよ。私、秘密守るから…勝負、楽しもう?」
ハルト「ユイ…ありがとう。負けないよ…!」
ミアと早希はライバルであり仲間として、メジャーの舞台での活躍を予感させる。
シーン4:リコの「お姉さま」熱
夜、リコは自分の部屋のベッドでスマホを握り、ミアのライブ動画にうっとり。
「ハァ…お姉さま、キラキラすぎ…。会いたい…!」
ミアを追い続けていたリコは、元々の百合属性もあってかミアのことを「お姉さま」と心酔。もちろん、ミアの正体がハルトであることは知るよしもない。
リコはスマホを眺めながら、ネットで「ミア、メジャーデビュー間近!?」のゴシップ記事を発見。
「お姉さまがメジャー!? やばい、スクープ!」
ネットの噂を元にスターライト・プロについて調べ、「この事務所に張り込めば、お姉さまに…!」と興奮。だが、机に積まれた期末テストの参考書が目に入る。
「ふえ〜ん! お姉さまを追いたいのに、テスト勉強…! 数学、ムリすぎるよぉ…お姉さま〜!」
リコ、泣きながら教科書を開くが、ノートにミアのイラストを描き始める。スクープへの情熱と現実の間で、リコのオタク魂が揺れる。
シーン5:迫る決断
レイカへの返事の期限が迫る夜。ハルト、部屋のベッドに横たわりながら考える。
「メジャーデビューすれば…ミアとしてもっと輝ける…? でも、秘密がバレたら僕の人生が…。カズヤはミアのこと応援してくれて…ユイも一緒に輝こうって…。僕、どうすれば?」
そこにミナミが乱入。「ハルト! レイカさんと契約書作ったから、目通しといて! 私とレイカさんのプロデュースで、ミアのキラキラ爆発だよ!」
ハルト、涙目。「姉貴、待ってよ! 僕、まだ…!」
ハルトの心は、メジャーデビューの誘惑と秘密バレの恐怖で揺れる。ミアとして輝く未来、カズヤやユイとの絆、リコの応援…。重大な選択が迫る…。(つづく)