あーみんの神さま事情
りおとアルテミスは
地上のふたりに事情を話して
しばしアルテミスのうちでくつろぎます
そのときに漏らしたアルテミスの感じる神さま事情
穏やかなアルテミスがりおに思いを漏らすのでした
「さてと
これであとはゆっくりできるかな
あーみん、ありがとね」
「いえいえ、ごめんなさい
お母さまも風規さんも素敵な方ですね
風規さんはりおりんの彼氏さんですよねー
いいなぁ
わたしもあんな彼がいたら
生活にハリがあるかなー」
「それほどでも〜
あーみんありがとね
えっと
あーみんはどんな感じ?」
「あはは
わたしのことはいいですよ
そんな時間も気力もないです
それよりも仕事しながら
みなさんの生活を見守っているのが楽しいんですよ
休みの時もね
家にいることが多いです
みなさんがみてるスマホとかテレビとか
チラッとみさせていただいたり
りおりんの作品を読まさせていただいたり…
あ、会ったときは
おはなしが止まらなくなってごめんなさいでした
……はなしのなかのユーキくんは…
ユーキくん、風規さんのことですよね」
「おおー
あたり
あーみん さすがだね
うん、ユーキは『ふう』をサンプリングしてるんだ
やっぱり書いてて楽しい方がいいしね
だからユーキはわたしの好きにあわせて動かすよ
…そっかーーー
…そういえばココにはテレビとかもないね
なにも違和感なかったけど
もしかして電気とか水道とか…なにもなくない?」
「そうなんです
ココ天上界は地上とはだいぶ違いますね
わたしたちは基本的に
なんでも思ったようにすることができるから
なにもいらないんです
明るくしたかったらチカラで明るくし…
きのうのりおりんと会ったときの風景も
わたしがそうみせただけですし
でも地上のテレビやスマホは面白いですよね
わたしが自分で創り上げたものでなくて
勝手に映像が流れてくるのって不思議
ですけど、なにも考えないでみてるだけって楽しいです
実はわたしは休みも地上にいってること多いんですよ
わたしたちはなんでもできる
いやそう思い込んでいるから
インフラはなにもないんです
風規さんがいってたAIの活用の発想
わたしはいいなと思います
集計や判定作業をしなくてよくなったら
もっとみんなの願い事の確認や
願いを叶えるようにフォローする時間もできます
りおりんがいってた人間界の不祥事も減らせるかも
…………
わたしもなんでわたしたちが見守っているのに
悪いことをするヒトがいたり
悲惨な出来事が起きてしまうのか
不思議に思っていました
りおりんのいってた、ちゃんとしてない神さまのはなし
ハッとさせられました
そうだよね
ちゃんと神さまみんなが見守っていれば
そういうことは減らせると思います
だけど、神さまはなんでもできる
いや、できているふりをするから
みんなそう思わないんです
わたしからいわせれば
神さまみんなのプライドが高すぎなんですよね
能力でなんでもできるとしても
その能力を使うために
少しながらもチカラは使います
そんな部分をAIが対応してくれたら…
あと、仕事自体も整理したり分担したりして
効率よく回せたら…
そんな風に考えていくと
神さまみんなに余裕ができると思うんです
そのあと変わることもたくさんあるとおもうんです
みんなプライドが高くて意地っ張り
わたしみたいに能力がないって自覚があれば。
と思いますけど
ココはなかなかむつかしいとこです」
「そうなんだ
天上界でもいろいろあるんだね
あーみんみたいな下っ端はつらいと」
「下っ端いうな
あはは、そうなんですけどね
こっちもいろいろあるんですよ
っと、そろそろ仕事に行かなきゃ
下っ端な神はきょうも1日…
あ、今回はほかのひとと予定変えてもらったから…
1日以上ぶっ通しで働いてきますよー
そうそう
りおりんは、ここでゆっくりしてねって
思ったけど
ゼウスじぃちゃんが連れておいでっていってたから
これからそっちに向かいます
わたしもだれもいないここにいるより
じぃちゃんのとこのほうが安心ですし
いかがですか?」
「よいよい
くるしゅうない
ぜーじーって最高神なんだよね
なんかよいことが待ってる予感
ワクワクするよ
ま、きっとこれからの手続きのこと
とかなのかもだけど
なんか期待しちゃうよね」
「あはは
期待するようなことは何もないと思いますけど
なにかおいしいものでも
食べることができるといいですね
じぃちゃん
いい神だから安心していいと思います」
「うん
すごく期待しとくよ
あーみん
このあと仕事ぶっ通しなの?
なんか、謝るのも違うかもだけど
ごめんね
ある程度、手を抜きなよ」
「手は抜かないですよ
全力で第二のりおりんをつくらないように
頑張ってくるね
よし、じゃ
じいちゃんのとこへいきましょう」
ふたりは
ゼウスのもとへむかう…
「あ、ほんとに時間ない。。
りおりん、ちょっと手をつないで」
「えー、いいよー
恥ずかしい」
「いやそうでなくて
はい」
アルテミスがりおの手をつかまえると
風景が変わった
「あ、てれぽーてーしょん?
あーみん
やっぱり神なの」
「いや
神ですよ
下っ端だけど
これくらいはふつうにできますよ」
「はー
おみそれしました
でもあーみんとはなしてると
ぜんぜんそんな雰囲気ないから…
さっきも神さまなんだねーって
感心してたのに忘れてたよ
あーみん
生真面目なドジっ子のイメージだけなんだよねー」
「もう
ま、でもその通りです
わたしもそう思います
さてと…
じぃちゃん
りおりん連れてきたよー
わたし仕事にいかなきゃだから
きてー」
「おお
アルテミス、おかえり
りおさん
ありがとね
ふたりにはちゃんと伝わったみたいですね」
「はい
ありがとうございます
あーみんのおかげで
おかあさんと風規に事情が伝えられました
しばらくはこちらにいて大丈夫です
ゼウスさんも
いろいろと手配いただきありがとうございます」
「いえ
ほんとに巻きこんでしまい
ご迷惑おかけいたしました
ここへほんとに何もないところです
ただご要望あれば
わたしが可能な限りご用意いたしますので
なんなりとお声がけください
お食事はもちろん
滞在中はお取り寄せいたします
アルテミス
いってらっしゃい」
「はい
いってきます
ゼウスじいちゃん
りおりんをよろしくお願いします
りおりん
ほんとに遠慮なく
なんでも頼んでくださいね
じゃ
ほんとに
じいちゃんお願いします
いってきまーす」
アルテミスは
慌ただしく
その場を後にした
ここまで読了いただきありがとうございます
アルテミスの感じる神さま事情
本音が少し漏れています
だれもが「ほんとはこうしたほうがいいのになぁ」
って妥協してることありますよね
そこを妥協したままか
なにか行動を起こすか
だれもがとおる分かれ道だと思います