事情説明
風規に事情を説明するには
アルテミスを呼んだ方がはやい
そう考えたりおはアルテミスを呼び出す
人見知りなアルテミスは説明しようとするが
なかなかうまく説明できないでいるのでした
「あーみん
そういうことででてきてくれる?」
「えーーーー!
わたしそういうの苦手なんだけど…」
「なにいってんの
ふうにとって事情がわかりやすくなるからさ
あーみんおいで」
「わかりました………
わたし人見知りだから
あんまし、しゃべれないけど許してくださいね」
アルテミスがでてきた
「えっと
はじめまして
えーと
アルテミスっていいます
わたしは神さまです
りおさんを天上界に連れていったのはわたしです
ごめんなさい」
[神さま?
ほんとの神さまは自分で『様』をつけたりしない
ほんとは何者だ
もし、神だったとしても悪い神だな
りお
騙されてるぞ]
「あははは
ふう
わたしとおんなじ反応しないでよ
あーみんもさぁ
あたしのときとおんなじじゃん
神さまでなくて神っていいなよ」
「あ、ごめんなさい
神さ…神です
それと悪い神じゃない…よね
えっと、確かにりおりんを連れていったって…
…悪い神?かも…
…りおりーん」
「あ、もう
あーみんだな
えっと、ふう
あーみんはほんとに神さまだよ
すっごいポンコツかもしれないけど神さまなの。
少なくとも悪意はないし
どちらかといえはいい子だよ」
[だけど、りおを連れていったんだよ
あんまし、いい神とは思えないよ]
「うーん
だけどね
わたしはいい子だと思ってるよ
なんでわたしがそうなったか
説明するね
それをきいてから
もう一度いい子かどうか判断してもらっていい?
わたし
会社にいくときに願掛けみたいなことを
たまにしててね
今朝も『次の継ぎ目を通過する前に
クルマに抜かれなかったらいいことがある
抜かれたら、命をおとす』
みたいな願掛け、おまじない? をしたのね
で、万一、命おとしたらしゃれにならないから
願掛けは勝てる願掛けしかしないの
今回もちゃんと勝ったんだけど
そこで身体が動けなくなっちゃったの
で、なんだかんだでいまの状態
うーん、うまく説明できないや
えとね
あーみんはほんとに神さまで…
あ、そうだあーみん
ちょっとこの空間をわたしんときみたいに
変えてみてよ」
「わかりました
はい」
それまでうすもやみたいな空間が
森の小径みたいになった
「ねっ
すごくない?
あーみんは
こういうことが簡単にできちゃうんだよ」
[あぁホントだね
VRの技術の応用なのかな
確かにすごいね
だけどオレの夢の中だし
夢の中ならなんでもできるんじゃないか」
「んっと
神さまだからだからね
ま、いっか
で、実はあーみんがわたしを管理…
あ、管理じゃなくて見守りみたいな
うん
その見守りをしてくれてるの
わたしの行動や考えのサポートをしてくれてるのね
で、実は願掛けのくだりってすごく大事で
願掛けに成功したらポイントがはいるのね
で、ポイントがたまると想いが叶うの
たとえばわたしクルマあたったじゃん
あと、わたし作家の夢が叶ってるよね
この幸運て実は貯めたポイントで
あーみんが交換してくれたからなの
10000ポイントあるから
クルマ当てちゃえみたいな感じみたい」
「あ、りおりんの場合は実力あるから
作家さんの夢の設定した達成ポイントは
ほかのひとの達成ポイントより
だいぶ低く設定していたのも大きいと思います」
「あーみん
ありがと
でね、このポイント貯めるのに
ふつうだったら、たとえば5ポイントのとこが
わたしは命懸けになってたから
10倍の50ポイントとかになってたみたい
ほんとは命懸けるような
大袈裟な願掛けではなかったけど
あーみんはまっすぐでポンコツだから
ことばとおりにとってたのね
だからわたしはヒトより早くポイントが
たまりやすかったみたい
で、今回は
あーみんにもうひとつのミスがあったの
願掛けに使った段差を取り違えてたみたいで
わたし自身は目の前の段差のつもりだったのに
あーみんは
そのひとつ先の段差で判定しちゃったのね
だからほんとは余裕で達成していたのに
あーみんからしたら未達成判断で
命をおとしちゃったの
で、天上界に連れていかれちゃったってわけ
あーみんが間違いに気づいたけど
もとに戻す手続に時間がかかるってことで
ここにはなしにきたんだよ
戻ってくるから心配ないよーってね」
「ほんとにごめんなさい」
「要するに
あーみんさんのダブルミスで
りおがこんな状態になったと。
で、いま釈明にきてるってこと?
じゃ
やっぱりあーみんさんはワルモノってことだ」
「ま、ま、そういうことになるけどさ
でも、間違いに気付いて急いできてくれて
ちゃんと元に戻すために
いろいろ手を尽くしてくれてるんだよ
ほかの神さまだったら
間違いそのままで進めちゃってさ
わたしはそのまま戻ってこれないって
こともあったと思うの
あーみんにとってわたしを戻すのって
なにも得はないしね
仕事を増やすだけ…
むしろ怒られるだけなんだよね
あーみんたち神も、わたしたちと同じように
何時から何時まで仕事みたいな感じなのね
あーみんは5人のシフト制で
なごみ市の20000人全員を見守ってるの
みんなの願い事を確認して
ポイント設定して
みんながなにか達成したら何ポイント
わたしみたいに
願掛けして達成したら何ポイントみたいに
20000人同時の願い事を確認して
どんな行動してるかをみて
それぞれにポイントつけて
達成したら、希望も叶えてって
それがお仕事なのね
20000人を同時並行で対応しているのって
すごくない?
あ、聖徳太子も
実は人間界に派遣された神さまなんだって
で10人同時にきくって
それが伝説になってるじゃん
あーみんは10人の200倍の20000人だよ
伝説どころじゃないよ
神ですよ、神
そう思わない?」
「そうなんだ
あ、と、200倍じゃなくて2000倍ね
確かにすごいよな」
「あ、あ、わたしなんて
20000人は実は少ないほうなんです
神のなかには
10万単位のひとを同時にみる神もいます
だからわたしは全然ひよっこです
だけどわたしでさえ
仕事中はしっかり気を張ってないと
ポイントになる行動や願い事を見逃しかねないんで
仕事中は全集中してます
だから勤務があけた後は
だいぶ疲れがたまります
わたし程度でそんなに疲れるんだから
ほかの神さまはすごいなと思います」
「あーみんさん
おききしてると
みなさんがしなくてもよい作業もありますよね
たとえば、今回のりおの願掛けの判定なんて
AIの活用で自働判定できそうな気もします
神さまたちは優秀だから
判定ミスも少ないかもしれませんが
こういう単純作業はAIの得意分野ですし
AIによる判定の方が正確かもしれません
単純作業はAIに任せて
部分的にその補正はするとしても
20000人の願い事の確認やフォローを重点的に
対応したほうがしっかり対応できそうです
やっぱりあれもこれもと対応してたら
どうしても取りこぼしがでますし
疲れもたまるからクオリティが落ちますよね
いまのあーみんさんのお仕事は大変だと思います」
「そうですよね
わたしもそう思います
みんながそれでいて
涼しげにやってるから特にすごいなと思いますけど
もっと仕事量が減ったら
よりよい対応ができるとおもうんです
だけど…
風規さんおはなし、ありがとうございます」
「そうだよね
あーみんはすごいと思うよ
あーみんはみんなはちゃんとしてるっていうけど
ちゃんとやってない神さま
たくさんいるんじゃないかな
みんながちゃんとお仕事してたら
人間世界でこんなに不祥事があったり
悪いヒトはびこらないでしょー
絶対、ちゃんとしてない神さま多いと思うよ」
「ありがとー
そうかもですね
うん、確かに…
みんなそういうの教えてくれないんです
神さまたちは
プライドみたいなものがあるのかもしれませんね
じいちゃんが全部の神さまのフォローをしてるけど
やっぱり大変そうですし…
なにか間違いや見落としがあっても
そのままとおしたりもあるのかもですね
それこそそんな神さまがりおりんの担当だったら
りおりんは
そのままヒカリに導かれて
違う世界にいってたかもしれません
そっかー、そうかも。。
りおりん、わたしが担当でよかったですよね」
「あーみん
調子にのってたら
りお、おこっちゃうかもだよ
そもそもほんとだったら
こんな大事にならなかったんだ
から…
あ、だけど、もしかしてわたしにいいこと多いのは
あーみんが命懸けだと勘違いして
わたしの願掛けが
毎回10倍ポイントになってることと
あーみんがちゃんと働いてるからかー
そう考えるとちょっとは感謝しとくよ」
「りおりん
ごめんねー
これからは気をつけますね…
っと、そろそろ戻った方がいいですね
わたしの仕事のシフトが近づいています
今回、りおりんのことあって
ほかの子に急遽、仕事を代わってもらったので
つぎは2コマ連続で
お仕事しないといけないんです。。
風規さん
おはなしありがとーございました
しばし、りおりん…りおさんをお借りします
必ずもとに戻しますのでご安心ください
ほんとにご迷惑をおかけいたしました」
「うん
ふう
そういうことだから
おかあさんのこと、しばらくよろしくね
なんか、神の世界のお土産を
こっそりもらってくるからね
ま、楽しみにしといて。
で、わたしのまわりのことを手配してね
手間をとらせるけど、よろしくです
ほんとにわたしに変なことしちゃダメだからね
じゃそういうことでよろしくー」
「はいはい
わかったよー
ま、しっかり神の世界を楽しんでくればいいよ
りおが戻ってくるなら
ボクはなにもいわないよ
あーみんさん
最初、敵とかいってごめんなさい
りおはこんな感じで
すこしだいぶ大変かもしれないけど
よろしくお願いします」
「あ、こら
りおは大変じゃないぞ」
「風規さん
ありがとうございます
ほんとに風規さんと、お母さまには
とくに心配をおかけしています
実はわたしが風規さんもお母さまもみていますので
すこしですけどお詫びのポイント
つけておきますね
ほんとにありがとうございました
そしてもうしばらく
りおさんをお借りいたします」
「はい
よろしくお願いします」
「あーみん
わたしにも当然お詫びのポイント
はずんでよねー……」
「じゃあ
風規さんありがとうございました」
「あ、こら
りおのこと無視するな…」
ということでドタバタと
りおとアルテミスは天上界に戻っていった
風規は目を覚ました
そして隣のお母さんとそれとなく
うなづきあったのだった
ここまで読了ありがとうございます
人見知りなアルテミスも
ことばがさきにでてしまうりおも
説明があっちにいったり、こっちにいったり。
そんな説明を風規はなんとか汲み取るのでした
りおりん
ほんとに作家なの?