精霊王とのあれこれ さらにもう少しだけ核心
魔王城の西棟。
煌びやかな結界の光が交差する――静謐な空間。
魔法陣が床一面に広がり、淡い光の粒子が柔らかく浮かぶ。
「準備は整っています、ノア様」
逸花の凛とした声に頷いて歩みを進めると、肩に乗っていた零が小さい羽をパタパタと動かして、頭の上にちょこんと乗り直した。
「少女の呪いを解く方法が分かるといいのですが…」
「全くです…」
逸花の言葉に碧羅が相槌を打つ。
「完璧じゃないにしても、何かきっかけは掴めるかもしれないからな。
まあ、やるだけやってみるよ」
少女にかかった呪いをどうすれば解けるか――
その糸口を精霊王から聞き出すのが皆に共通する目的だ。
――加えて俺には、自分自身の状態を確かめるという個人的な思惑がある。
どちらの案件も――ここで進展がなければ手詰まりは否めない。
「……すまないが。
今回は俺一人でやる。皆は部屋から出て行ってくれ」
碧羅が少しだけ目を見開き、困ったような、それでいて心配を隠しきれない表情に。
「…ですが」
「頼む」
しかし、食い気味に、強く、碧羅の言葉を抑える俺。
「――承知しました」
その言葉…いや俺の雰囲気に言葉を噤む碧羅の瞳が揺れたが…
執務室での態度に思うところがあるのか
いつもなら、もう少し食い下がってくるところを素直に引き下がった。
(悪いな…)
心の中でそっと謝罪。
この先に進むためには、どうしても一人で向き合わなければならないことがある。
そして、大丈夫だと信じたいが…
力が暴走して自分で仲間を傷つけたら―――おそらく俺は立ち直れない。
「ノア様、どうかご無事で……」
小さな声でそう言い残し、碧羅が最後に一度だけ振り返る。
淡い光の中で、その横顔がひどく頼もしく、そしてどこか寂しげに見えた。
扉が静かに閉じ、
部屋には、俺と零、そして静かな魔力の流れだけが残された。
深呼吸ひとつ。
静まり返った空間の中心で、俺はそっと目を閉じる。
(――さあ、やるか)
ここから先は、誰にも頼れない。
左親指に嵌めている精霊王から授かった淡い黄金の指輪――
ふだんはひっそりと肌に馴染むその指輪は、周囲の魔力に共鳴するように、うっすらと光を宿していた。
意識を集中して、ゆっくりと指輪に触れる。
(……精霊王、聞こえるか?)
静かに語りかけると、指輪がわずかに温かく脈打つのがわかった。
部屋の魔力の流れが変化し、空気がふっと張りつめる。
(…反応した)
次の瞬間、指輪の内側から淡い光の粒が立ち上り、ゆっくりと俺の周囲を巡る。
光の粒が静かに空間を舞い、足元の魔法陣に呼応して淡く輝きを増していく。
頭の中に、どこか懐かしい――それでいて透き通るような声が響いた。
『――ノア。久しぶりじゃな……と…いやはや、これはまた…』
柔らかな風が頬を撫でた直後、空間の一角に植物の蔓と光でできた扉が現れていた。
静かに開き、その向こうから精霊王がゆっくりと姿を現す。
翡翠の長髪、淡い緑に縁取られた衣。
中性的な顔立ちに、どこか浮世離れした気品が漂う。
瞳は深い湖底のように澄み、ただそこに立つだけで場の空気が一変する。
「まさか、姿を見せてもらえるとは…」
これまでにも精霊王との接触はあったが、それは意識下でのやりとりだった。
姿を直接見たのは今回が初めて。
確か…精霊って依代がなきゃ物質世界に出て来れないんじゃなかったっけ…。
精霊王の依代になれるものって……俺?
『色々条件が整ったのでな。状況も切迫しておるし…直接来た方がいいと判断したわい。
……その判断は間違ってなかったの。
勇者とお主…人の世はいつも混沌としとる…』
さすが
すでに事情を察していそうな口ぶりに、どこかほっとしながら、ひとまず初対面の挨拶。
「お初にお目にかかる精霊王。姿が見れて嬉しいよ」
精霊王は目を細め、空気そのものを明るくするように笑った。
『ワシもじゃ!物質世界にくるのは久方ぶりじゃからな――もう記憶も霞むほど昔々で…。
またこの日が来ようとは嬉しい限りじゃ。
しかしワシの依代になれるとは…さすが見込まれた魔王ということかの』
やっぱり俺が依代か…!
この状況で、他の選択肢は考えられないけど
…精霊王が現界するほどの力が俺の中に渦巻いているってこと…か。
『まあそれだけエネルギーがあれば、ワシを具現化させるのは難しくないじゃろうな。
お主が気にかけとる勇者の事は…おそらくなんとかなるじゃろうが…』
「少女は救えるんだな…!」
王の言葉に気持ちが高揚する。
『術というのは、かけたものの痕跡を残すものじゃ。
呪いを解けばおそらく、術者まで辿ることも出来る』
希望の光が差す中で、すかさず食い下がる。
「呪いを解く方法を教えてほしい」
だが、精霊王は穏やかに手を振って、俺の焦りをなだめるように続けた。
『まあまあ、待て待て。慌てるでない。
それよりもお主じゃ。
海后姫から聞いておったが……やはり一筋縄ではいかん運命にあるようじゃのぉ。
これほどのエネルギー…物質世界の器に収まるものではないわい』
以前と変わらぬ温かさ、何とも言えない「大きさ」を前に、自然と背筋が伸びる。
『なるほど…原初の獣【アークビースト】が支えておったか』
「…?
それって……零のこと?」
そう言いながら、頭の上にいる小さな相棒を見上げる。
こんなに可愛らしい姿をしているのに、“原初”なんて物騒な異名で呼ばれる存在だなんて…やっぱり実感がわかない。
『大事ないのは、そこの原初の獣【アークビースト】がお主に力を貸しとるからじゃ。
ノアよ。お主、この状態でポンポン術を使っとたが…普通なら即暴発。術者の命はないぞ』
「えっ!?」
『まあ…。魔素を消費するくらいが丁度よかったと言えばそうなんじゃが……本来なら、今のお主は魔力を練ることも出来んはずじゃ。原初の獣【アークビースト】が、内側で余剰な魔素を“循環”させて抑えておる。でなきゃ、とっくに器が壊れとるわい』
俺は再び、頭の上にいる零を見上げた。
俺、そんな状態だったの…?
確かに、大きな術を使った後は、なんかスッキリした感じで熱が冷めるような…そんな感覚があったけど。
言紡と謡狐族の契名を連続でやった時も、一向に魔素が尽きる気配がなくて、てっきり魍魎族とは違うからだと思っていた。
けどそれって
エネルギーが溢れるくらい有り余ってたからだったのか…。
精霊王はそんな俺の動揺もおかまいなしに、話を続ける。
『いつまでもこの状態ではおれんわな。早いとこ器をつくらんといかん』
「器をつくる…?」
精霊王の言葉に胸が騒つく。
『所謂、覚醒というやつじゃの。魂の覚醒じゃ。
――お主、元は御影 遼という名前じゃな…?』
思わず息を呑み、精霊王を見返す。
「なんでそれを…!」
誰にも知られないはずの“名”。
突然突きつけられて、背筋がひやりと冷たくなる。
精霊王の澄んだ瞳が、俺の奥底まで見透かしているようで、動揺が隠せない。
『魂に書いてある。ワシとお主は今深いところで繋がっておるんじゃ。それくらいは分かる…が』
精霊王の声はどこか柔らかく、しかし核心を突く響きだった。
『……その名前、今のお主そのものではなかろう?』
「………!」
胸の奥がきゅっと痛み、一瞬息がとまる。
今まで触れずにしまい込んでいた“箱”に触れられて、思考が宙に浮いたような、足元がぐらつくような…そんな感覚に襲われる。
『お主の魂は、いまだ“覚悟”を定めきれておらぬ。
……己が“魔王”であること、その責任も痛みも、どこかで拒み続けてきたからじゃ』
精霊王の言葉に呆然としながらも…言い訳する隙がない。
――――その通りだ。
ずっと、どこか現実感がなかった。
魔王として振る舞うことも、誰かに頼られることも、全部“なりゆき”でやってきた。
どこか切り離して、「これは異世界での自分、現実とは違う」と心のどこかで思い込もうとしていて
俺はどこかで御影 遼として…過ごしていた。
精霊王は静かに俺の心を覗き込むように続ける。
『仲間が命を懸けてお主を信じ、従ってくれておる。
その絆も、想いも、魔王としての“お主”を支えておる。
そろそろ、自分を偽るのはやめるがよい』
頭をよぎる、仲間たち――
自分を“魔王”として信頼し、支え、命を預け…
命がけで守ろうとする者たち――
俺は静かに目を閉じ、心の奥底を見つめ直す。
カチッとなにかがきれいに嵌るような感覚。
「…そういうことだったんだな。精霊王…やっと色々な事がすっきりしたよ。
行き場を無くした力は、俺が奥底で拒絶していた結果だったんだな」
『そう言う事じゃ』
精霊王の言葉に、
胸の奥で何かが静かに震えた。
(……ああ、これか)
ずっと、見ないふりをしてきた“魔王”の力――
自分の奥底にずっと感じていた、黒く澱んだ重たいエネルギー。
それは、得体の知れない何かで
うっかり触れればすべてを呑まれてしまいそうな、そんな恐ろしさがあった。
無意識に避けていたし
“根源”には決して手を伸ばさないと――そう決めていた。
けれど今――
精霊王の言葉に導かれるように、
その“核”が、ゆっくりと輪郭を持って現れる。
……俺の、魔王としての“力”の根源――
『魂に自分で名前を刻むのじゃ。
それが器を作る。覚悟を決めよ、魔王ノア』
精霊王の声が、静かに、しかし強く胸に響く。
そっと目を閉じると浮かぶ仲間たちの姿――
俺を信じ、支え、命を預けてくれる者たち。
(ここで逃げたら、もう二度と前には進めない。
この力も、この居場所も、全部――自分で選び取る)
黒く澱んだ魔核の奥底へ、
恐る恐る手を伸ばすと…
そこには、冷たさと、重たさと、
けれど確かに、俺自身の“生きたい”という叫び――
ノア=グラヴィス
魂の奥に――
想いと名を刻み込む。
――次の瞬間、
魔核の奥から、温かな光がじわりと溢れ出した。
重たい闇を溶かすように、
それは、心の中をあたたかく満たしていく。
そして
俺の全身を、まばゆい光が内側から染め上げた。
熱が波紋のように広がり、魂から放たれる光が、肉体ごと包み込んでいく。
それは以前よりも強く、しかし優しい――
“覚悟”を宿した光だった。
◆
その輝きは、結界の間を突き抜け、
魔王城の上空にまで至る大きな光柱となった。
魔王領の街並みを照らし、
配下や眷属が一斉に足を止めて天を仰ぐ。
「……ノア様の、覚醒の気配……?」
「また……何か起きてるのか……?!」
敏感な彼らは、体の奥で脈打つような共鳴を覚え、胸の奥に“新しい時代”の胎動を感じていた。
◆
結界管理室。
ぴょん爺は術式盤の前で、霊体のうさ耳をぴょんぴょんさせながら、慌てふためいていた。
「ぬおっ!
またやりおった!
結界の魔素が跳ねまくっとるやないかい!
……おっと、そっちはあかん、割れる、割れるぅ!」
術式盤を中心に、耳をぴょこぴょこ暴れさせながら、忙しく室内を動き回る。
「なんちゅうエネルギーや……!もうちょい加減してくれな、ワシの身が保たんで!!
……いや、もうこれ、結界“管理”やのうて結界“耐久レース”になってますやん!!」
誰もいないのに
大きな文句をぎゃあぎゃあいいながら
そのくせ目尻は妙にうれしそうに下がっているおっさん。
「ほんま、ノア様は期待を裏切らへんで。
毎度毎度、心臓に悪いけど……。
おかげで老体も若返るわぁ!……って、ちょ、次はもうちょい手加減してぇな~!!」
◆
その頃、碧羅と逸花は儀式の間の外で待機していた。
「……覚醒の光!ノア様……!」
眩い光と魔力の奔流が、分厚い扉ごしにまで伝わってくる。
近くにいるせいか、それとも眷属であるせいか――
2人の中に、溢れるような温かいエネルギーが満ちていく。
それは、ただ力強いだけではなく、
どこか懐かしく、守られているような安心感を含んでいた。
胸の奥に広がるのは、ノアと分かち合ってきた絆。
そして、今この瞬間、何か新しい始まりが訪れるという、静かな予感。
碧羅は逸花と視線を交わし、
言葉なく、小さくうなずく。
(きっと大丈夫――)
沈黙のなかに、絶大な信頼と、そして焦りを押し殺した強い決意が宿っていた。
2人はただ、祈るように扉の向こうを見守り続けていた。
◆
同時刻、訓練場。
焔嶺は、魔王城からほとばしる強烈な魔力の波に思わず剣を構えた。
「この力は……ノア様――」
仲間たちが驚きざわめく中、焔嶺だけは静かに空を見上げる。
「……魔王として、また一歩進まれたのですね」
その目は、誇らしさと、遠い決意に満ちていた。
◆
そして世界の各地――
空気の色が変わり、見上げる市井の人々が不安そうにささやき合う。
「な、なんだ……今の光……?」
「魔王城の方角から……?」
王宮や教会、各国の重鎮たちのもとにも覚醒の余波は届く。
ある者は記録を急ぎ、
ある者は冷や汗を浮かべて首をひねる。
その一方で――
ある国の一室。
「……予定通り、だな」
窓越しに空を眺めて微笑む者。
暗がりの部屋で
「“この段階”で覚醒するとは……!」
慌て焦る者。
苦々しげに歯ぎしりしながら
「……まだ手は残っている」と
新たな策略を巡らせ始める者。
「歴史がまた動くか……」と静かに呟く者…。
それぞれの立場で、策謀と期待、警戒と野望が入り混じるのだった。
◆
『これはまた…一際大きなエネルギーの波じゃったな!世界が震えとるわ!』
いつも穏やかな精霊王が、抑えきれない興奮を隠そうともせず、声を弾ませる。
その眼差しには、驚きと祝福、そしてどこか誇らしげな色が混じっていた。
まるで世界が祝福するかのように――
俺の“覚悟”が、器となって、
魔王の力が、静かに、しかし確かに――
自分のものになった。
「…生まれ変わったみたいだ…」
その瞬間、何故か…親しみのある声が頭の中に響く。
『魔王ノアの覚醒を確認。マギア・コアシステムの使用が可能となりました。
さらに、叡智解析の制限を解除。
アリアによるサポート体制が大幅に上昇します』
次々に新しい感覚が流れ込み、脳裏に幾つもの知識や情報が、一気に広がっていく。
今まで霞がかかっていたものが、一つずつ鮮明になっていくような、不思議な解放感。
―――ふと、背後で空気が震えた。
ごうっ
と風を切る音。
「……零!」
眩い光の中から現れたのは
純白の体毛に、ところどころ金色の毛が混じり、体が大きくなった零だった。
「……成長したのか」
神々しく輝く二本の角――
そして、広げた翼はまるで空そのものを従え、
一振りで天候すら左右しそうな威容を放っている。
まっすぐこちらを見つめるエメラルドグリーンの瞳には
知性と優しさ、そして強い意志が宿り、かつての小さな相棒“零”の面影が、確かに残っていた。
零はゆっくりと歩み寄り、
その大きな頭を俺の肩にすり寄せてくる。
「これからは、もっと役に立てるよ。――ずっと、そばにいるから」
その言葉に、自然と笑みがこぼれる。
『原初の魔獣【アークビースト】は、全ての魔物の始祖種です。
人と始祖の力が混じり合って生まれた亜人を含め、多くの“始まり”と言って差し支えありません。
主人の覚醒によって、零もまた“始祖種”として成長を遂げました。』
アリアの静かな説明が、頭の奥に響く。
そうだったのか…。
零のたてがみを撫でながら、小さな相棒の成長した姿をまじまじと見つめる。
「……頼もしいじゃないか、零」
『うん。任せてよ。
けど…この姿じゃ、ずっと傍にいるのは難しいから普段は小さくなっておくね』
そう言うと零は、得意げにしっぽを一振り。
次の瞬間、いつもの小さな姿に戻って、
ひょいと俺の肩に飛び乗った。
「便利だな!そんなことも出来るのか」
「うん」
零はそう言って、ふわりと丸くなり、いつものように俺の耳元で尻尾を揺らす。
いつもの肩に感じる重みと、零の柔らかな温もりのおかげで
一気に非日常から現実に引き戻されたような、不思議な安心感が胸に広がった。
『よしよし。上手くいったの。
今のお主なら、少女にかかった歪んだ理を正すことなど造作もないじゃろう。
おそらく、術者を追跡することも可能じゃ』
事の成り行きを見守ってくれていた優しい王が、穏やかな口調で語りかけてくる。
「精霊王……本当にありがとう。どう礼を尽くせばいいか……」
頭を下げようとすると
精霊王は手をひらひら振って、いつもの調子で遮ってきた。
『そんなもんいらんわい。
それよりも、今度こそ人の世の歪みを正してくれ。
……振り回される方は大変じゃ』
その言葉に、俺は思わず苦笑する。
相当振り回されている側の俺としても、その意見に強く同意だ。
『あ、そういえば一つだけ』
そう言うと精霊王は、ふっと笑みを浮かべて俺の方へ近づいてくる。
これまではどこか遠い存在に感じていた“王”だけど
不思議と今はもっと身近な存在に感じる。
『わしの依り代を作ってくれんかの?お主なら可能じゃろ?』
いきなりの“お願い”に、しばしぽかんと口を開けてしまう。
「依り代…?」
『そうそう。毎回お主を使うわけにはいかんしの……
けど、できれば、もうちょっと自由にこの世界に遊びにきたいんじゃ』
「……依り代って、そんな気軽にこっちに来ても大丈夫なの?」
思わず苦笑いしながら返すと
『ええじゃろ?
どうせなら、一緒に美味いもんでも食べて、酒も呑んでみたい。
ああ、それと、地上で祭りなんぞも見てみたいわい。
いや~、楽しみが増えるの!』
まるで“近所の陽気な爺さん”みたいなノリに、
思わず吹き出しそうになった。
「ははっ。それくらい、お安い御用だよ。喜んで用意する」
『おお、助かるわい!これで好きな時に地上へ遊びに行けるの。
いや~、まだまだ楽しみが尽きんわい!よろしく頼むぞ、ノア!』
肩の力が抜けて、ふっと心が軽くなる。
“世界の理”の根本に触れたばかりなのに、
最後は案外、そんな調子で終わっていく――
精霊王らしいなと、心の中で苦笑する。
零が、俺の肩の上で“クスッ”と笑った気がした。