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黒い胎動

冷たい回廊――

月明かりすら届かぬ、その奥深く。

影が、言葉少なに輪をなして佇んでいた。


「……予定どおり、“次”の魔物は今夜、境界線に放たれる」

低い声が、重苦しい空気を裂く。


「“素材”は順調に集まりつつある……

次は、魔王との接触でどこまで“臨界”に達するか――」


石板の上に、誰かの白い指が滑ると

淡く輝くその表面に浮かび上がる“歪な紋章”。


「“術式”から弾き出されたのは、想定外か?」

低い声に、別の影がかすかに肩をすくめる。


「いや……むしろ好都合。

制御外で生じた魔素の変動は、予想以上に“大きな波”となって観測された。

世界の均衡が揺らげば、封印も――」

「失敗は許されん。“あの方”の意志は絶対だ。

必要なら、次の候補を使えばいい」


石板の脈動に呼応して、回廊の奥に微かな“共鳴音”が響く。

無表情で、淡々と事を進めていく影。


「……目覚めまで、あと一歩」


その言葉だけが、冷たく空気に残った。

彼らの素顔も、正体も、今は語られない。

ただ静かに――

この世界の“理”を創ろうとする何者かが、

暗い地下で着々と手を伸ばしていた。

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