最終回
数年後。
「フローレンス様、おめでとうございます」
「ありがとう、デルフィーナ様」
聖女候補時代共に過ごした、デルフィーナ・スカヴィーノ。
この度、私は結婚する。
「本日は招待して頂きありがとうございます」
「コンチェッタ様にクロリンダ様。お越しいただきありがとうございます」
「お久しぶりね。本日はおめでとうございます」
「ブルネッラ様、ありがとうございます」
「私達もいるわよ」
「アイーダ様にアネルマ様もありがとうございます」
聖女候補時代にお世話になった人達が続々と挨拶に訪れる。
「結婚おめでとう、幸せになってね」
「ありがとうございます」
「聞いた話だと、私達が卒業してから相当大変だったみたいね」
先輩たちが卒業し、デルフィーナと私が候補者を引っ張る立場になった時ソミールが現れる。
他の先輩達は彼女と入れ替わりだったので、どんな人物かは正確には知らない。
ソミールという存在を知ったのは私が卒業しすぐ、聖女様が亡くなってから。
今代の聖女が決定し、コルネリウスにより聖女補佐は必要ないと宣言されてから私とデルフィーナは令嬢達の標的だった。
その状況を先輩達がさりげなく助けてくれていた。
だが、半年も過ぎた頃にコルネリウスから『補佐に任命する』と突然の手紙が届く。
「忘れないうちに渡しておくわね。これはエルネスタ様からの手紙よ」
「エルネスタ様ですか? 嬉しいです。隣国にと聞いたのですがコンチェッタ様は交流がおありなんですか? 」
「隣国との取引で向かった時に偶然会ったの。彼女も皆にも会いたがっていたわ」
「そうなんですね」
卒業してからも聖女候補達とは仲がいい。
過去色々あったブルネッラとアイーダもあの頃よりかは自然に会話している。
「今の聖女様は教会に移り住み、ほとんどの時間を祈りに捧げているそうですよ」
ソミールの能力に陰りが見え始めた頃からコルネリウスは調査をしていた。
だが、王宮はそれよりも前からソミールという人物について把握。
それでも聖女にし王妃候補として見ていたのは、教会内での活躍を買っていたから。
聖女候補達の功績をうまく利用し自身のモノにする能力。
それを王宮でも発揮し、有能な聖女候補達が働いてくれるなら王妃が無能な聖女で構わなかった。
だが、愚かにも王子の『聖女補佐を必要としない』宣言により見切りを付けていた。
静かに聖女を務めていれば別の道もあったはずだが、王族主催のパーティーで隣国の王女相手に失態を犯した事が決め手となり王宮ではなく教会で祈りを捧げる事になった。
ソミールが処刑にならなかったのは、王女の寛大なお心によって。
その後、国として相手国の条件を無条件に飲むことになった。
今回の件はソミール一人の責任ではなく、コルネリウスにも処罰が下された。
『生涯、聖女のお目付け役としてコルネリウスは聖女護衛騎士に任命』
コルネリウスは反論することなく受け入れた。
ソミールは今、新たに誕生する聖女候補とは別で祈りを捧げている。
教会に移り住み、人々の前に一切出ないソミール。
今、結界は修復・維持され始めた。
教会が徹底的にソミールを隔離・管理し祈りに集中させている。
国民は、ソミールを絵本のように素晴らしい聖女様と信じている。
その噂も嘘ではない。
ソミールは結界の為に毎日、朝早くから晩まで祈りを捧げている。
逃げ出す事が無いよう、常にコルネリウスが監視している。
「フローレンス」
「ルードヴィック」
卒業した聖女候補同士で談笑していると、ルードヴィックが現れる。
「挨拶してたのか」
「皆さんからお祝いの言葉を」
「それは、ありがとうございます」
私はこの度ルードヴィック・コルテーゼ侯爵と結婚し、フローレンス・コルテーゼ侯爵夫人になった。
聖女候補として共に学んだ人たちに祝福され幸せな結婚式を迎えることが出来た。
聖女になるために努力してきたが、ならなくて良かったと思っている。
これは強がりではない。
本当にそう思っている。
「神様、聖女様のことくれぐれもよろしくお願いいたします。これからは聖女様お一人を、確り見張っていてくださいね」
私達聖女候補卒業生は神様に祈った。
【終わり】




