ソミール視点
パーティーから数日後。
私の失態にイリノエ侯爵は責めることは無かったが、一切口をきいていない。
「ソミール、国王から報せが届いた」
「……はい」
「『今後、王宮ではなく教会で祈りを捧げるように』とのことだ」
「どうして……」
「どうして? 隣国の王女を招いたパーティーで失態を犯したんだ、処刑を免れ聖女を剥奪されずそれだけの処罰に感謝するんだ。安心しろ。コルネリウス様も一緒だ」
「コルネリウスさんも? なら、コルネリウスさんは隣国の王女とは婚約しないのね」
「あぁ、婚約はしない……詳しくは本人に聞くと言い」
王宮を歩くと私を目撃した貴族に羨望の眼差しを向けられ好きだった。
だけど最近は結界に何らかの異常が見られているので、彼らの視線から逃げるようにしていた。
なので、王宮から教会への変更は正直安堵している。
「懐かしい」
教会へ到着すると気分が変わる。
それに、コルネリウスも一緒だと思うと安心する。
彼が一緒という事は、私が彼の婚約者になるのは変わらないという事。
「司祭様っ。今日からまた、よろしくお願いしまぁす」
「……えぇ」
「あれ? 聖女候補の皆はまだ来てないの? 」
「……聖女候補達はこちらにはおりません」
「それはどういうこと? 」
「結界に綻びがあり、特に酷い地域には候補者が現地まで出向き何日も滞在し祈りを捧げている」
「そうなの? 卒業した候補者達は助けてくれないの? 皆、酷すぎる」
国が大変なのに祈りに来ないなんて……
薄情。
「……新たに聖女様が公表され、許可なく教会が卒業した候補者達を呼び寄せることは出来ません」
「ならっ、私が許可します。なので、皆に私の世話係として手伝ってもらいましょうっ」
私の頼みなら、皆すぐに来てくれるはず。
あれだけ仲良しで、候補者時代には色々助けてあげたんだもの。
私か困ってるって言えば駆けつけてくれるはず。
そうしたらすぐに結界も落ち着いて、王宮に戻れるわ。
皆もきっと、私の補佐で王宮で働きたいはずだから私が提案すれば喜ぶに違いないわ。
「それは出来ません」
「……え? どうしてですか? 皆、喜んでくれると思うのにぃ」
「今後、卒業生を頼ることなくソミール様が結界の維持を賄うようにとのことです」
「私一人ですか? 」
「正確にはあまりにも酷い地域は候補者達が直接出向き、祈りを捧げます。王都の教会で国全体の強化を図るのがソミール様です」
「私一人で……候補者の時だって皆で祈っていたじゃないですか? その方が……」
「国王様の決定です」
「国王様は結界に綻びがあるのを知らないの? 事実を報告した方がいいんじゃ? 私が伝えましょうか? 」
もしかして司祭様、王様に怒られるのが怖くて本当の事報告していないんじゃ?
だから、王様も私一人にって言ったのよ。
本当の事を教えてあげたら私に感謝するわ。
王宮での生活にすぐに戻れるはず。
「国王様は全てを把握している。それに今日から新しい人が……来たようですね」
「えっ誰? ……コルネリウスさん? 今日は騎士みたいな恰好なんですね」
「……この度、聖女様の護衛に任命されたコルネリウスです」
「私の騎士にコルネリウスさんが? わぁ、王子で聖女の騎士だなんて素敵っ」
「……聖女様、私は王位継承権を剥奪されました」
「ん? それってどういう意味でしょうか? 」
「私は今後、王族と名乗ることはありません。聖女様の護衛騎士に任命されたのです」
「いつか私達は国王と王妃になるという事ですよね? 」
「……なりません。ソミール様は聖女として教会で祈りを捧げ、私は聖女の護衛騎士として生涯教会に滞在する事が決定しました」
「コルネリウスさんは国王にならないの? なら、誰が国王になるんですか? 」
「弟がなります」
「……弟って……なら、私は? 王妃に成れないんですか? 」
「はい」
「どうしてっ、今まで頑張って来たのにっ。酷いっ。コルネリウスさんも、それでいいんですか? ……司祭様、どうしてこんな酷い事になっているんですか? 」
私が必死に酷い現状を訴えているのに、二人は何も答えてくれない。
「どうして……どうして……どうして……」
友達に手紙で現状を訴えるも、誰からも返事が来ない。
「どうして皆、私を助けてくれないの? 私、こんなに困っているのに……」




