王宮
王族主催パーティー。
貴族の入場は終わり、王族の登場となる。
「あら? コルネリウス王子の本日のパートナーは隣国の王女なのね。てっきりソミール様だと思っていたわ」
「そうみたいだなあ」
本日、フローレンスのパートナーはルードヴィックが務めている。
コルネリウスがエスコートしている人物がソミールでないことに、周囲の貴族も疑問を口にする。
「何かあったのかしら? 」
「最近、結界を張る聖女の祈りの時間が伸びているらしい」
「そうなんですか? あの方が真面目に祈れば一時間も必要ないと思いますよ」
「王宮に出入りしている貴族によると、日によっては十時間超えることもあるとか……」
「十時間ですか? それは……間違った噂ですね。そんなはずありませんよ」
「噂だからな。だが、何時間も祈っているのは確かだそうだ」
「では、今も祈りをしているのかしら? 」
祈りの時間が長引いたとしても、今も祈っているという事はあるのだろうか……
「さぁな。だけど、色々噂があるみたいだぞ」
「色々ですか? 」
「聖女の能力査定に誤りがあったんじゃないのかとか、聖女候補達を補佐に任命するべきだとか。他にも、本日招待された隣国の王女とコルネリウス王子が婚約するんじゃないかって」
「そうなんですか……どれも嘘ですよ。私はあの方の補佐をするつもりはありませんから」
「する必要はないと思う……ん? なんだか騒がしいな」
「何が起きてるんですか? 」
ダンスホールから外れるようにいたので、何が起きているのかフローレンスからは見えなかった。
『コルネリウスは私の婚約者なのよっ。人の婚約者取ろうとするなんて最低な女ねっ』
「この声って……」
「あぁ、ソミール嬢だ」
背の高いルードヴィックが状況を説明してくれる。
「ソミール嬢が、王女をっ……突き飛ばした」
「まさかっ」
会場内は混沌としソミールはコルネリウスと騎士に引きずられるように去って行く。
あまりの出来事に会場は静まり返る。
「王女よ、大変申し訳ない。今のは我が国の聖女なのだが、最近体調が良くないようなんだ」
「……そうなのですね」
国王が謝罪し王女もその場は受け入れ、パーティーは続行。
だが、パーティーでの聖女の行動は貴族の記憶に色濃く残る。
「これからどうなるんでしょう? 」




