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聖女候補九年目 どうしてあなたがここにいる?

 フローレンスは司祭に許可を得てからコルテーゼの領地に向かう。

 ルードヴィックにも手紙で事前に知らせてある。


「えっ……どうしてあなたが? 」


 コルテーゼの屋敷に到着し応接室へと案内され、ここにいるはずのない人物を目にする。


「あっレンス、遅いよ」


 約束などしていないソミールが、コルテーゼ侯爵家でもてなしを受けている。


「えっ……なんで? 」


「フローレンス嬢が『共に』と誘ったんじゃないのか? 」


 ルードヴィックがそう答えるのは、先に訪れていたソミールがそのように話したので屋敷に招き入れたのだ。

 

「私はここへ訪れる事を司祭様にしか……」


「うんっ。司祭様がね『フローレンス嬢はコルテーゼ領地に行く』って教えてくれて、私も行きたいって言ったら『行ってきなさい』って許可をくれたの。もうっ、教えてくれたら一緒に行けたのに……レンスってば抜け駆けぇ」


「……司祭様が許可を? 」


「うん。レンス一人だと心配だからって話したら許可くれたよ。レンスを待っている間ね、ルードヴィックさんと話してたら盛り上がっちゃって。ルードヴィックさんて素敵ですね、婚約してるんですか? 」


「……いや、していない」


「わぁそうなんだっ。良かったね、レンスッ。ルードヴィックさんて、女の人に人気なんじゃないんですか? レンスってば、心配で通ってるんだよねっ」


「ソミール様っ、勝手な事を言わないでいただけますか? 」


「もう、照れちゃってぇ。可愛いなぁレンスは。私とレンスはとっても仲の良い友人なんです。もし相談事があれば私が乗りますよ。レンスの事なら、なぁんでも知ってますからっ。ねぇ~レンスッ」


 周囲に二人の関係がどのように見えているのか分からないが、フローレンスはソミールに同意する事は無かった。


「レンスはここに何しに来たの? 観光? 」


「……私は、教会へご挨拶に伺いました」


「そうなんだ、なら私も一緒に挨拶しようかなぁ」


「そうですか……」


「レンスはいつ帰るの? 」


「数日滞在します」


「そうなんだぁ。私も一緒にいいかな? 」


「……それは……」


「レンスと一緒がいいのっ」


「私は……その……」


「フローレンス嬢は、本日我が家に宿泊する予定ですよ」


「えっ、ルードヴィックさんの屋敷に? 私もいいんですか? 」


「……ソミール様? 」


「嬉しいっ。貴族の方に招待されるなんて私、初めてなんですっ。ンフフッ」


 了承もしていないのに、ソミールはコルテーゼの屋敷に宿泊するつもりでいる。

 話を聞かない彼女にフローレンスもルードヴィックも溜息を吐き受け入れる。


「ルードヴィック様、申し訳ありません」


「……フローレンス嬢も大変だな」

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