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聖女候補九年目 ヒロイン動き出す 二

 エリベルタの懸念していた通り、ソミールは各候補者の奉仕活動先に現れる。


「今回、騎士達からひったくりを逮捕するのに協力したと報告があった。危険な行為は控えるように」


 ラヴィニアの騎士団への激励に偶然居合わせたソミール。

 あたかも自身も予定通りという堂々とした振る舞いに騎士達は受け入れてしまう。


「いつも私達の事を命がけで守ってくれる騎士様には感謝しています。私、一度騎士様の仕事を拝見したいと思っていたんです。見学させて頂けませんか? 」


「我々の仕事は危険と隣り合わせです。私の指示に従えるのであれば許可致します」


「もちろんですっ」


 騎士達に同行しひったくりに遭遇。

 報告書では、犯人逮捕に協力となっているが、実際はその場を眺めていただけ。


 アルテーアの奉仕活動先では……


「あの掃除をされているのって……」


「えっ? ソミール様……ですわね」


 アルテーアのチャリティーイベントには、会場の掃除係りとして紛れ込んでいた。

 ソミールを次期聖女・王子の婚約者にと望んでいる者に発見されあらぬ噂が経つ。


「平民出身のソミールは他の聖女候補から使用人のようにこき使われているのではありませんか?」


 チャリティーイベントの内容よりソミールの待遇の方が噂になったいた。

 ちなみに掃除をしていたソミールは自慢のピンクの髪を結んでいたが隠すことはない状態で黙々と掃除をしていた。


 フィオレの奉仕活動先では……


「あのねフィオちゃん、花を育てるには土が一番大事なんだよ……あっ、フィオちゃんは汚れちゃうから何もしなくていいよ。私がやるからっ」


 王都にある花壇の手入れをしている。


「あのっこれは私が……」


「気にしないのっ。私、花の手入れとか慣れてるから。フィオちゃんはしたことないでしょ。綺麗な手に傷でもついたら大変だものねぇ」


 何をしていいのか分からないフィオレはファビオラに相談していた。


『私……聖女候補としてどんな活動をすればいいのか分からないんです……何も思い浮かばなくて……』


『そっかぁ……私が最初にしたのは、王都の景観を向上させる為に花壇を作ったの。その手入れ、やってみる?』


『いいんですか? やらせてください』


 悩んでいた時にファビオラから提案された活動。

 気合を入れて花壇の手入れに取り掛かろうとしていた時、ソミールが現れ道具も何もかも奪われてしまった。

 別々に行動していたフィオレがファビオラと合流すると、ソミールの存在に気が付く。


「ソミール様? どうしてあなたが? 」


「あっファビちゃん、今ね、花壇の手入れをしているんだ」


「どうしてあんたがしているのですか? この花壇は私が担当している花壇で、フィオレ様に手伝って頂いているんです」


「そうだったの? フィオちゃんがね汚れるの嫌がってるように見えたから、私が変わってあげちゃったの。お願い、フィオちゃんを怒らないであげて」


「えっ……違っ……」


「フィオレ様を怒ったりしません。私は私の花壇を勝手に障っている貴方に怒っているんです」


「私はフィオちゃんのお手伝いだよ。綺麗にできたと思わない? 」


「そういう事ではなく……」


「あっ、こっちも私がやっておくね」


 ソミールはその後もファビオラの花壇の手入れしていく。

 土の付着した服で汗を拭いながら一つ、また一つと作り替える。

 王都での活動なので、今回の件もすぐに噂が広まった。

 

「土が顔についても手入れをする姿、それでも美しかった」


 花壇の発案者がファビオラで、ソミールの傍にはフィオレがいたが二人の名前は一切噂に出てこなかった。

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