聖女候補九年目 卒業と誕生……
聖女候補九年目。
「デルフィーナ・スカヴィーノ子爵令嬢。貴方は聖女候補の期間中、孤児院への金銭的・就職先支援など素晴らしい活躍でした。人は失敗して成長します。聖女候補として恥じない働きでしたので、胸を張ってください。私は聖女候補であった貴方を誇りに思います」
「司祭様の言葉に何度も救われました。一度は自身の犯した罪の重さに逃げてしまいそうになりましたが、司祭様が教えてくれた『清い心』が私を引き止めました。これからも間違った選択をしそうになった時、司祭様の言葉を思い出し聖女候補であった事自分に恥じぬようしたいと思います」
デルフィーナは司祭に真実を告げ、候補者全員にも失態を謝罪した。
令嬢自ら話したことで、聖女候補者は誰もデルフィーナを責めることは無かった。
「フィッ……フィーナさっんん゛っ。私、とっても……寂しいです。最後じゃないですよね? また、会えますよね? 」
デルフィーナを司祭と見習い、聖女候補で見送る際。
ソミールは涙目で悲しみを訴える。
「……短い間でしたが、ソミール様のような方は私の人生で貴重な経験をさせていただきました」
「そんなぁ、私なんて失敗ばかりで……フィーナさんには迷惑ばかりだったでしょう……ひっく……」
「んふ。それでは、今までありがとうございました」
「フィーナさぁん……ひっく……」
涙で見送るソミールとは違い、他の候補者達は冷静だった。
「レンス、これからは私達が聖女候補代表者として皆を引っ張って行かないといけないんだよね」
「……そうですわね」
「私達、協力しようねっ」
ソミールはフローレンスの手を取り、最年長として気合を入れている。
周囲はそんな二人を見守っていた。
「皆さん見送りは終わりました。応接室で話があります」
デルフィーナの見送りを終え、司祭の言葉で部屋に戻る。
「皆さんに報告があります。今年の儀式で聖女候補は現れませんでした」
今年も聖女候補は誕生しなかった。
「えっそうなんですか? 大変じゃないですかぁ」
現在、教会内を大変にさせている張本人の発言。
まるで他人事。




