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聖女候補七年目 国王への謁見まで秒読み

 司祭を訪ねていたコルネリウス。

 帰り際、フローレンスは対面する。

 

「……フローレンス嬢、聞きたい事がある」


「はい」


「教会は聖女候補を平等に扱っていないのか? 」


「教会は常に平等です」


「それは、王族の私に嘘ではないといえるか? 」


「はい」


「……そうか」


 この時から、コルネリウスの聖女兼婚約者候補達への態度にわずかかだが変化が現れる。

 そして、国王陛下への謁見の日が迫る。

 

「ソミール様は王族の前に出るにはまだ早いというのが私の見解です」


 それがソミールの講師を担当していた者の評価。


「だが、王族への謁見をこちらの都合で延期は出来ませんからね」


 司祭はソミールが当日失態を犯さないか不安で頭を抱える。

 ソミールは普段から講義に遅刻、出席しないこともある。

 それでも彼女に自由を許可するのは、それほど彼女の能力が高く……次世代の聖女だと確信しているから。

 

「司祭様は……本当にソミール様が次世代の聖女様になると? 」


「はい」


「他の聖女候補の方がよっぽど聖女としての心構えがありますよ」


「……心構えと能力は違います。彼女の能力は私が関わって来た聖女候補の中で比べ物にならない程です。彼女が不機嫌な日は祈りの時間は長く、コルネリウス様が彼女とお会いになる日は短いですからね。もう、彼女が次世代の聖女だと信じるしかないですよ」


「聖女に指名されるよう努力している候補者達の気持ちを考えると私は……神様もあんまりですね」


「神が決めた聖女。本人の性格などは関係ない。生まれ持った才能。神の意思を否定してはいけない……我々は、神の決定を受けれいるしかありません」


「神様は、私達に試練を与えるのですね」


 王族への謁見の日まで、ソミールの礼儀作法の講義は続く。

 日が近付くにつれソミールと講師だけでは不安という事で司祭も参加し、候補者達も手本を見せるように。

 不満を覚えつつもラヴィニアとエリベルタの姿もある。

 そして、謁見当日。


「いいですか、余計な事は話さない。こちらから王族へ話しかけない事。友人のように話さないこと」


 王宮へ到着する馬車の中でも司祭はソミールに注意事項を話す。

 過去、他の令嬢達にはした事もない話。


「はぁい」


「返事は短く」


「大丈夫ですよ、私が平民であるのは知ってるので些細なことは平気だってコルネリウスさんが……」


「王宮ではコルネリウス第一王子と呼ぶように」


「はぁい」


「……返事」


「……はい」


 ソミールと司祭が乗る後方の馬車でも、今日の謁見について候補者達が会話する。


「アレの失態はアレの責任ですよね? 」


「教会の責任にはなりませんよね? 」


「もし教会の教育不足だと判定されたら、私達はどうなりますか? 」


「私達も責任問われるのでしょうか? 」


 不安を口にするも、答えなど誰も分からない。

 そんな事は分かっている。

 ただ皆、自身の不安を吐き出したいだけ。

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