聖女候補七年目 遅く誕生した候補者の能力
今までフィオレに対して厳しい対応を見せていたエリベルタだが、ソミールの存在でそれどころではなくなった。
「汚らわしい人間と一緒に講義を受けるだなんて信じられないわっ」
「……エリベルタ様っ」
一応はデルフィーナが窘める。
「それに未だに納得できないんですよ、残り二年弱で卒業というのも。この平民が外で無知を披露した時、聖女候補はこの程度なのかと勘違いされるではありませんか。私はこの平民と一緒だと思われたくありません」
エリベルタがそう思うのは当然。
中途半端な状態で卒業し無知が露見した時、教会での九年間に何も学んでいないと疑われかねない。
教会は王族の支援と貴族からの寄付で成り立っている。
疑いがかかるような事は避けたい。
「それは教会が判断したのだから、私達がどうこう出来る問題ではないわ」
「皆さん、教会が決定した事を疑うことなく受け入れ過ぎではありませんか? おかしなことはおかしいと発言するべきです」
エリベルタの言葉が正論過ぎて言い返せないまま司祭が訪れ講義が開始。
自身の考えを改め始める。
そして、ソミールが聖女候補となって初めての祈り。
「では、本日の祈りを始めましょう」
祈りを初めて目覚める。
なんだか、早く終わった気がする。
祈りの場を後にして、各々の時間となる。
「聖女候補方、どうかされましたが? 」
「司祭様? 」
「何故祈りをしていないのですか? 」
「祈りは終えました」
「終えたんですか? 」
「はい」
「祈りの場に入ってまだ三十分程ですよ? 」
「三十分? 」
聖女候補の減少で最近では二時間程祈りを捧げていた。
それが三十分……
それって……
「司祭様……ソミール様の能力って……」
「あの方が水晶に手を翳した時、水晶から光が溢れ眩しく目を覆う程でした」
「……そんなに……ですか……」
「能力が低ければ彼女は平民ですし、この事実を伏せておくという判断をしたでしょう。ですが彼女の能力は私達の想像を遥かに超えるものでした。あれほどの能力を隠し通すのは難しく、さらに我々が王族への報告を怠ったとなれば教会の存続が危ぶまれます。彼女の能力はそれ程です」
「そう……なんですね」
だからなのか、貴族に対して失礼な態度を繰り返すソミールに対して教会も強く咎めることがない。
それも、私達候補者の感情を苛立たせている原因でもある。
「皆さんと彼女の間に溝があるのは把握しています。ですが受け入れてくださいとしか言えません」
「……分かりました」
それから、私が教会の方針を話さずともソミールの能力は候補者は体感していく。
祈りの時間が早まったのは一度だけでない。
認めたくないが、私達の能力以上の能力を所持しているのだと口に出さずとも認めるしかなかった。




