聖女候補六年目 秘密を隠そうとすると別の秘密が暴かれる
コルテーゼの屋敷に戻り、侯爵に感想を聞かれる。
「とても綺麗な光景でした……あの花は……時期を見て報告と仰った侯爵の言葉の本当の意味が分かりました……」
「管理やこちらの調査が終わり次第と思っております」
「はい、それが良いかと」
「令嬢の予定では、本日お戻りに? 」
「はい。その予定です」
「そうですか。ルードヴィックも近々王都に向かいますので、調査結果や王宮への報告日など決まりましたら息子が訪ねると思います」
「そうなんですね、分かりました」
私が王都に戻るというと、夫人から沢山の物を渡される。
「これはね、領地特産のワインよ。それでこれが、美味しいって言ってくれたクッキー、道中で食べて。それで、これが貴方に似合いそうで購入してしまったアクセサリー。それで……」
あまりの量の贈り物に困惑。
領地のワインやクッキーまでは遠慮なくもらえるのだが、次第に高級なものが準備されていく。
夫人にはルードヴィックしか子供はおらず、私を娘のように思ったのかもしれない。
「侯爵夫人、こんなには頂けません」
「気にしないで、今回の事はこれでも足りないくらいなんだから」
「フローラ、貰ってほしい。母はもう一度君が来ると聞いてから準備をしていたんだ」
「そうなんですか? ありがとうございます。大切にしたいと思います」
もう一台の馬車に夫人からの贈り物を運び入れている間、ルードヴィックが隣に立つ。
「俺も、もうすぐ王都に行くから」
「そうみたいですね」
「ん? 父に聞いたのか? 」
「はい」
「父はなんて? 」
「ルードヴィック様が調査結果を教えてくださると」
「それだけか? 」
「はい」
「そうか……フローラは……聖女になるのか? 」
「それは分かりません」
「なりたいのか? 」
「……よくわかりません。ですが、指名されればお受けいたします」
「……そっか……」
全ての荷物を運び終え準備が整う。
「本日も滞在させて頂きありがとうございます。では、また」
「……また」
王都に戻って数日。
ルードヴィックが教会に訪れた。
「もう、調査を終えたのですか? 」
「いや、今日は王都に来た報告だ」
「そうですか。しばらくはこちらですか? 」
「あぁ。そのつもりでいる」
彼が何度も教会に訪れるので他の候補者達に質問されるように。
「あの方、もしかしてフローレンス様の婚約者ですか? 」
「違うわ」
「コルテーゼ侯爵令息ですよね? 」
「スカルノ様は知り合いなんですか? 」
「お話しした事はありませんが、社交会では評判ですよね。あの方はまだ婚約しておりませんから、婚約が殺到していると聞きます」
「そうなんですね」
「それで……お二人はどういう関係ですか? 」
「各地の教会訪問でお会いし挨拶しました」
「……各地の教会訪問……」
聖女候補は休みの日に何をしているかなど話さない。
お互い触れないでいる。
聞けば教えてくれるのだろうが、私達には『聖女』と『王妃』という立場が関わっているので情報共有はほとんどない。
伝説の花の存在を知られるより、各地の教会を訪問している事が知られた方が重要度は違う。
それでも先輩二人がどんな慈善活動をしているのか噂などで耳に入る。
スカルノは貧困層へ食料配布をしていて、デルフィーナは孤児院で子供達に将来の就職先などの相談に乗っている。
ファビオラは王都の景観をよくする為に花壇を増やし掃除をする者を雇い、ラヴィニアは王都の騎士達を激励し犯罪の摘発するように勤しんでいる。
三年目までの候補者は自身が何をすればいいのかまだ検討中。




