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聖女候補四年目 卒業と誕生

 聖女候補四年目。


「聖女候補、アネルマ・オルダーニ。貴方は災害地の復興だけでなく、対策を講じ強化するべく情報を駆使し補強した。同じような災害が起きたとしても、今回程の被害にはならないでしょう」


 アネルマは誰よりも図書室で勉強し、情報の精査を徹底している令嬢だった。

 私の知る令嬢で、この人は噂に振り回されるような人物ではないと言える。


「自然を予知するのはとても難しく、同じ場所・同じ被害になることはありません。過去の情報から予測し未来に備えても万全とは言えません。それでも、今の私に出来る事をしたと思っております」


「はい。貴方は素晴らしい聖女候補でした。過去を過去で終わらせるのではなく、未来に繋げる。誰にでも出来る事ではありません。胸を張ってください」


「……ありがとうございます」


 司祭の言葉は聖女候補であった彼女についてなのか、彼女のどうにもできない過去についてなのか……


「聖女候補、エルネスタ・ロヴェーレ。貴方は孤児院を巡り人々の心に寄り添う優しさを持っています。貴方の優しさに救われた人間は沢山います。それを忘れないでください」


「……はい。私は……司祭様の言葉に救われました……ありがとうございます」


 アネルマ・オルダーニとエルネスタ・ロヴェーレの二人が卒業。

 新たに一人の聖女候補が誕生。


「初めまして、アルテーア・マレンゴと申します。今年の聖女候補となりました。よ……よろしくお願いします」


 彼女は伯爵令嬢。

 婚約者はいない。

 彼女もまた、王子の婚約者候補の一人。

 誰にどう聞いているのか分からないが、教会に通うようになり周囲の噂を耳にする機会も増え自ずと理解するだろう。


「「「「「「「「「初めまして、これからよろしくね」」」」」」」」」


 彼女もまた王子との個別のお茶会をする一人。

 伯爵令嬢で、婚約者もおらず、聖女候補……

 王子の婚約者の最低条件を満たしているが、決め手がない。

 今のところ能力は残念ながら平均以下、僅かに水晶が反応した程度。

 貴族の地位も候補者の中では高いと言えず、貴族との人脈も顔見知り程度。

 王族との関係は……皆無。

 王子の婚約候補者の中で一番遠い存在と言え、聖女候補の誰もが彼女の行動を把握するも敵視もせず無害と判断。

 共に教育を受けていく中で気になることが一点。


「アルテーア様、少々お急ぎください」


「はっはい」


 彼女の時間はゆったりと流れているようで、周囲が彼女を気に掛けていた。

 彼女が素直で一生懸命というのが伝わり、誰も彼女に対して悪い感情は抱いていない。

 年下という事もあり、皆の妹のような存在となっていた。

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