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聖女候補三年目 強制的に婚約者候補に

 聖女三年目。


「聖女候補、アイーダ・インクロッチ。貴方は、聖女候補として素晴らしい活躍でした。貧民街での食料配布や災害地への救援など、令嬢からの支援に感謝している国民は多い事でしょう。教会を卒業しても、貴方なら場所を問わず活躍をしてくれることを期待しております」


「はい。私は《《九年間》》という時間でしたが、教会で学んだ事を胸に今後も聖女候補であったことを過去にすることなく精進していきたいと思います」


 アイーダ・インクロッチは卒業。

 そして、今年の新たな候補者は……誕生しなかった。

 ブルネッラとアイーダの件もあるので、聖女候補が誕生しない年とその翌年は不安を抱くそうだ。

 新たな候補者が現れず、穏やかな時間が過ぎ油断していた。


「コルネリウス・リヴェラーニです。初めまして」


 私は今、第一王子であるコルネリウス・リヴェラーニと初対面を交わしている。


「初めまして、フローレンス・バルツァルと申します」


 教会での王子と二人きりのお茶会は、私だけでなく聖女候補全員が対象。

 王子は王族として、支援している『教会訪問』という名目で聖女候補の現状確認に訪れている。

 だけど、それだけでないのは聖女候補者全員が察している。 

 『これは王子の婚約者候補を決める為の時間』だと。


「バルツァル令嬢は、聖女候補三年目なのですよね」


 物腰柔らかに話すコルネリウスは、私の一つ年上の十四歳。

 金色の髪は王家の特徴、青い瞳は王妃譲り。

 顔の特徴は、整った目鼻立ちをしている。 

 爵位は勿論だが王子自身の穏やかな性格とその見た目も相まって、令嬢達が王子との婚約を夢見ているのも頷ける。

 

「……はい、三年目です」


 つい私は、王子を絵本の王子様と比べ見入ってしまっていた。

 絵本の王子様は髪も瞳も黒かった。


「もう、教会には慣れましたか? 」


「はい。司祭様もとても気に掛けてくださいますし、他の聖女候補の方達とも意見を交わし、教会は素晴らしい環境だと認識しております」


「教会の環境もですが、バルツァル令嬢自身も優秀で努力家だと聞いていますよ」


「そのように評価して頂き、ありがとうございます。ですが、私は先輩方の後姿を追っているに過ぎません」


「優秀な方を手本にするのは当然の事です。それを実行できるかどうかは、本人次第ですよ」


 誰かと比べるのではなく、私自身を評価してくれる王子に好感が持てた。

 それが、私の第一王子への第一印象。

 王子の私への印象は分からない。

 予想するに私は聖女候補の一人で、公爵令嬢、能力は平均的、報告通りの人物……こんな感じだろう。


「そう言って頂きありがとうございます。『聖女』がどうあるべきか、私の判断は正しかったのかを悩む日々ですが今後も聖女候補の一人として精進していきたいと思います」


 王子が教会を訪れ、聖女候補達と各々対面した事はすぐに社交界で話題となった。

 このことにより、王子の婚約者論争が激化。

 それに伴い貴族達の訪問はさらに頻繁に。

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