”地球最強”の男
俺、川野瑠衣 二五歳は小さいころからあらゆる格闘技や武道を極めてきた。柔道、剣道、合気道、弓道、レスリング...。
どれも中途半端なのは嫌で、毎日死ぬほど練習した。今では世界ランキング上位に入るものも多く、テレビや新聞では”地球最強”などと呼ばれていた。
今日もトレーニングを終えて帰っている途中だった。
「危ない...。轢かれるぞ!」
横断歩道に向かっていると一人の少女がトラックに轢かれそうになっている。とっさの判断で俺は少女を突き飛ばした。
「ヴッ...!」
次の瞬間全身にものすごい衝撃が走った。手足は痺れ、頭が痛む。
「しっかりしてください。今救急車を...。」
薄れゆく意識の中で少女の声がした。だがもう返事をする力もない。俺はそのまま意識を失った。
気が付くとそこは永遠に続く白の世界だった。
「ここは...。」
「ここは生と死の間の世界。あなたは少女をかばいトラックに轢かれました。」
無意識につぶやくと女神か天使かわからないが優しい声が返ってきた。しかし、あたりには誰の影も見えなかった。
「あの少女はどうなった。」
その声の正体を確かめようともう一度問いかけてみる。
「多少の怪我はありますが、無事ですよ。あなたのおかげですね。」
「そうか...。」
声は返ってきたがやはり視認するのは難しいようだ。
それにしてもよかった。俺の死は無駄ではなかったらしい。
「それでは話の本題に入っていきます。あなたは他人の命を助けるために死にました。よって、異世界に転生する権利を与えます。あなたのいた世界には行けないですが希望があれば教えてください。できる限りお答えします。」
自分の転生したい世界か...。どうせなら魔法とか使ってみたいな。でも、そんな世界なんてあるのか?
「魔法が使える世界というのはあるのか?」
「あります。それでよろしいですか。」
「それでお願いする。」
ほかに望むことなどなかった。そのまま死ぬと思っていたがなんと異世界転生までできるのだ。
「あなたのいた世界の言葉は一切通用しません。赤子に転生するので自力で覚えてください。そして、前世の記憶は残ります最大限利用してください。私があなたに言えるのはそれだけです。」
彼女がそう言うと、いつの間にかタオルのようなものにくるまれていた。
新連載! 世界最強だった俺が異世界では最弱職だった ~地球の戦闘技術で無双します~を読んでいただきありがとうございます。
次回から異世界突入です。主人公は異世界でゆっくり生活することはできるのか。
「初めての異世界」お楽しみに!
高評価 レビューよろしくお願いします。
初めて書く小説なので、到らない点がありましたら教えていただけるとありがたいです。