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草原と神社と狐面の人

草原で目覚めた。

ここはまるで死後の世界だ。

そう思うほどに心地よい。

陽射しを中和する穏やかな風。

草原を流れるように揺らす。

そういえば。あの蛙の女の人は何処に?

辺りには誰もいない。

あの山の向こうに何かある。

山の山頂に建物が見える。

そこまで行ってみよう。

緩やかな小川があった。

大きな石を飛び越える。

山の麓まで辿り着いた。

草分けの跡がある。

恐らく蛙の女の人だ。

山道らしき場所に出た。

大きく畝りを描いて上まで続いている。

道は柔らかい。

落ち葉と木の枝を踏みつけながら登っていく。

見晴らしの良いところに出た。

木々が開け、先程までいた草原が見渡せる。

かなり高いところまで来た。

草原の遥か奥に前までいた森が見えた。

振り返り上を見る。

大きな石が階段状に積まれている。

苔が生えているが乾いている。

この上に蛙の女の人がいる。

というかなんで置いていったんだろう。

一緒に連れて行ってくれればよかったのに。

そういえば前の夜、蛙の人に抱きついて寝た。

すごく気持ち良かった。


山頂には鳥居があった。

赤色の鳥居が新緑の木々の中で浮き出て見える。

鳥居をくぐる。

視界の全てが湖面のように波打った。

大きな境内と、神社があった。

狛狐の間。

境内に足をかけてこちらを見ていたのは着物を着た狐面の女の人だった。

「あ、こんにちは」

「よ」

声をかけると手を上げて返事してくれた。

「あのすいません蛙の人来ました?」

「うん。花供えて帰ったよ」

「えどこにですか?」

「家に」

とりあえず神社の鈴を鳴らして手を合わせる。

形だけだがやらないと怒られる気がしたのでやった。

神社の祭壇にこの前採った花が置いてあった。

「その花って何なんですか?」

「ただの花だよ」

狐面の人はなんか答えたくなさそうだ。

「あの、蛙の人に会いたいんですけど」

「蛙は忙しいから」


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