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気がついたら…1人と1匹  作者: 高橋
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行動開始!

なるべく多くのスーパーを回った方がいいよね。人や生き物がいないかも探しつつ…もちろん誰からも連絡はないしTwitterも投稿がほぼない。私の投稿も閲覧数0のまま。本当に誰もいないのかわからないけど、最悪の事態を考えて今動くしかないんだと思う。色んなことを考えるとお腹が痛くなってくる。胃腸のお薬を飲んでから出発する。

何軒お店を回っても誰もいないし、お弁当の賞味期限はやはり3日前だ。時間は経過してるし、多分これは夢ではないんだろうな…。何も食べずに出てきてしまったので、お腹も空いてきた。賞味期限が間近になっているもので食べたいものを探す。これってお金払って買う…のか?人がいないと流通しないし、廃棄処分される物をいただくわけだしなぁ〜でも防犯カメラにもバッチリ映ってるし、支払った方がいいのか…迷う。後で逮捕されるのも嫌だから支払う?でもそもそも冷蔵庫に商品移動させて回ってる時点で犯罪?わけがわからなくなる。とりあえず、証拠を残した方がいいかと思い、自分の記録のためにも動画を回した。

「アサガオスーパー坂上店 2022年2月5日 菓子パン   プリン カフェオレをいただきます。お金は後日お支払いいたします。」

支払う意思があることと賞味期限が近いと言うことがわかるようにした。動画配信をしたこどかないけど、自撮りってこんな感じなのかなって思った。

そういえば、Twitter以外開いてなかったけどYouTubeはどうなんだろう?誰か新しい動画あげてたりコメントしてるのか?すぐに見てみるけどやはり更新されていないみたいだ。予約しておいた動画が上がっているみたいだけど、再生数0。さすがに今の動画をあげる勇気はないし、「誰かいますか?」って動画をあげる勇気もない。人がいないということ、探すことに重点を置いてしまうと心が折れて耐えきれ無さそうだから、今はとにかくお店巡りのことだけを考えよう。

今までほぼ引きこもりの生活をしていたから体力がない。食事休憩をしたけど足の疲労感がすごい。でもやるしかない。少しでも早くやらないと自分が困る可能性が高い。重い腰を上げて次のお店に向かう。毎回お店に入ると「すみません!!!」って大声で言ってみる。10軒も回っていると「言う意味あるのか?どうせ誰もいないんだろ」とも思って来たけど、誰かいた時に困るから毎回声を出していた。ふと、お店の人じゃなくても私みたいな人が先にお店にいたらどうしよう…と思って怖くなった。でももし人がいるなら、この状況について話したい。どんな相手であれ話してみたいと思った。

いよいよ疲れてペースも落ちてきたし、宅配便の営業所に寄ってから帰ることにした。宅配便の営業所に行くのは初めてだからなかなか荷物を見つけられない。一体どこを見ればいいのかわからない。外も暗くなってきたし受け取りは諦めて帰ることにした。帰り道、本屋を見つけた。もし本当にこのままだとしたら、チョコのことや農業のことを考えなくてはいけないのかもしれない。本屋に立ち寄り、参考になりそうな本をいくつか持ち帰ることにした。医療系の本は分厚くて重い。疲れ切った自転車に重い本を乗せるのは嫌だったけど、何度もここまでくるのも大変だから頑張って持ち帰ることにした。

何とか家に着いた。チョコには長いお留守番をさせてしまったなと思いながらドアを開ける。お出迎えがない。「チョコ〜ごめんね。帰ってきたよ〜」靴を脱ぎながら声をかけるけど返事もない。まさか、チョコまで居なくなってしまったの…荷物を全部玄関に置いて走って部屋に行くとソファで気持ちよさそうに寝ているチョコが居た。本当によかった。その場に崩れ落ちる。チョコは歳をとってきたので耳が遠くなっていてドアが開いた音に気が付かなかっただけだった。静かに近づいて見つめていると目が開いた。寝ぼけながらも「おかえり〜」としっぽを振って顔を舐めてくれた。安心からか疲れがどっと出る。玄関の荷物を片付ける気にもなれない。今はチョコを抱きしめて少し休もう。

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