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気がついたら…1人と1匹  作者: 高橋
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なにか変だな

毎日夜のドラマを見る習慣はあるけど、朝のニュースは見れなくてもいいかと思いテレビの電源を消す。今日はネットで注文していた愛犬のおやつが届く予定だ。午前中に指定していたが、12時を過ぎても届かない。特に急いでいるわけではないし、出かける予定もないのでまぁいいかと思ったが、遅れる連絡もないのはおかしい気もした。問い合わせてみる?いや面倒だしその内届くか。そう思いお昼ご飯をチンする。いつもならお昼くらいに返事が来るのに愛理も雄一も返事がない。仕事が忙しいのかな〜。宅配便が来ないけどお昼食べたら眠くなって来たからチョコとお昼寝でもしよう。

2時間くらい寝たがインターホンが鳴った記憶がない。熟睡していて気づかなかったかなと思い配達履歴を見てみると、営業所で止まっているようだ。何か不備でもあった?今までそんなことなかったのにと思いながら営業所に電話してみたが一向に出ない。問い合わせたフォームからメッセージをしておいた。

そういえば今日は車の音や外の騒音が聞こえていない気もした。ふと窓の外を見ると車も歩いている人もいない。誰かしら通るまで外を眺めていたが何分経っても気配がない。なんだかおかしい気がする。いつもならTwitterは見る専門だが、久しぶりにつぶやいてみた。

「今日は朝からテレビがおかしくて、生放送が映らない。家の周りに人も車も通ってないみたいだし、どういうこと?誰か教えて〜」

東京で何か起きている?今日って何かの日だっけ?と思い、たまに連絡を取る北海道・北陸・関西に住む3人の友達にも連絡をしてみた。返事はすぐ来ないだろうし、ちょっと外に出てみるか。外出着に着替えて、チョコをスリングに入れて外に出てみた。窓から見た景色と変わらず誰もいない。さすがにスーパーやコンビニにはいるよね?近くのスーパーに行ってみると電気がついていて音楽も流れていた。でも人の気配はしない。いつもなら出入り口付近に警備員の人がいたっけ?とキョロキョロしてみるがいない。レジにも人がいないように見えた。チョコを抱っこしているので中に入って確認はできない。別のお店を見てみよう。少し歩いてコンビニに行くと同じように電気はついている。でもお客さんもレジに人もいない。店員さんはバックヤードにいるのかな?そんなことを考えていると外が好きではないチョコが「帰りたい」という目で訴えてきた。外も暗くなって来たしとりあえず家に帰ろう。家に帰ってまたテレビをつけてみた。バラエティ番組が映った。昨日と変わらない気がしてくる。私の好きなドラマも見れた。チョコと私のご飯も食べ終わり、お風呂も入った。あとは寝るだけ。友達からは誰からも返事がないけど、みんな忙しいのか、と割り切るしかない。今日は変な一日だったな〜明日は元に戻ってるよね…?今日はもう寝よう。

翌朝、窓の外を見ても誰もいない。スマホを見ても誰からも返事が来ていない。テレビはもちろん映らない。Twitterはいつもより少なそうだけど記事の投稿があった。私のつぶやきは閲覧数0…。

むしろこっちが夢の中?私寝てるのか?

チョコに朝ご飯をあげて今日は1人でスーパーに行ってみた。昨日と同じく電気がついていた。中に入ると音楽も流れている。でも人はいない。お客さんもレジの人も。お弁当を見てみると全て賞味期限が切れていた。バックヤードに誰かいないのか意を決して覗いてみる。

「すみませ〜ん」

恐る恐る小さい声で発してみたが返事はない。さっきより少し大きい声で

「すみません!」

誰もいない?もっと大きい声で

「すみません!!!!」

返事はなかった。勝手に中に入ってはいけないよな〜と思い、別のお店に行ってみることにした。昨日行ったコンビニに入る。こちらもお客さんも店員さんもいない。同じように声をかけてみるが返事はない。少し怖くなり、さらに別のお店を見に行くことにした。郵便局、銀行、お花屋さん…どこにも誰もいない。不思議さと恐怖の中歩いていると交番が見えた。当然お巡りさんはいないけど電話が置いてある。こんなこと警察になんていうんだ?と思いつつも縋るような思いで受話器を持ち上げてみる。いくら待っても誰も出ない。諦めて交番を後にする。電車は動いてるのか?ふと気になり駅に向かう。人はいないが券売機も改札も電源が入っているようだ。電光掲示板に時間は表示されているが、電車が来る時間は書かれていない。駅の売店にもお蕎麦屋さんにも人はいない。やっぱり夢?こんなに誰もいないなんてことはありえないよね…?

いつもなら返事がないくらいで電話をかけたりしないけど怖くなってきたから返事がない愛理に電話してみた。何度鳴らしても出ない。雄一も北海道に住む友達も…みんな、誰も電話に出てくれない。怖さと悲しさで泣きそうになる。

チョコまで居なくなっていたらどうしよう。そんなことが頭をよぎり走って家に帰る。ドアを開けるとしっぽを振って迎えてくれるチョコがいた。よかった。涙が溢れた。チョコに見て来たもの全てを話した。チョコはずっと涙をペロペロ舐めて「大丈夫だよ、一緒にいるよ」と言ってくれているみたいだった。


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