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異世界マイカー  作者: 佐藤謙羊


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19 はじめての人命救助

19 はじめての人命救助


 さっそく、あちこちで戦闘が繰り広げられていた。

 荒々しい蛮声とともに、ゾンビの首がシャンパンの栓のように舞う。

 勇ましい詠唱とともに、魔法の閃光が迸り火の手があがる。


 現代社会を象徴する施設、ショッピングモール。

 その中で剣や血しぶきが舞い、矢や火の玉が飛び交う光景はあまりにも異質だった。


「こ……これが、異世界の戦闘か……!」


 冒険者たちはさすが戦闘のプロだけあって、危なげない戦いっぷりを見せている。

 そのただ中を低速のミッドナイトで進んでいく感覚は、まるで遊園地のアトラクションのように非現実的だった。

 しかしゾンビと化した警官隊の姿を目にして、一気に現実に引き戻される。


「け……警官がやられてる……!?」


『異世界の存在には、現代兵器が効きにくいようです。おそらく彼らの体内にある魔力によるものだと思われます』


 そういえば病院のテレビで、日本各地の名所でモンスターが暴れ回っている中継を観た。

 警察や自衛隊はなにやってるんだろうと思ったんだが、もしかしたら彼らでも敵わなかったのかもしれない。

 俺は唸り声をあげながら迫ってくる警官隊を見つめながら、キッズに問う。


「なあ、ゾンビになったヤツを元に戻す方法はないのか?」


『ありません。初期症状であれば治癒魔法や妖精の力でゾンビ化を防ぐことができますが、ゾンビ化した人間や動物を戻す方法はいまのところありません』


「そうか。……すまんっ!」


 俺はバンパーに這い上がろうとしていたゾンビ警官に謝りながらアクセルを踏み込む。

 子供には刺激が強すぎる光景かと思ったが、カナリアは異世界人だけあって血を見慣れているのか、目を背けようともしていなかった。


「おい、新入り! あっちに生存者がいるぞ!」


 野太い声の方角を見やると、テナントの家具屋の軒先には椅子や机が高く積み上げられていた。

 周囲には大勢のゾンビたちがたかり、バリケードはいまにも崩れそう。

 不安定なバリケードの上で、助けを求める人たちが叫んでいた。


「店の中にもゾンビがいるの! 早く、早く助けてぇ!」


 見た感じ、店内のゾンビを排除するためにはバリケードを崩して中に入る必要がありそうだ。

 しかしバリケードを崩そうものなら、上にいる生存者が落ちて店内のゾンビに襲われてしまう危険性がある。

 ゾンビが店の外だけならミッドナイトで排除してしまえばひとまずの危機は去るのだが、店内にもゾンビがいるとなるとかなり厄介だ。


 俺は安全かつ素早く救助できる方法がないか、高速で思考を巡らせた。

 閃きのまま、ダッシュボードに向かって問う。


「キッズ、トレーラーハウスの天井にサンルーフを追加できるか!? できるならやってくれ!」


『承知しました「サンルーフ」のスキルを覚醒します。これはミッドナイトとトレーラーハウス、両方にサンルーフを追加するスキルです』


 外からの光が天井から差し込み、車内が明るくなる。


「よし、いいぞ! アダルト、サンルーフから出て救助を手伝ってくれ!」


 同時に俺はアクセルを踏み込む。

 ゾンビを轢き飛ばしつつミッドナイトを店の前に横付けし、サンルーフから顔を出して叫んだ。


「バリケードの上からトレーラーハウスに飛び移るんだ!」


 バリケードの上に登った人たちが飛び降りたのと、バリケードが倒壊したのはほぼ同時。

 アダルトはすでに屋根に出ていて、小さな子供たちを受け止めていた。


 よ……よかった……! なんとかギリギリ間に合ったぜ……!


「よしよし、もう怖くなんかないし! ゾンビならナイトさんがやっつけてくれたし! ほら、あのひとだよ!」


「ありがとう、ナイトにいちゃん!」「ナイトおにいちゃん、ありがとーっ!」


「あなたは命の恩人です! ああっ、なんとお礼を言っていいか……!」


「ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」


 バリケードの上にいたのは家族連れのようだった。

 子供たちは俺に向かって手を振り、両親は泣きながら何度も何度も俺に頭を下げている。


『生存者救出により、レベルアップしました』

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