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序章 プロローグー世界の柱

 『世界のはしら』確保作戦――――。

 人族と竜族はこの非常に困難な作戦をやり遂げた。


 しかし、あの自然豊かな竜族の世界は『異形の軍勢』の支配するところとなってしまい、おそらく竜族の世界は滅亡してしまっただろう。

 数名のみ生き残った竜族は、人族の世界で再出発を期するが、わずか6名となった竜族が部族単独で再興するのはほぼ不可能であるようにも思える。


 それよりも、だ――。


 『異形の軍勢』の正体やその真なる目的、またはその首魁しゅかいの存在などにつき、一切情報が得られていないまま、かろうじて『世界の柱』だけを確保したに過ぎない。

 そう遠くないうちに、()()()が『柱』を求めて人族の世界へ侵攻を開始する危険が一気にふくれ上がったのだ。


 今はまだ、()()()の動きは活発でない上、送り込まれてくる脅威もそれほど大きなものではないが、世界中に「魔巣まそう」が現れ始めると、こちらの駆除が追い付かなくなる恐れもあるのだ。

 

 そうなればいずれ、人々の生活やこの世界に対して無視できない脅威が現れることになってもおかしくはない。

 それまでに、人族世界側は、これに対抗できる手段や方法、組織や戦力などを準備しておく必要がある。


 それはわかっている。

 だが、人族の準備はこれからなのだ。

 

 まず何よりも、「魔巣」を発見するための技術が必要となる――ここからなのだ。


 『診えるもの』の養成――。


 「魔巣」を発見できず見落としてしまえば、やがてあらがえない脅威が侵攻してくる恐れがある。

 人族はこれを見落とすわけにはいかない。まずは『診えるもの』を大量に育成する必要があるのだ。

 その上で、()()()に対抗できる戦力を養わなければならない。


 各国の軍隊でしばらくは防げるだろう。しかし今後、大鬼クラス以上の脅威が現れたとき、おそらく今の軍備では対抗できなくなっていくだろう。


 なぜか――?


 人族は魔法が扱えないからだ――。


 対して、()()()の中には魔法にけた個体も存在することがすでに確認されている。

 兵士や軍隊でも超人級の戦闘力でもない限り、おそらくこれに対抗することは不可能であろう。


 

『世界の柱』――。

 ()()()がこれを狙う理由はいまだ不明であるが、もし、これの破壊や独占を目的とするならば、この世界はすべて()()()の思うままになってしまうのだ。


 なぜなら、『世界の柱』は人族や竜族の世界を含む、多次元にわたるあらゆる種族世界の存在を支えるものであり、その消滅はまさに世界の消滅を意味するものだからである。


 遥かなる昔、エリシア神は世界を創造し、この支柱となる『世界の柱』を最大の戦闘力と魔力を保持する種族である、竜族にその守護を託したという。

 しかし、時が経つにつれ、竜族の間でもこれを神話視する見方が大勢を占めるようになっていく。その中、竜族の長は先祖からの言い伝えを遵守し、代々守り継いできたのだった。

 先の長、ゲルガ・レイ・ヴォイドアークはその勤めを果たし、息子ゼーデ・イル・ヴォイドアークへとその任を引き継がせた。


 『異形の軍団』が大挙して竜族の世界へと押し寄せた時、初めのうちこそ戦闘力で勝る竜族が優勢かと思われたのだが、数で圧倒するやつらに一人また一人と各個撃破されて竜族の個体数が減ってくると、その大勢は決した。

 ゼーデは竜族の世界よりも『世界の柱』を優先することを決意し、竜族の世界を捨て、人族の世界へ『柱』を移すことを目論もくろみ、これを成し遂げた。


 ゼーデに対し絶大な協力をしたシルヴェリア王国国王フェルト・ウェア・ガルシア2世は、今後の人族への脅威を知ったうえでなお、各国へ働きかけ、確保作戦を成功させ、来たるべき脅威に対する対抗手段の構築を進めていた――。


 


 この物語は、その様な激動の時代に生まれ、運命に翻弄されながらも、仲間たちとともに困難に立ち向かい、自身の運命と向き合ってゆくひとりの青年、


 アルバート・テルドール


を中心とした冒険活劇である――。

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