限界オタクは死ぬことも躊躇わない
ファイツ・アクセルスロット。
選ばれた若き魔道士達が己の欲望の為戦う物語。
1人は愛の為、1人は夢の為。
「君が望むのはなんだ?」
選択肢には、正義と平和が表示される。
戦いに挑むもの心には必ず欲望が存在する。
強い欲望を持つものは、精霊王に認められその欲望を叶える為、戦う権利が与えられる。
そして、勝者だけがその欲望を満たすことが出来る。
精霊対戦と呼ばれ、夢を持った若い魔道士しか参加することができない己の夢を叶える戦いだ。
この戦いの勝者は今後の人生の成功者となる。
それゆえ、みな勝つためには手段は選ばない。
「さぁ、始めようじゃないか命をかけた戦争を!」
ここまで、本編のCM。
いやぁ思い出すだけで震える。
ワックワクだね。
でも私のこれからを想像すると別の意味で震える。
今の私、林道咲耶は愛の為にこの戦いに参加することになる。
だがしかし、彼女は正規の参加者ではない。
本来なら彼の義兄、林道晋助が参加するはずだった。
だけど晋助は不慮の事故で本編前に死んでしまい咲耶が彼の力を取り込み、参加することになる。
……ちなみに義兄は咲耶に手を出した事実があり、生きていれば主人公のライバル的存在にもなり、性格もクソ野郎。
そして咲耶は主人公がヒロインと最近仲良くしていた状況を目撃している。
……動機は沢山あるよね、なんのとは言わないけど。
命をかけたゲームに愛する人への思いだけで、義兄を手にかけ参加し最後には死ぬ。
それが彼女のゲームでの人生だ。
……別に私は主人公のことは好きじゃないから、そんなことにはならないけど。
私が好きなキャラは後々でてくる対戦相手の先輩の精霊『ヴァンホーテン』
炎の精霊で、戦うことが大好き。
正義感が強くて曲がったことが大嫌い。
すぐに熱くなるけど、状況判断もちゃんとできて、自分を見失わない。
あと、とにかくかっこいい。
ちなみに、精霊と人間は結ばれることが出来る。
かつての精霊対戦の勝者は自分の精霊と結ばれたいと願った。
ちなみにそれの子供が主人公だったりする。
だから、ラスボス(私)との戦いでヒロインの精霊になって一緒に戦うルートもある。
さて、こんなどうでもいい話は置いておいて、今後の人生について考えよう。
このままじゃ私はとんでもない人生を送ってしまう。
じゃあどうするか、辛い修行もエロ同人みたいなことも勘弁だ。
咲耶がこの家に引き取られた理由は、幼くして膨大な魔力があり闇の魔法の適正があるからだ。
林道家の跡継ぎになるはずの晋助は、林道家の魔法の適性が低く、忠左衛門から落ちこぼれの烙印を幼くして押される。
忠左衛門は次の当主を晋助にすることに反対だった。
そんな所に、丁度よく私が現れたのだ。
どこで知ったかは知らないけど、私の魔力が多くて、元の家が破産寸前だったのをいいことに、不正当な契約を結び付け私を手に入れた。
……てことは私、魔法使えんじゃね?
そう思った私は、居間にあった写真に向かって指を指す。
「あぶーあぶば! (凍てつけクソジジイ!)」
するとなんということでしょう。
この家のクソジジイ、林道忠左衛門の写真が凍ったではありませんか。
その瞬間私の脳内に人生のプランがパッと浮かぶ。
① この魔力を使いこなして忠左衛門をぶっ倒す。
② この家を出ていく
……勝った、私の転生人生~完~。
これで私の人生は安泰だ! あとはスローライフでも……
って考えるのはよくある転生者の考えだ。
平凡な人生を歩むため頑張るそれがセオリー。
だが私は違う!
せっかくファイツの世界に最強で転生したんだ、ならやることは1つ!
精霊対戦に参加する事だ!
そして私は、主人公の代わりに勝者になる!
そして! 元の世界に帰って新作をやるんだ!
新主人公×推し! 見たい! 見たすぎる!
やりたいゲーム残して死ぬとかもどかしすぎる!
えっ? 推しとこの世界でイチャコラすればいいじゃんだって? ふざけんなこら、そういうのは地雷なんだよ。
自分×推しなんて恐れ多くて出来ないし、見てるだけで吐きそう。
1回夢女系の小説を読んだが死にたくなった。
それにだ、この世界だと彼とのカップリングは咲×ヴァンになる。
普通に地雷なんだよねこのCP。
どこから湧いた? 接点ないぜ?
公式のおふざけで、メインキャラが精霊になったら見たいな企画でちょっと絡みはあったけどそれだけだぜ?
自ら地雷を踏みに行くのはちょっと……やっぱりヴァンの相手は北條院アペリティーボで。
ちなみにCPの種類はBL。
先輩達と戦うシーンはまさに激アツ。
ちょっと待て、私が戦いに参加したらアペ先輩と戦えるのでは?
ってことは生推し見れる!? えっ待って! 最高すぎる!
私の力で推しと戦える!? 神かよこの世界!
あの二人と殺しあって死ぬなら本望だ。
よし、決めた私強くなる。
私の人生のプランの追加項目。
③ 精霊対戦に参加し勝利するorアペ先輩と戦う。
……ごめんね、咲耶。
私貴方の人生無茶苦茶にします。
……悪い主人公、お前の勝利奪いに行くわ。
精霊王よ見ているか、私の欲望はお前が選ぶ人間の誰よりも強い!
私を選べばお前を楽しませてやる!
……なーんてこと心で叫んじゃったからさぁ
「来てください旦那様! 咲耶様の背中に刻印が!」
「なんと!? この幼子が!?」
参加することになっちゃったよね、本編始まる前の精霊対戦。