ステータス確認
《視覚強化》修正しました
【ログイン一日目】
目を覚ました。
ん? 視点が小さくなってる。
手を見てみると、そこには爪と毛が生えた灰色の前足があった。
おお…………!?
これがウルフなのか。
四足歩行って意外と難しい。
歩いたり、走ったり、ジャンプしたり。
色々と動いた結果、そう思った。
考えてみれば、10何年間も二足歩行だったのだから当たり前か。
逆に自然と四足歩行ができる奴は、きっと前世が犬とかだったに違いない。
そう思うくらい難しい。
しかし、しばらく練習してるとだんだん慣れてきた。
魔物の基本はマスターしたぜ。
胸を張ってそう言えるくらいには上達した。
もしかしたらシステム的なアシストとかがあるのかもしれない。
だが、それでもまだぎこちない部分はある。
そして、左上にゲージが存在していることに気づいた。
そのゲージは2本ある。
察しのいい人なら分かるだろう。
HPバーとMPバーだ。
これなら一々ステータスを見なくても簡易的な自分の状態がわかる。
便利なものである。
有効活用させて貰うとしよう。
辺りを見渡してみると、木がたくさん立ち並んでいた。
どうやら、森スタートのようだ。
ランダムスタートと言われたので、もっと過酷な環境を予想していた。
周りの木は身を隠すことも出来そうなので、もしプレイヤーに襲われても逃げる事は出来るだろう。
まだ運は尽きていないみたいだな。
しかし、パラメータには運の値がないが、隠しパラメータには運の値もあったりするのだろうか?
とりあえずステータスを確認しよう。
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ステータス
レベル 1
名前 サクヤ
種族 ウルフ
職業 探偵
パラメータ
HP 5
MP 5
速力 4 筋力 4 防力 4
器力 4 精力 4
スキル
〔種族スキル〕《爪撃》LV.1《噛撃》LV.1
〔職業スキル〕《鑑定》LV.1《閃めき》LV.1《視覚強化》LV1
〔通常スキル〕《影魔法》LV.1《錬金》LV.1
《念話》LV.--
称号
〈変わり者〉
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おお…………。
スキルにレベルがあるのは予想していた。
していたが、《鑑定》にまであるとは。
もしかしたら《鑑定》ってレベルが低ければ、使い物にならないかも…………。
そうすると、今の俺に使えるのは《爪撃》《噛撃》という基本的なスキルだけと言うことになる。
《鑑定》が使えないとは。
期待が大きかった分、ショックだ。
だが、1番の問題は他にあった。
称号という項目だ。
何だこれ?
GMにも説明されてないのだが?
ちょっと説明を見てみるか。
嫌な予感はするが。
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〈変わり者〉
・獲得条件
プレイヤーの中で初の魔物になった者に送られる。また、GMに変わり者と認められたプレイヤーに送られる称号。
・効果
進化時、種族進化条件の緩和。
レベルアップ時、全ステータス補正。
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ふむ、なるほど。
あのGMのせいという事か。
称号があるのは嬉しいのだが、変な称号が付いてしまった。
良いのか悪いのか分からない。
そして効果だが、まず進化というのが分からない。
魔物特有の変化なのか?
それとも人種にもあるのか?
または、この称号のおかげ?
疑問が途切れない。
まあ3つ目は無いと思うが。
進化については考えても仕方ないだろう。
情報が足りない。
そして、レベルアップ時のステータス補正。
これは素直に嬉しい。
補正というくらいなので、マイナスな事では無いだろう。
この効果については感謝だな。
称号名は変更して欲しいが……。
よし。
頭の整理もついたし、そろそろ行動するか。
突然だが質問です。
Q. まずゲームで最も必要なものは?
A. レベルです。
という訳で。
他の魔物を狩って、経験値を稼ごう!
稼ぎたいのだが周りに魔物が全くいない。
スタート地点だからかな?
いらん所で良心的な。
まず移動しなければいけないな。
俺は何となく右に行く事にした。
しばらく歩く。
周りを見る、目に入る木。
歩く。
周りを見る、目に入る木。
歩く。
周りを見る、目に入る木。
これを10回ほど繰り返した。
記念すべき、11回目。
「ウォン!!」
やっと発見した。
種族は同じウルフだ。
早速、レベルは低いが《鑑定》をかけてみる。
「ウォン!!」
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ステータス
レベル 5
種族 ウルフ
パラメータ
HP 15
MP 3
速力 8 筋力 6 防力 6
器力 2 精力 1
スキル
〔種族スキル〕《爪撃》LV.3《噛撃》LV.3
〔通常スキル〕《速力強化》LV1《嗅覚強化》LV1
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えエ!?
おかしくね?
俺よりレベルが5も上だけど。
強すぎない?
パラメータも速力に至っては倍じゃん。
これを倒せと?
無理だろ! どう考えても!
だが、レベル差がある程度あっても《鑑定》が通るのは良かった。
レベル差が10とかあったら分からんが。
「ウォン?」
あ、気づかれた。
俺と全く同じ外見のウルフが近寄ってきた。
体格は俺と同じくらいだが、レベル5と分かっているので少し気圧されてしまう。
「グルルゥ‼︎」
吠えてきた。
怖い。
恐怖を感じると共に弱肉強食の世界を実感する。
魔物って辛い……。
目の前のウルフは、少しずつこちらへ近づいてきている。
ヤバい。
どうする?
このままでは死んでしまう。
考えろ。考えろ。
考えろ。考えろ。
……
…………
…………ええい!!!
ビビっていたら何も始まらん。
死んでもいいから、突撃だ!
そっちのが魔物らしいじゃないか!
いくぞ、
「ガルルルゥゥ!!!」
俺は気合いを入れるように叫んだ。
そして、正面からウルフへと《爪撃》を放った。
「ガル」
しかし、その攻撃を嘲笑うかのようにウルフは避けた。
速力8は伊達ではないようだ。
攻撃を躱されて隙ができた俺にウルフは攻撃を仕掛けてくる。
多分《爪撃》LV.3の攻撃だ。
当たってしまえば、HP5なんて飛んでしまう。
何としてでも避けなければ。
「ガルゥ!」
……!?
危なかった。
ギリギリで避けることができた。
安心し――
――た瞬間。
「ガルゥ!」
パラメータの差は簡単には覆せないらしい。
安心しきった俺は隙だらけ。
続けて襲ってきた2撃目。
同じく《爪撃》LV.3の攻撃だろう。
俺の速さじゃ躱せない速度の攻撃。
当然のことながら
直撃した。
左上に見えるHPバーが減っていく。
5分の4。
5分の3。
5分の2。
5分の1。
5分の0。
HPが0になった。
その瞬間、目の前にウィンドウが表示された。
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*警告
魔物がキルされリスポーンする場合には、人種と違い、街が存在しないため初期にランダムスタートした地点へとリスポーンされます。
※この警告は次回からは表示されません
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なるほど。
魔物のリスポーンはこんな仕様になっているのか。
次回からは表示されないらしいし、覚えとこう。
しかし、初戦闘で初死亡とは……。
情けない。
魔物という種族の厳しさを実感したよ。
同じウルフへと言えど、強さは千差万別。
最初だから、という甘えが俺にあったかもしれない。
反省だな。
まずは、ウルフに勝てるようにならねば。
要練習である。
じゃ、リスポーンしますか。
しかし。
確かに俺も油断していたのだが。
それでも。
一言、運営に言いたいことがある。
初戦闘から、レベル5はキツいよ!!
どう倒せというんだ!
無理ゲーだ!
はあ、大人しくリスポーンします。
スキル構成ミスったかなー。
あいつ、いつか絶対倒してやる。
覚えとけ。
俺は執念深いタイプだぞ。
レベルなんかすぐ上げてリベンジしてやる。
HPバーとMPバーは自分のだけ見えます