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遊戯開始  作者: 羽ぐいす
1.出会いと成長
48/106

話し合い②


 【ログイン26日目】※ゲーム内時間換算(19日)



 「そ、そんな事ないわよ! ふ、普通よね!」



 おい、こいつ。

 反応を見ればわかるが……確信犯だな。

 

 一体なにをやらかしてくれたんだ。

 聞きたくないが聞く。


 

 「マカ、何したの? 普通はそんな事ならないと思うんだけど」


 

 「し、知らないわよ!」



 嘘をつけ。

 その動揺の仕方で分かるわ。


 しかし。意地でも言わないつもりなのか、一向に口を開こうとしない。ここまで来ると逆に不安だ。こいつの将来がな。


 俺がいくら優しく聞いても無駄だった。

 何なのこいつほんとに。



 「マカさん。怒らないので言ってみてください」



 いやいや、レイクさん。

 そんな小学生じゃあるまいし、引っかかる人なんていないよ。


 流石にそれは舐めすぎだろう。

 その証拠にマカもレイクさんを睨んでいる。


 この子。レイクさんになら素直になるのかと思ってたが、そんなこともない。

 良くも悪くも一貫性がある。


 睨まれたレイクさんは、マカさんに優しく微笑んだ。

 ……すると。

 


 「あ、あの。綺麗な石みたいなのを食べたら……こうなったのよ」



 「綺麗な石?」



 「そうよ。赤とか水色とか緑とか、色が沢山あったわ」



 ……ちょっと待てよ。

 ま、まさか。


 無いとは思えない。

 俺にはコイツならやりかねないという確信があった。


 俺は急いで倉庫に入る。

 そして、アレが置いてある場所を確認した。


 ……ない。

 かなりの数があった筈なのに、減っている。


 俺はそれを持って倉庫から出る。

 それをマカに見せた。

 


 「マカ。お前、これ食べたのか?」


 

 「そうよ。悪い?」


 

 悪びれもせずに言うが、これヤバイぞ。

 俺からみてもヤバイ。


 

 「サクヤさん。それ、何ですか?」


 

 気になったのか、レイクさんが聞いてくる。

 まあ、それもそうだろう。


 こんな綺麗で鮮やかな赤い石。

 宝石と言ったほうが正しい。


 俺は震えながら言った。



 「火結晶っていう…………ランク8のアイテム」



 「ら、ランク8!?」



 そう、まさかの火結晶を食べていた。

 これにはレイクさんも驚いている。


 ランク8って……マジかよ。

 せめて、ランク4とか5とかにしてくれ。


 しかも、だ。

 ここからが本当に大事なところ。


 俺はマカに確認する。

 ちなみに、アイテムのランクとか知らないマカは何処吹く風だ。


 

 「おい、これを何個たべたんだ?」



 「うーん、それぞれを4、5個くらいかな?」


 

 …………。

 まさかの重罪。


 マカはもう出禁でいいかな? 

 そうしても文句は言えないほどのことしてるよな。


 

 「ま、マカさん。現在見つかっている最高ランクは3です。なので、ランク8という物の持つ価値は……正直、マカさんのアカウントより重いです」


 

 言いにくそうにレイクさんが言う。

 全くもってその通り。


 俺は心の中で大きく頷いた。


 マカは漸く事の大きさが分かったのか、動揺している。

 ふっ、今更わかっても遅いのだよ。


 でも。

 まあ、俺はそんなに怒っていない。


 《鑑定》が無ければ、唯の綺麗な石にしか見えない。

 ゲーム初心者からしたら、パッと見でそれの価値なんて分からないだろう。

 

 俺も分からなかったからな。

 《鑑定》で見て驚いたのだ。


 だから、仕方ないとする。

 それに、まだ数が沢山あるからな。


 数十個も余裕があるから大丈夫、と思う。

 レイクさんも気にしてない。


 ……訂正だ。レイクさんが気にする必要は元々ないな。


 そんな俺の思いに対して、マカは大慌てだ。

 敢えて、俺が気にしてない事を言わない。


 これくらいは罰としておこう。

 反省するがいい!


 

 「で、でも。ステータス強くなったのよ! なんか凄そうなのになったし!」



 弁明のつもりなのか、マカは妙な事を言う。

 俺は後からその言葉の意味を理解することになる。


 ……うん? 聞き捨てならない事を言ったよなぁ。

 ステータスが強くなった?


 いや、そういえばそうか。

 火結晶を食べただけでは、マカの色が変わった説明はつかない。


 冷静に考えれば分かったことだ。

 冷静じゃないのにそんな事を思う。

 

 俺はマカを《鑑定》した。



_______________________________________

 ステータス


 レベル 12

 存在値 32

 名前  マカ

 種族  吸収性涅生物(スライム)

 職業  兵士


 パラメータ


  HP36(∞)

  MP14(∞)


  速力8 筋力3 防力19

  器力19 精力19


 スキル

 〔種族スキル〕《無限吸収》LV 1《細胞分裂》LV 1


 〔職業スキル〕《消化強化》LV9《決死》LV--


 〔通常スキル〕《火魔法》LV11《水魔法》LV12

  《触手》LV6《並列思考》LV5《美食》LV1

  


_________________________________________________


 

 え、なんか強くないか? 

 見たことないスキルが多い。


 ていうか。

 HPとMPの横にあるの何?


 

 「ま、マカさん!? ∞って何ですか?」



 そう、それ。

 その∞ってなんだよ。


 本当に無限だったら、唯のチートだぞ。


 あれ、レイクさん。

 マカのステータス見れるんだ。

 《鑑定》持ちが確定した。


 俺は一応、警戒のために《偽装》でステータスを全部見れないようにした。

 レイクさんは少しでも情報を与えると、こっちのステータスを予想してきそうで怖い。


 まあ、もう見られてる可能性もある。

 あまり気にしなくていいだろう。


 それよりもマカについてだ。

 お前、実は強いじゃん。



 「これはね、やろうと思えば吸収できるから∞なのよ。私は出来ないから∞じゃないのよね」


 

 いや、まぁ。

 そんな簡単に出来たらバランス崩壊待ったなしだな。


 流石に∞はないぜ。

 

 だが、まだ気になる事がある。


 

 「種族はなんだ? スライムだったんじゃないのか?」



 「変異進化? ってなったのよ。確か、火結晶を何個か食べてる時ね。あ、〈美食家〉っていう称号も貰ったわよ」


 

 色々ありすぎだろ。

 ていうか、変異進化とか初めて聞いたぞ。


 しかも。EPが関係ない強制進化だろ?

 本当だったらEP100を要求される変異種に……羨ましいな。


 あ、ちなみに。

 種族スキルは俺を越えるぶっ壊れだ。



____________________________________________

 《無限吸収》


 周囲のあらゆる物質を吸収し、エネルギーとして体内にストックすることが出来る。そして、吸収した物質の特性を一部受け継ぐことが出来る。なお、自分の体より大きい物質を吸収する事はできない。消費MP0で発動可能。吸収速度はスキルレベルに依存する。


____________________________________________



____________________________________________

 《細胞分裂》


 身体の一部を、自分の半分の大きさから細胞の大きさまで分裂することが出来る。分裂した個体は自分と同じステータスを持ち、成長することもある。分裂した個体を自分の体内に戻すことも出来る。なお、分裂した個体は自我を持ち始める。消費MP10で発動可能。


____________________________________________



 いや、強くないか?

 特に《無限吸収》。


 吸収した物質の特性を受け継ぐって強力すぎる。

 しかも。吸収した物質、ってことは魔物でも火結晶でも、魔銀でもその特性を受け継ぐのか。


 具体的に何を受け継ぐのかは分からないが、レベルアップに関係なくステータスが強化されるのは強い。


 自分より大きいものしか吸収できないのが残念だが。

 しかし、それをカバーするのが種族スキル。


 ここで、《細胞分裂》が役に立つだろう。

 だって、単純に考えてこのスキルは大きくなれるスキルなのだから。


 細胞レベルで分裂して、分裂した個体が成長したら吸収する。これを繰り返せば、自分の体積は必ず大きくなる。


 すると、どうなるか。

 更に分裂できる数が多くなるのだ。


 あとはその繰り返し。

 気づけば、巨大なスライムになるだろう。


 そうすれば、吸収できない物質なんてほぼない。

 木だって丸飲みに出来るかもな。

 ……もちろんプレイヤーも。


 今はMPが少ないので効率が良くないが、レベルが上がりパラメータが上がれば解決する問題だ。


 さすが変異種!

 ぶっ壊れにも程がある。


 

 「マカさん。それなら戦闘に参加できそうですね」



 レイクさんが言う。

 確かにそうだな。


 このレベルなら全然戦える。

 むしろ、過剰なほどに強いのでは?


 そうも思ったが、マカを調子に乗らせるのも嫌だったので言わない。

 その強さは、結果オーライなだけだから当然だな。


 

 「レイクさんのステータスも見ていい? 俺《鑑定》持ってるから」



 レイクさんも爆弾を持っている気がしたのだ。唐突に。

 マカのように無断で《鑑定》するのも気が引けたので、レイクさんに聞いた。


 実は、草原エリアで最初にあった時、二人とも《鑑定》はしたのだ。

 しかし、切羽詰まった状況で名前と種族しか見れなかった。


 これは許してほしい。

 まぁ、覚えてないだけなんだが。

 

 

 「いいですよ。私もサクヤさんのステータス見たいですし」



 ちゃっかり俺のステータスも見せる流れになった。

 相応の対価が必要だったらしい。


 まぁ、いいけどね。

 俺も見せるつもりだったし、自分だけ見せないのはなんかフェアじゃないとうか、好みじゃないというか。


 俺はレイクさんを《鑑定》した。

 なかなか面白いステータスだ。

 


_______________________________________

 ステータス


 レベル 15

 存在値 26

 名前  レイク

 種族  ゴースト

 職業  斧士


 パラメータ


  HP7

  MP21


  速力9 筋力9 防力3

  器力21 精力21


 スキル

 〔種族スキル〕《憑依》LV--《浮遊》LV--


 〔職業スキル〕《斧撃》LV1《筋力強化》LV3


 〔通常スキル〕《分離》LV3《融合》LV3

  《手撃》LV1《光耐性》LV1

  


_________________________________________________



 うん? どういうスキル構成なんだろう。

 ゴーストという種族の割には、物理攻撃系のスキルが多い。


 霊体というか、体を持たないゴーストは物理攻撃が出来ないはずなんだが、職業も斧士というバリバリの前衛。

 どちらかというと、後衛として魔法なんか使った方が強いと思う。


 しかし、レイクさんの事だからなぁ。

 このスキル構成がワザとという可能性もある。


 てか、そうなのだろう。

 マカでもしないような事なのだから。


 

 「実は、前衛で斧を使ってみたかったんです。でも、それだけじゃ面白くありませんので」


 

 レイクさんは苦笑いしながら言う。

 俺は少し疑問に思った。

 

 まるで、ゴーストでも普通に斧を使えるような言い方だったのだ。

 やはり、何かあるんだな。


 俺は気になったスキルを《鑑定》する。



____________________________________________

 《憑依》


 あらゆる生物や物体に乗り移る。乗り移った物のランク、存在値によってパラメータが変動する。なお、一度乗り移った物が破損するか全部位欠損しなければ、霊体に戻ることはできない。消費MP100%で発動可能。


____________________________________________



____________________________________________

 《分離》


 自分の体の一部分を切り離すことが出来る。切り離した部分は操作可能、統合可能。自分のパラメータを切り離した部分に吸収される。なお、切り離した大きさによってパラメータの減少は変動する。消費MP0で発動可能。


____________________________________________



____________________________________________

 《融合》


 自分に適性のある物質や生物を、自分に融合することが出来る。融合した物質や生物の特性を全て受け継ぐ。また、融合する部分や場所はある程度操作できる。なお、適性のない物と融合した場合、マイナス特性だけを全て受け継ぐ。消費MP0で発動可能。


____________________________________________



 ふむ、なるほど。そういうことか。

 《憑依》の説明を見た限り、レイクさんはこのスキルを使う予定なのだろう。


 人型の魔物なんかに《憑依》して、《斧撃》などを活用しようという考えなのだと思う。

 このスキルも面白いな。

 

 存在値とランクに応じて、パラメータが変動する。

 レイクさんのパラメータの偏りにも納得した。


 筋力や速力や防力はどうにでもなると考えたようだ。

 確かにその通りだと思う。


 運が良ければ、物凄く強力なゴースト斧使いになる。

 《分離》で霊体には何時でも戻れるようだし、《融合》でパラメータの強化も出来る。


 同時に、《融合》で失敗しても大丈夫というわけか。

 凄いバランスが取れたスキル構成だなぁ。


 ふと、閃く。

 《憑依》はアイテムのランクによってパラメータが変わる。


 ランクが高ければ高い程、パラメータも上がる。

 ということは、だ。


 高ランクのアイテムか強力な魔物の死体があれば。

 レイクさんは即戦力になる。


 それも強大な力を持った、マカ並みのぶっ壊れに。

 

 そう。

 あるのだ。


 高ランクのアイテム。

 それも、人型で斧を使える物が。


 

 「ちょっとレイクさん、こっちに来て」



 「はい。なんでしょう」



 俺はレイクさんを連れて倉庫に入る。

 素材アイテムが保管してある場所を通り過ぎる。


 目当てのアイテムはこれじゃないのだ。


 俺は武器などの装備が保管してある場所に来た。

 

 あるアイテムの前で立ち止まる。


 同時に、ある武器を手に持つ。


 それをレイクさんに見せながら聞く。


 

 「レイクさん。これに《憑依》してみない?」



 「こ、これは……」



 レイクさんは驚いたようだが。


 俺の顔を見て、微笑んだ。

 

 その笑顔はまるで。

 

 お目当ての玩具(おもちゃ)を見つけた子供のようだった。

 


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