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遊戯開始  作者: 羽ぐいす
1.出会いと成長
29/106

新スキルの試運転


 【ログイン8日目】



 「だが、もっと小さい動物なんかに変化するならばMPの消費はずっと抑えられるよ」


 

 あ、そうなんだ。

 わざわざ人間にならなくてもいいと。


 でも……まあ有りか。


 人間になるためにまたレベリングとか、俺はやってられない。早いとこ街に行きたいんだ。


 そうすると問題は何に変化するかだな。


 小さめの動物で、かつ街の中にも入っても大丈夫な動物か……そんなんいるかな?


 あ、いる!


 俺の大好きな動物がいたじゃん!


 

 「じゃあ、猫に変化したいと思います」


 

 「ふむ。なかなか良いじゃないか」



 そう、俺の好きな動物というのは猫だ。

 あの毛並みと目と耳の感じが何か好きなんだよ。


 しかし、俺の家では飼ってないんだよなぁ。


 俺は猫を飼おうと自分の親に頼んだことがある。

 だがその時に、俺は母が猫アレルギーだってことを知ってしまった。


 あとは想像どおり。

 俺は猫を飼うことを諦めたということだ。


 アレルギーならしょうがないよな。

 母を苦しませてまで猫を飼いたいわけじゃないし。


 まあ、そんな感じで俺は猫が好きなのだ。


 その猫に自分がなれるのなら、一回なってみたいと思うほどに。

 なので、猫に変化してみたいと思う。


 

 「ちなみに、猫に変化するために必要なMPはどれくらいです?」


 

 「ふむ。だいたい100だったと思うよ」



 そうかそうか。安心した。

 MPで足りる数字だな。


 しかも、変化した後も少しは魔法を使えるくらいの量がある。

 これなら護身も出来て良いな。


 だが、問題はまだある。

 というかこれが最大と言っても良いほどだ。

 俺はその問題をマーニさんに伝える。


 

 「あの。俺、まだ猫見たことないんですけど」



 そう。未だ見たことがないのだ。

 そもそもウルフ以外の魔物と出会ってすらいない。


 《変化》の説明を見る限り、自分が見たことのあるものにしか変化することができない。よって、俺は猫に変化することは出来ないってことだ。


 あれ? でも冷静に考えてみるとさ。


 俺って猫に変化できないってことを分かっていながらも、マーニさんに猫になりたいって言ってたってことだよね。


 え、俺アホじゃね?

 側からみたら、猫が好きすぎて空回りしてる人だよね。

 完全に。


 ほら、その証拠にマーニさんも困った顔してるし。

 こいつ何言ってんの、みたいなさ。


 うぅ、恥ずかしい。

 自分を客観的視点で考えてみると地獄だ。


 穴があったら入りたい、とはこんな状況のことを言うのだ。

 現実でも、こんな経験はあんまり無いぞ。


 マーニさんは数十秒の間、何かを考えていた。

 その1秒ずつの間が本当に怖いのだ。


 そして、俺に何かを言うためか、口を開いた。



 「そうか。ちょっと待ってなさい。直ぐ戻るから」



 そう言った瞬間。

 俺が返事をするよりも早く、マーニさんは消えた。


 本当に一瞬だ。

 フッ、っていう効果音が付くくらい速い。


 俺はマーニさんに待ってて、と言われたのでその場に大人しく待っていることにする。

 

 すると、約3分後。



 「待たせたね。では、これを《鑑定》してみなさい」



 「はい」



 俺はマーニさんから差し出されたものを鑑定した。

 そして、それは真っ黒な猫だった。


___________________________________________

 名称 キャットオブナイト  レア度6


 夜にしか姿を見せない希少な猫の魔物。その黒い体毛により、人々からは不吉の前兆として忌み嫌われる存在。魔力と精力が高く、魔法を中心に戦う。その戦闘力は高く、魔法使いの補助役として利用されることも多い。この種は特殊進化個体なのでレア度が高い。


___________________________________________

 

 


 え、けっこう凄そうな猫の死体もってきてんだけど。

 どこから持ってきたんだろう?

 

 約3分で狩ってきたのかな。

 ……でも何処から?


 いや、本当に何処から?


 俺、こんなの初めて見たけど……。


 ま、まぁ。

 マーナさんなら何でもありだな。

 

 なんて言ったって空から雷を落とすことが出来る人だ。

 これくらい出来ても不自然なことはない!


 そういう感じで納得した。


 だが、レア度が妙に高いからやっぱりおかしいのだ。

 猫は猫でも、もっと普通の猫にして欲しかったなぁ。

 なんてことを、面と向かって言うわけにはいかない。


 まあ、俺は猫全般が好きだから文句はないがな。


 

 「では、変化してみなさい」



 マーナさんがそう言った。

 俺はその通りにする。


 《変化》の条件的には大丈夫なはず。

 だが、MPの消費量がどのくらいかが不安だ。


 この猫のレア度が高いせいで、必要になるMPが上がっている、なんてことがありそうだからだ。


 《変化》を《鑑定》で見た限りだとそんな事はないと思うが、《鑑定》で全てを見れると決まったわけでもないのだ。


 不確定要素はまだあるかもしれない。


 しかし、そんな事を言っていても何も始まらないので、とりあえずやってみる。


 悲観的に思考し、楽観的に行動すれば良いのだ。


 俺は、猫の姿を頭の中でイメージする。

 死体ではなく、猫が生きて動いているイメージだ。

  

 うん、だいたいオッケー。


 若干、イメージが現実よりになってしまったので、この世界の猫とは違いがあるかもしれないが、それは許してほしい。


 だって、ここでウルフの他に動物と呼ばれるものを見たことがないんだもん。しょうがないよな。


 じゃあ、《変化》してみますか。


 俺はイメージを再確認しながら《変化》を発動させる。


 すると。

 目の前が真っ暗になった。


 だが、安心してほしい。

 死亡した時とは違い、だんだん暗くなっていったのだ。


 そして、暗くなっていくと同時に体の感覚も抜けていった。

 この感覚もなかなか不愉快だ。


 視界が完全に暗くなると、体の感覚もなくなった。

 しかし、俺の意識だけはある感じだ。


 おそらく、数秒ほど経った時。


 視界がだんだん明るくなっていく。

 同時に体にも感覚が戻る。


 視界が完全に明るくなった時、俺は自分の姿を見た。


 すると、そこには。

 黒い狼の代わりに、真っ黒な猫が存在していた。


 ふふふ。

 成功したようだ。


 少し動きづらいのは、《変化》したことでステータスが低下したからだろう。


 だが、基本の動きは狼とさほど変わらない。

 問題なく動き回ることができる。


 じゃあ、次はステータス確認だ。

 一体どうなっているのか。

 見てみるとしよう。



_______________________________________

 ステータス


 レベル 1

 名前  サクヤ

 種族  キャットオブナイト(大狼)

 職業  探偵


 パラメータ


  HP20

  MP6


  速力12 筋力12 防力12

  器力 15 精力 15


 スキル

 〔種族スキル〕《爪撃》LV23+0《噛撃》LV8

  《変化》LV4+3


 〔職業スキル〕《鑑定》LV29+0《閃めき》LV8+0

  《視覚強化》LV10+0


 〔通常スキル〕《錬金術》LV1+0《念話》LV--

  《念力》LV27+0《潜伏》LV35+0

  《地図》LV20+0《耐久》LV3《火魔法》LV5

  《水魔法》LV5《風魔法》LV5《土魔法》LV5

  《光魔法》LV5《影魔法》LV20+0

  《付与魔法》LV17《偽装》LV9+0《不意打》LV1


 SP10 

 EP0 



 称号

 〈変わり者〉〈念じる者〉〈潜む者〉〈耐える者〉

 〈PK〉〈暗殺者〉

__________________________________________




 いやー、うーん。

 思ったより弱いなぁ。


 まあ、10分の1だからなー。

 こんなもんかぁ。


 パラメータはともかくとして、スキルレベルまで10分の1じゃなくて良かった。本当に。


 魔法スキルも発動できるかは別としても、そのまま残ってくれているだけで心強い。


 

 「ふむ。どうやら成功したようだな」


 

 「はい。マーナさんのおかげですよ」



 マーナさんに返事をする。

 そして、俺は気づいた。


 あれ、俺なんか小さくない?

 

 明らかにマーナさんが大きくなっているように見えてしまっている。しかし、これは俺が小さくなったと考えるのが普通だろう。というか、原因は分かっている。


 俺がスキルを発動させるときにイメージした猫が、現実にいるようなサイズだったからだと思われる。


 その証拠に。

 目の前に置いてあるキャットオブナイトの死体よりも俺の方が小さい。一回りか二回りくらいもだ。


 これは大丈夫かな?

 セーフ? アウト?


 俺的にはセーフだ。

 小さい分にはセーフ。


 街に入った後も、どうせ《潜伏》を発動しながらこそこそ移動すると思うので、小さい分には問題ない。

 むしろ、小さい方が良いまである。


 まあ、結果オーライってやつだな。

 よしとしておこう!


 ではでは。

 

 さっそく、街の方に行ってみる。

 

 ……としたいところだが。


 今日はもういい時間になってしまった。

 ここら辺でやめておくとする。


 キリがいいしな。

 楽しみは後にとっておこう。


 しかし、今日だけでかなり進めることが出来たなぁ。

 《変化》の特性を知り、その特性を上手く使うことができた。

 進化の確認もしたし。


 明日はいよいよ街に行ってみる。

 人間ではなく猫の姿だが、怪しまれることはないだろう。


 いざとなったら、《念力》で逃げることも頭に入れておく。

 まあ、それは最悪の場合かな。



 「私はまた用事があるから、街に行くなら気をつけてね。2日くらい空ける予定だから」



 「はい、用心しておきます」



 どうやら、マーナさんは忙しいらしい。

 帰ってきたと思ったら、また何処かへ行ってしまう。

 まあ、俺としては都合が良いんだけどさ。



 「マーナさん。行ってらっしゃい」


 

 俺が返事をしたと同時に、マーナさんは消えた。

 マーナさんって本当にそれ好きだよね。


 どうやってんのか分かんないけど、すごいよな。

 正しく言うと、すごいっていうことしか分かんない、って感じだろうけど。


 いつか、それも教えてくれるのかなぁ。

 

 あれを使えるようになったらカッコいいよな。

 いきなり消える、ぜひやってみたい。


 俺は、脳内で考えてみる。


 すると、楽しさよりも先に。

 羞恥心の方が俺を襲ってきたのだった。


 うん。

 この感覚って一度はあるよね。




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