閑話 天才児
私、ルークス・シックザールは今までにないほど体が震えていた。
それは、嬉しさであり、怖さであり、楽しさであり。あえて言うならば歓喜に身を震わせていたのだ。
「なあ、セバスよ。やはりリュークは天才ただったろ 」
まるで自分の事のように自慢をする。
「ええ、素晴らしい 」
何年もこのシックザール家に仕えて、かなりのベテランであるセバスでさえ期待の念を隠せていない。
リュークは本当に手のかからない子だった。
泣く時は泣くし一見普通の赤ちゃんにも見えるが、彼はしっかりと周りを見て泣くタイミングを計っているかのように思えた。
もちろんこちらの勝手な想像でしかないが。
それにいつも、私やリーネ、アリアの声を学ぶかのように聞いていた。
成長も早く、天才だとリーネと喜んだがどこか一線引かれているように思えてならなかった。
そして4歳の頃。
彼の成長は凄まじくその成長を見るのは日々の癒しであった。
けれど、最も最悪で最も最高の日となったあの日。
神の恩恵授かる日、彼のステータスを見て頭を殴られるような思いだった。
我を忘れ司祭を怒鳴りつけてしまった。
その時、私に貴族としてのあり方をそっと諭すように言われのを思い出す。あの時はほかの事で頭がいっぱいだったが今思えばすごい事だ。
そして、屋敷に帰っての一悶着。
なぜだかわからないがあの時の彼を見て、初めて本当の家族になったと感じた。
あの時は私がなんとしてもリュークを守ると意気込んでいたが、今日のこの一件だ。
本当に凄い。
リュークの凄いところはいくつもある、気品、成長の速さ、性格、容姿けれど彼の本当の良さはそこではないと思っている。
それは、先程あげたものでも、将棋とリバーシを思いついた発想力でもなく、人を惹きつける能力だと思う。
それは表現のできない程の能力。
リュークの容姿、表情、優しさ、品格、そのどれもがプラスの方向へと作用し、全ての人を魅了する吸引力となっている。
あの、アリアでさへ彼に忠誠を誓った。
それだけではないこの屋敷、いや、リュークに会った全ての人がその魅力にとらわれている。
我が子供ながら恐ろしい。
「ルークス様、なにを笑っているのでしょう 」
「ははっ、そう言うセバスも笑っているではないか 」
「かもしれません 」
リュークがこれからどう成長するのか年甲斐もなく興奮しているのはセバスも同じようだ。
「これからが楽しみだ 」