固有能力
あれから1週間、姉や兄達は王都の屋敷へ帰った。
そして、我に返った僕は急に恥ずかしくなり数日布団でバタバタしていた。
とにかく、自分のするべき事に予定をたてていた。
固有能力で表示されている通訳者の用途について調べる!。
そう意気込みアリアやいろんな人に聞いたがあまり進捗していない。
分かった事といえば固有能力の事くらいで通訳者についてはまったくだ。
固有能力とはみんなが授かるわけではなくとても珍しいとのこと。
それは唯一無二の能力で同じ能力はほとんど見ないと聞く。
有名な例は王国騎士団の隊長でこの国随一の強さを誇るという。
アリアと同じエルフの女性で魔法の扱いに長けていて、固有能力は『将軍』。
『将軍』とはあらゆる武器に精通し武において他の追随を許さないという。
他に特別な例として固有能力『王』や『帝王』というのがあり、これは一定規模の国王、帝王になると授かるらしく、王になった時点で授かりやめると消えるらしい。
そんな訳で固有能力とは基本的にレアでとても強力なもののはずなのだが…。
通訳者の意味がまったくわからん。
前世の知識から、他国語の通訳ができるのかとも思ったが確認のしようがない。近隣の交流のある国は共通の言語で話すらしく他国語というのがそもそも身近にないのだ。
どうやら、クリステイン王国の西の海を渡った所にある国や北の山を超えた先にある獣人の国、ラーフェス帝国よりさらに東の国は他の言語も喋るらしいがこの国ではほとんど使われない。
1番近場の南にあるフレンガンド共和国は他の言語を話すがこの国との仲は良くないため話すことも無い。
つまり…『通訳者』あんまり強くなくない?!。
というのがここ数日で出した答えである。
まあ、まだ可能性は有るわけだし希望は捨てるべ気じゃないよね。
固有能力については取り敢えず保留で次に僕がすべきは少しでもこの家の力になることだ。
まだ4歳と父様は言っていたが精神年齢は前世と合わせて21歳の僕としては何もしないのはちょっと嫌だ。
なので、
『はーい、お待ちかね優様の異世界転生知恵袋の時間ですよー!。異世界転生でどんな状況でもすべきことそれは商売!。大事なのは金よ金!。俺達には知恵というものがある。異世界の文化はきっと今の地球より進んでいないはず。まあ、進んでいない時に有効な商品はこちら… 』
まさか、この会話が役に立つ日が来るとは…。
取り敢えず、子供の僕が提案してもおかしくない商品、それは遊具だ。
優が言うには将棋とリバーシが鉄板らしい。
確かに、このふたつならなんとか思いついた言い訳もしやすい。
他にもいくつか遊具を提案してみよう。
この世界の文化レベルはやはり、低いとみれる。
けれど魔法の存在は大きく、家電製品の代わりに生活魔法や魔道具というのが使われていてあまり不自由は感じない。
まあ、取り敢えず父様に相談してみないとかな。
「父様、今お時間よろしいですか 」
父様の仕事部屋のドアをノックする。
僕の後ろには紅茶と茶菓子をもったアリアが控えている。
時間的に3時のおやつの時間だし。
「ああ、入っていいぞ 」
中には父様と執事のセバスがいた。
「すみません、お仕事の途中でしたか 」
「いやなに、丁度一息いれるところだよ 」
おぉ、さりげない優しさやはり紳士。
「ありがとうございます。紅茶を準備してきましたので一緒にお茶でもしながら話しましょう。よかったらセバスも 」
さすがに一緒にお茶をするのは恐縮するのか父様に一度目線で許可をとる。
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて 」
そう言い、席に着く。
「それで、なにか用があるのであろう 」
僕の方を真っ直ぐ見据える。
何もかも見透かされれているような気がして少し気合を入れ直した。
ふぅ、落ち着け、大丈夫。
「はい、作っ欲しい遊具がございます 」
「ほぅ、遊具か 」
「まずこちらを見てください 」
そう言ってアリアに準備しておいた紙を父様とセバスに渡す。
「ふふっ、これは? 」
かなり、興味深そうに見ている。
よし、掴みはなかなか悪くなさそう。
あざとく手書きと自作の絵を書いたのが良い方に転んだみたいだり
「リバーシと将棋にございます 」
絵で和んでいたが、しっかり書き込まれた将棋とリバーシの盤を見て真剣な表情に変わった。
目で続けろと促す。
「まず、リバーシこれは簡単です。それぞれ黒と白の石を担当する2人が、自分の石で相手の石を挟んで自分の石に変えるという条件のもとに、交互に盤面へ石を打っていき、最終的にどちらの石が盤面に多く置かれるかを競うものです 」
父様とセバスはほぅ、と息を呑む。
「次に将棋です。これは少し軍人や貴族向けかと思います。こちらも盤面を挟み2人で対決するもので簡単に言うと、役職ごとに行動範囲の決まる兵のコマを同数用意して、それらを動かし先に敵の王のコマをとるというもので、兵のコマの例は紙に書いている通りです 」
静寂が空間を制する。
この前とは違い緊張感も張りつめている。
父様ととセバスは食い入るように紙を見ている。さて、どう転ぶか。
「あの、どうでしょう 」
「これは、どう思いついた 」
どう?。
ああ、確かに4歳が思いついたなら凄いかも。
父様達は素直に驚いているようだ。
「えっと、リバーシはなんとなくですアリアと一緒に何か出来るものがないかなって思ってパッと思いついたもので、将棋はその応用です。1つ思いつたら次々案が出てきたんです! 」
こういう時は子供っぽくだ!。
目をキラキラさせ、勢いで押すべし。
「なるほどな。そこまで気負う必要はないと言いたいが、やはりリュークは凄いな。確かにこれは、もしかしたら物凄く売れるかもしれん 」
あっ、どうやら遊びではなく商売目的で提案したのがバレているようだ。
まあ、たしかにプレゼンしてるみたいだったか。
でも子供っぽさは捨ててはいけない。
「あの、確かに売れれば良い収入になると思いましたが、ちゃんと他にも理由があって 」
「そうなのか? 」
「その、自慢したかったんです 」
必殺、照れる!。
顔を手で隠しながら赤らめて、たどたどしく言う。
どうやら、かなり効果があったらしく、父様もセバスもニンマリと顔が緩んだ。
「はっはっは、そうかそうか。こんど商人を呼ぼう 」
どうやらプレゼンは成功のようだ。
「セバス 」
「はい、ではサンプルを先にいくつか作るよう手配します 」
「父様、セバス、アリア、ありがとうございます! 」