特訓開始2
「まあ、多分見ればわかるから取り敢えず精霊術と呼ばれるものをするわね 」
おお。
ついに精霊術講座の開始か。
プルとメロもワクワクしてるのか落ち着きがない。
「フーカあそこの木を切ってみてくれる 」
「うんっ! 」
そう元気よく返事をして手を木にかざすと、風が刃のように放たれフーカの前にあった木をスパンッ、と切り倒した。
遠目で見ると切れ目はとても綺麗なものとなっている。
「これが精霊術って呼ばれるものよ 」
「凄いよフーカ!! 」
『凄いわ 』
メロもかなり驚いているようだ。プルの表情は読めないが興奮しているように思える。
「ふふー。すごいでしょ!! 」
フーカは得意げにドヤ顔。
「ほら、簡単でしょ 」
シルフィはそう言ってくるが何が簡単なのかよくわからない。
「あのね、精霊術って言うのは契約している精霊に指示を出して精霊に術、人間で言う魔法のようなものをしてもらう事を言うのよ 」
ふむふむ。
シルフィが言うには精霊は人とは違う原理で、魔法と同じ、もしくはそれ以上の威力をもつ術を使えるらしい。
それを契約した精霊にどのような現象を起こして欲しいか頼んで、術を使ってもらうのが精霊術と呼ばれているものだ。
「つまり、シルフィと同じようにフーカに頼んだらいいって事? 」
「そうよ 」
それって特訓する事あるのか?。
「精霊術って、難しくて長い長い詠唱が必要って聞いてたんだけど 」
「普通はそうかもしれないわね。でも貴方には必要ない事だわ 」
そのまま詳しく聞くとどうやら、詠唱とは精霊に何をして欲しいかを具体的に正確に教えるのが目的で始まったものでそれが今では決まり文句のように長い長い詠唱ができあがったのだという。
「なるほど。僕は会話できるからそんな必要がない訳だ 」
会話できるから、だいたいのニュアンスで伝わる事も多いし、わからなかったらフーカから僕にどうすればいいかなどが聞ける。
「そうよ。だから特訓することが無いのよね 」
シルフィは呆れてるような声で言った。
どうせなら試してみたらとすすめてくる。
「よしフーカいくよ! 」
さっきみせてもらったが自分でするとなると心が踊る。
「ねぇ、リューク。えいしょーってなに? 」
僕とシルフィの会話を聞いて詠唱が気になったようだ。
「えっと、精霊術を使うのに必要なんだけど僕達はしなくてもできるから 」
「えー、えいしょーしてみたい 」
フーカは目をキラキラとさせている。
「いいじゃない。適当にしてあげたら 」
『詠唱 』
メロ達も期待してるみたい。
詠唱って、なんか恥ずかしいんだよな。
必殺技を叫びながら攻撃するみたいなイメージで自分がするとなると、なんかダサいとか思ってしまう。
まあ、優がよくやってたのを見てダサいと感じたのだけど。
「はぁ、じゃあ短めでやるよ 」
「うん! 」
「か、風の精霊よ木を切り裂け。う、ウインドソード 」
弱々しい声だがどうやらフーカは気に入ったらしく、
「うふふ。ウインドソード!!! 」
楽しそうに、手刀作り大袈裟に上から下に切り下ろした。
心なしか先程より威力が増したような気がした。
『おお!。ウインドソード 』
メロが羽を降って真似をすると、プルはわざとらしくやられた、と言っている。
やっぱ恥ずい。
「ぷっ、す、凄いわ 」
シルフィ、笑いが隠せてないよ。
「もぉ! 」
「ふふっ、ごめんごめん。でもどうしようかしら、もう終わっちゃったわね 」
ああ、ほんとだ。
こんなあっさりとできていいのだろうか。
「じゃあ、特別にメロとプルの魔法適性も見てみましょう 」
こうして、サクサクと精霊術を会得した僕は次なる講座へとうつるのだった。